一目惚れしたようです
初投稿です。至らぬ点ばかりと思うので、ご指導の方を頂けたら嬉しいです。厳しいご鞭撻も真摯に受け止めます。よろしくお願いします。
────ふんわりとした優しい風が、並び咲く草花を靡かせる。その風は、冷たい空気を乗せて頰にもそっと触れた。刺激が与えられ覚醒した脳は、朧げだった視界を徐々にクリアにしていく。
誰かが呼ぶ声がする。草原から上体を起こし、声の先に顔を見上げると一人の女性が目に入った。その女性は朝のぼんやりとした白い光に暖かく包まれていた。
「──大丈夫ですか?」
差し伸べられた雪のように白い手。見上げるとその女性が優しく微笑んでいた。
なんて綺麗なのだろう。淡く輝くブルーの髪、どこまでも深く誘う漆黒の瞳、大人の魅力を感じさせつつも幼さの面影も見え隠れする綺麗に整った顔立ち。その全てに吸い寄せられる。
瞬間に理解する。あぁ、そうか。これが──一目惚れか。
「大丈夫、だと思います。ところで、えっと、その。……お名前を伺っても良いですか?」
「……ふふっ。私はベルクライネと申します」
しどろもどろに言葉を紡ぎ合わせると、女性は俺の慌てふためく様子がおかしいのか、クスリと笑って答えた。──その笑顔が凄くかわいかった。どうしようもなく衝撃的で俺の記憶に深く刻み込まれた。
「一目惚れしました。どうかいつまでも、あなたの側にいさせてください」
──俺はこの日、異世界で恋をした。