第六話 七つの光球と七人の使い手
登場人物紹介
サクラ姫 タイムトラベラー、アズサの娘
ナツミ タイムトラベラー、サクラの友人
マヤ タイムトラベラー、鎌倉の武士
カガリ タイムトラベラー、飛鳥の豪族
レイコ タイムトラベラー、明治の学生
ハヅキ タイムトラベラー、戦国の武将
ユーリ 奈良時代の商人
アズサ サクラの母、サカモトの妻
サカモト サカモトアズサ城城主、研究者
タノウエ タイムトラベラー、侵略者
*登場する名称等は全てフィクションです。
鎌倉の黄光球と使い手武士マヤ、飛鳥の赤・青光球と使い手豪族カガリ、明治の藍・紫光球と使い手学生レイコ、戦国の橙光球と使い手武将ハズキ。四人の使い手と六つの光球が揃い、最後の使い手と緑の光球を求め奈良時代にタイムトラベルしたサクラ姫一行。
「ナツミ、ここに最後の光球があるんだよね。」
「そうね、皆さんタノウエも狙っていますから気をつけましょう。」
「ナツミさん、タノウエは現代から来たと言ってましたよね。」
「カガリさん、それがどうかしました?」
「ナツミはんが使い手おらんと球使えん言うてなかった?」
「そうですね。レイコさんの言う通り全て集めてもタノウエ一人で出来るかは…。」
「タノウエはアタイがぶっ倒す。」
「マヤは何でそんなにタノウエ恨んでんの。」
「ハズキさんは知らないかもしれませんが、マヤさんのお爺様はタノウエに殺されたんですよ。」
「ジイさんの仇か。なら、手を貸すぜ。」
「マヤさんもハズキさんも冷静になって下さい。タノウエが無策なはずはありません。」
「使えん球集めてもねぇ、それにちょっと気になるんだよね。」
「何かあるんですかレイコさん。」
「あのタノウエ、マヤに球取られても取り返そうとしなかった。それに橙の球何か無視して奈良に向かったよな。」
「私達が七つ揃え、使い手が全員集まるのを待っていると?」
「そう考えるのが理屈に合うわな。」
「でもでも、私達の願いとタノウエの願いは違うよね。」
「おそらくカイザンの研究報告には集まった後のことが記載されていると考えて間違いありません。」
「とにかく今はこの時代の光球を探しましょう。」
町中に来た。
「この時代は穏やかだね。」
「都では商売や勉学が広がったそうですよ。」
「歩いてる人たちも平和そうだね。」
「おっ、そこの旅人さん。ちょっといいかい?」
「あなたは?」
「あたしゃここで商売してるもんさ。」
「商人の方が私達に何か用ですか。」
「アンタら、球いくつも持っているね。」
「光球のこと?何で知ってるの。」
「さっきタノウエとか言うヤツから聞いたよ。」
「タノウエと話したんですか。」
「ああ、だが訳の分からんこと言ってたんで無視した。」
「何て言ってました?」
「ウチで扱っている緑の球をあんた達に渡すとか何とか…。」
「あなた光球を持っているんですか。」
「あるよ。こんな球役に立たないけど、何か代々売らずに持ってんだよね。」
「あなたが光球を持っていることをタノウエは知っていた。しかも欲しがらなかった。」
「そうだね。持ってるか確認はしたけど、渡すのはサクラ一行にとか言ってた。」
「ちなみにあなたお名前は?」
「あたしゃしがない商人だよ。ユーリってもんだけど。」
「ユーリさん、その緑の光球を持って私達と来てくれませんか。」
「はっ?何であんたらと行かないとならんのよ。」
「七つの光球が必要なんです。」
「ならこの球、あんたらにやるよ。どうせ使い道ないし。」
「ユーリさんが必要なんです。この光球の使い手として。」
「あたしが使い手?冗談じゃないよ。商売があるんだ。旅なんかしてる場合じゃないんだよ。」
「ユーリさん、頼みます。ここにいる皆それぞれやることはありますが、光球の使い手としてサクラさんに同行しているんです。」
「うーん、ならこの品物を売ることが出来たら一緒に行ってやってもいいよ。」
「どんな品物ですか。」
「これさ、この球と一緒にあった物だ。何だか分からない箱だが、中身を出せない。」
「こっ、これはコントロールボックス!」
「やっと見つかりましたね。サクラ姫一行。」
「タノウエ!」
「この光球は七つ必要。しかも使い手はその時代の者、集めるのは私よりもあなた方のが適任です。しかし、集まっただけではただの球っころに過ぎません。」
「光球を起動させる装置が必要なのね。」
「その箱は起動装置です。カイザンはここまでは準備していました。」
「ここまで?」
「そう、七つの光球、七人の使い手、光球の起動装置です。」
「七人って、使い手は五人じゃないの。」
「本来、青の光球は江戸時代、紫の光球は令和の現代にあったのです。」
「じゃあ、青はサクラ姫、紫はナツミさんが本来の使い手なの。」
「そうです。しかもナツミさん、あのことは皆に言っていないようですね。」
「タノウエ、それは言わないで…。」
「そう言う訳にはいかないんですよ、カイザン博士の助手のナツミさん。」
「えっ、ナツミってカイザンの...。」
「そうです。私はかつてカイザン博士と共にタイムマシンを悪用しようとしていました。サカモト博士が止めに入りましたが、カイザン博士は開発を進めました。しかし、光球システムを研究中に、流石のカイザン博士もこの危険性は中止すべきと考えました。」
「臆病なカイザンらしい。」
「いや、タノウエ博士。あなたも研究者なら分かるはずです。」
「そうだとも。この光球システムはタイムパラドクスを起こす危険なものなのだよ。」
「それが分かっているのに何故ですか。」
「君達には到底理解出来んよ。さあ、おしゃべりはここまでだ。」
周囲の空間が歪む。
「さあ、最後のタイムトラベルと行こうじゃないか!」
第七話(最終話) 予告
ついにタノウエの最終作戦が開始される。
全ての時代を崩壊するタイムパラドクスをサクラ姫たちは止めれるか!
次回 「天晴れ姫様!!」
ついにクライマックスとなりました。
どうなるサクラ姫と六人のトラベラー!
次回またお会いしましょう。




