第二話 説明回の二話目
CAUTION!!
今回はBLシーンが入ってます!!(ぇ
というわけで私は、慧音さんの家へ案内された。里にある大体の建物は、歴史の教科書やテレビの時代劇でしか見た事のない、江戸時代辺りの木造建築で、ちょっと感動した。――後に知った事だが、幻想郷の生活水準は日本の明治時代初期ぐらいとおおよそ同じらしい。
「狭い家で申し訳ないが、上がってくれ」
「お邪魔します」
私は居間と思わしき部屋に通された。教師らしく大量の本が鎮座していたが、しっかりと棚に整理されている。全体的に小奇麗で、蛍光灯で照らされた床にほとんど埃は見当たらなかった。……というか電気通ってるんですね。
慧音さんに敷いてある座布団に座るように促されたので、私はその上に正座し、彼女はテーブルを挟んで私と対面になる場所に座った。
「さてと、何から話すべきかな……」
慧音さんから詳しく話を聞くと、ここ幻想郷は私がいた日本のどこかの山奥に存在し、陸続きなのだが結界によって隔離されており、人間以外にも妖怪や幽霊や妖精が暮らしていて、精神・魔法中心の独自の文化が発達している。また、お互いの世界は行き来することができず、認識することもできない。……とのことだった。
「えっと、それなら私はどうしてこちらに?」
説明を聞き終えると同時に真っ先に浮かんだ疑問がこれだった。行き来できないはずなのに、私はこちらに来ている。
「君は、スキマに落ちたりしなかったか?」
「ステマには注意してますが」
「……は?」
何言ってんだこいつ。と言わんばかりの表情をされた。あー、やっぱり通じませんよねー。カルチャーショックがー。
「……えっと、いきなり出てきた穴に落ちたりはしましたが」
「幻想郷には境界を操る妖怪がいてな、こちらと外の世界の間にスキマを開けて神隠しを行う事があるんだよ」
「結界作った人に怒られそうですね」
「そいつが作った本人でな」
「うわー。……でも、私を攫う意味、ないですよね?」
「……幻想郷にいる妖怪の食糧用かもな」
「わーお」
実際に喰われかけたから笑い事にならない……。先ほどの出来事がフラッシュバックした。私の腕に向かって大きく口をあけ――。もし慧音さんが来なかったらと思うと、背筋がひやりとする。私は目の前の熱いお茶を啜った。話の途中で慧音さんが用意してくれた物だ。ちょうど喉が渇いていた。慧音さんは「気が利かなくてすまないな」と言っていたが、彼女の好意は純粋に嬉しかった。それにしてもこのお茶、美味しい。いつも飲んでいた物とはえらい違いだ。
「それで、これから君がすべき事だが……」
「ふぁ~あ……、あ、失礼しました」
つい、大きな欠伸が出てしまった。今日一日だけで、幻想郷に飛ばされたり、妖怪に喰われかけたりと、普通じゃあり得ない出来事がありすぎる。おまけに里まで長いこと歩いたりして、もの凄く疲れた。
「ふむ、夜も遅いからな。行くあてもないだろうし、今日は泊まっていくといい。ただの人間が夜中に外に行くなんて、命知らずにもほどがあるからな。それに、まだ話したいこともあるしな」
ケータイを見てみると、時刻はすでに11時を過ぎていた。ちなみにアンテナは相変わらず圏外。最新型のスマートフォンも、これでは何の意味もない。
「そうですね、ありがたく泊まらせていただきます」
「この部屋を使ってくれ。狭いけど、好きにしていいからな。布団はそこの押し入れに入っている。何かあったら隣の部屋にいるから声をかけてくれ」
通された場所はさっきの隣で、小さめな机と本棚しかなくお世辞にも広い部屋とは言えなかったが、一人でいる分には大丈夫だ、問題ない。
「何かとお世話になります」
素直に礼を述べた。慧音さんマジ天使。いや、教師か。
「それじゃ、おやすみ、芽瑠」
「おやすみなさい、慧音さん」
布団を敷き、さっそく横になった。疲れて眠いはずなのに、なぜか目が冴えてしまった。……この先、私はどうなるのだろうか。だんだんと不安になってくる。これからどうしようかな……。いつまでも慧音さんにお世話になりっぱなしってのもなぁ……。そうだ、泊めてもらっている間だけでも、彼女の手伝いをしよう、そうしよう。
とりあえず自分の思考に結論が出たので、安心して眠りにつくことができた。
「君は外の世界に戻りたいかい?」
「へ?」
