アフターレター1:姫凪こよみ-4
久樹ちゃんに相談して、アドバイスとか少しばかり背中を押してもらったけど、結局のところ、なにも変わらなかった。
「わふー」
お風呂から出た私は、ベッドに倒れこむ。
『こよみちゃんは、俺以外の人を恋して、愛して、好きなって欲しいよ』と、久樹ちゃんは言っていた。
それは、きっと久樹ちゃんの本音。
久樹ちゃん自身が本当に思っていること。
それに、『それに、俺は、こよみちゃんの中にあるあいつがいなくなった事でできた余白を埋める事なんで、絶対に出来ない』とも言っていた。
私だけじゃなかった。
過去に囚われているのは私ーーーーだけじゃなかったと、思っていいのだろうか。
久樹ちゃんは、私の中の遙ちゃんへの思いに気づいていた。知っていた。
だから、久樹ちゃんはあんなことをーーーー
わからない。
やっぱり、私は私がわからない。
私は、顔を枕に埋めて、「ーーーーーーーっ!! と叫んだ。
『私のバカーーーーっ』と叫んだつもりだけど、まくら越しであったのか自分でも聞き取れなかった。
もっと強く、顔を枕に押し付ける。
こと、数秒後、
「ぷはーーー」と、私はまくらから離れた。
押し付けしすぎて、呼吸ができなくなり、窒息しそうになった。
まさに、私のバカな行為。
「ほんと………私のバカ………」
ふと、何がか光ってるのが目に入った。
あれは、スマートフォンの着信を知らせるランプ。
何だろ?っと、私をそれをとる。
画面には思っていた通り、着信ありの表示が出ていた。
相手はーーーー紬ちゃん?
紬ちゃんが私にようがあるとすると……今日のことかな。
着信時間は、ちょうど私がお風呂に入ってた時間。
それに、今になって気づいた。
マナーモードになっていた。もし、お風呂に入っていなくても、気がつかなっただろう。
とりあえず、紬ちゃんに電話をかける。
十数秒ぐらい待つと、コール音が切れて、「もしもし」と紬ちゃんの声。
「あ、紬ちゃん。 ごめんね。 ついさっき、着信が入ってることに気がついたの」
「だと、思ったよ。こよみちゃんなら、いつもは即出なのに、出ないからおっかしーなと思った」
あえて、マナーモードになっていたことは伝えなかった。
紬ちゃんもそうだ。
紬ちゃんも私が知らない私のことを知ってる。
紬ちゃんが知ってる私のことは、私が電話に出るのが早いってこと。
たぶんだけどーーーーそれは、私の性格みたいなもので、私自身はそうだと思っていなかった。
だから、それは当たり前のことだけど、紬ちゃんからは違っていること。
「それで、どうしたの、紬ちゃん?」
「あー、こよみちゃん、明日って何も予定ないよね?」
「う………うん」
私は覚悟していた。
今日のやり取りを今から尋ねられてもいい。その覚悟を。
だけど、「私とデートしよ?」と、紬ちゃんの用件は予想外な内容で、しかも、デートに誘われるなんて思いもしなかった。
「え?」
デートに誘われた。
友達の、紬ちゃんに。
これらの単語がうまく繋がらなく、繋がったとしてもその意味がわからない。
そもそも、本当にそういったのだろうか?
実は、空耳。または聞き違いなのでないのだろうか。
デートの聞き違いだとすると………何が来るのだろう。
「こよみちゃーん、聞こえてるー?いきてるー?起きてるー?戻ってきてー」
「き、きこえてるよ」
「うん。よかった。それで、明日のデートなんだけーーーー」
「ま、待って。紬ちゃん」
「んー?」
「デートって………私と紬ちゃん?」
それしかないのだが、確かめるために尋ねる。
と、「うん。そうだよ」と、確かめたことがバカバカしくなる短略な回答をする紬ちゃん。
「せっかくのテスト休み最終日なんだから、いいでしょ?」
「うーん……」
明日の予定は空っぽ。
ただ、紬ちゃんが何を考えれるのか、何をしようしてるのかわからないことに不安を感じた。
おそらくだけど、今日のことを聞き出そうとしてるはず。
ただ、それが今じゃなく、明日。なのだろうか。
「いいよ」と、悩むこと数秒。
私は、デートの誘いに承諾した。
確かに、今の紬ちゃんに不安を感じてる。
「それじゃ、明日の朝、9時頃に駅前のロータリーで待ち合わせでいいよね」
「うん。わかった。9時だね」
なんとなくだけど、明日が怖かった。
紬ちゃんとの電話を終え、明日の天気を確認してみるとーーーー
快晴の予報。
ま、天気はどうでもいいことだけど。