翌朝、慧音さんが用意してくれた朝食――ごはんに鮭、卵焼き、味噌汁といった和食だ――を掻き込んでいる最中に「昨日の話の続きだが」と前置きされてから、そんな事を言われた。おかげで素っ頓狂な声が出てしまった。あ、ヤバい、喉に詰まった。
「う……、ごくっ、ごくっ、はぁ……。えっと、私帰れるんですか?」
お茶で無理やり流し込んでから聞き返した。
「ああ、博麗神社に行けばいい」
……神社? なんでそこに行けば帰れるんですかね。そこにもスキマとやらが開いてるのかな? というか帰れるんだったら昨日の夜一人でした決心をどうしてくれるんですか。
「説明してやろうか?」
「ぜひお願いします」
昨日この世界の大まかな事は教えてもらったけど、あまり理解できなかったですしね。もぐもぐ。
「……一つ訊くが、箸を止める気は全くないんだな?」
「はい」
簡単にまとめると、博麗神社は外の世界と幻想郷の両方に存在し、外の世界の常識を持つ者は外の、幻想郷の常識を持つ者は幻想郷の博麗神社にしかたどり着けない。なので、私が博麗神社に行けば、外の世界の方にたどり着き、結果的に帰れる。らしい。ごちそうさま。
それにしても慧音さんの説明はわかりやすい。さすが先生。
「じゃあそこに向かえばいいんですね! どこにあるんですか?」
私は身を乗り出して訪ねた。神社なら人の出入りも多いだろうから安全だろうし、きっとこの里にあるんでしょうね。どうでもいいけどどんな巫女さんがいるんでしょうね。可愛い子だといいなぁ。はすはす。いろいろと妄想しちゃって思わず顔がにやけちゃいます。
「……随分ご機嫌な気分になってるところ悪いが、博麗神社はここからかなり遠いし、道中は妖怪が普通に出てくるぞ」
「え」
可愛い巫女さんが修行の名目で卑猥な行為をされているところまで妄想した直後に、現実に引き戻された。なんだよそれぇ!? おかげで私は放心状態になった。またあんな危険な目には逢いたくない。
「じゃ、じゃあ慧音さんがついてきて下さい!!」
「申し訳ないが今日は寺子屋があってな」
「そ、そんな~」
「安心しろ、こんなこともあろうかと用心棒を呼んでおいた。もうすぐ来るだろう」
「用心棒?」
用心棒と聞いて、私が最初に浮かぶイメージって、ごっついおっさんなんですけど。そんなんと一緒にはいたくない。かっこいい女戦士の方がいい。もちろん巨乳の。
「おいす~」
そうそう、こんなかんじの。
「……って、どちらさまですか?」
突然玄関の扉が開き、もんぺを着た女性が入ってきた。腰のあたりまで白髪が伸びており、頭には大きなリボンが乗っている。眼は少し鋭く、見た目的にはクールな印象を受けるが、先ほどの間抜けな挨拶のせいで何とも言えない。
「遅かったな、妹紅」
「いきなり呼び出しといてそんなこと言われてもね」
どうやら慧音さんが呼んだらしい。え、じゃあこの人が?
「まったく……、今日はゆっくり休んでいようと思ったのに」
「もこう」と呼ばれた女性は、おもむろに煙草を取り出し咥えた。ライターで火を点けるのかと思いきや、指先から火を出した。……え?
「家で煙草はやめてくれ」
「ちぇっ、いいじゃないかそれぐらい」
慧音さんは戒めるように言い、煙草を没収した。一方もこうさんはそのせいでつむじを曲げた。というか二人とも喋り方が男っぽいですね。……は!
ここで私に電流走る……!
――固有結界 男体化妄想(B.L.レボリューション)――
in公園
慧音(クラス委員長、メガネ装備)「おい妹紅!! またタバコを吸ってるのか!!」
妹紅(不良、慧音とは幼馴染)「ちっ、慧音かよ。てめーには関係ねぇだろ」
慧音「お前まだ未成年だろ!!」
妹紅「うっせーな、とっとと消えろ」
パシャリ。
妹紅「……なにしてんだよ」
慧音「お前が煙草を吸っているところの証拠写真を撮った。これを学校に見せたらどうなるんだろうな?」
妹紅「てめぇ……!!」
慧音「まあ、言う事を聞くなら内緒にしてやってもいいが」
妹紅「な、なんだよ……、そんなに顔をちかづけ……むぐっ!?」
慧音は妹紅に無理矢理口付けをし、舌を彼に押し込んだ。彼が状況を理解できず、抵抗してこないのをいいことに、屋外の公園にも関わらずそのまま押し倒し……。
「全部口に出てんぞおらぁ!!」
「ひでぶ!?」
もこうさんの怒号と鉄拳が飛んできた。私はパンチを顔面でくらい、気絶してしまいましたとさ。チャンチャン。
……え? ぬるい? いやだって私ノンケだし。




