第四話 文明開化に潜む罠
登場人物紹介
サクラ姫 タイムトラベラー、アズサの娘
ナツミ タイムトラベラー、サクラの友人
マヤ タイムトラベラー、鎌倉武士
カガリ タイムトラベラー、飛鳥豪族
レイコ 明治時代の学生
アズサ サクラの母、サカモトの妻
サカモト サカモトアズサ城城主、研究者
タノウエ タイムトラベラー、侵略者
*登場する名称等は全てフィクションです。
飛鳥時代にて長老より光球の話を聞いたサクラ一行。江戸に戻ることにした。
「ナツミ、タイムリセット装置で一度戻らないと。」
「そうね。マヤ、カガリ、準備はいい?」
「あたしゃ大丈夫だよ。」
「長老様、父によろしくお伝え下さい。では参りましょうかサクラさん。」
タイムリセット装置が作動し4人が消えた。
「お父様、お母様、ただ今戻りました。」
「サクラ、無事で良かったわ。」
「ナツミ君、新たな仲間も加わったようだね。」
「お館様、飛鳥のカガリさんです。」
「初めましてサカモト様。カガリと申します。」
「飛鳥時代に於いて長老より光球の話を聞きました。」
「そうでしたか。ではカイザンの件も…。」
「タノウエはカイザンすら扱わなかった光球に手を出すつもりです。」
「ならば、最終手段を使うしかないようですね。」
「最終手段とは?」
「光球を入手する毎にここに戻るのは非効率です。残りを一気に集めタノウエと対峙するしかありませんね。」
「お館様、では...。」
「今日は疲れたでしょう。皆さんゆっくり休んで下さい。」
その夜。
「あなた、あの装置を使うのですね。」
「サクラには申し訳ないがやるしかないですね。」
「サクラ…。」
「タイムトラベルを繰り返せば負荷は段々増えます。先程全時代サーチをかけました。残る光球は明治時代に2つ、戦国時代に1つ、最後の1つは奈良時代です。」
「タノウエさんは何でそんなに光球に執着するんでしょうか。」
「それは分かりませんが、彼の好きにはさせられませんね。アズサはもう休みなさい。私は装置の最終調整をします。」
翌朝。
「ナツミ君、装置のメンテナンスは終わったよ。」
「お館様、サーチ結果では光球の使い手が残り3人ですね。」
「カガリさんの分を含め4つマシンを渡しておきます。それと万一の為連続トラベル機能を追加しておきました。」
「タイムトラベルを繰り返すのは危ないんですよね。使わずに済めばよいのですが…。」
「既にタイムサーチをしていますから、タノウエは明治時代にいるのが分かってます。」
「ナツミ、今度はどの時代かな。」
「この江戸より未来の時代、明治よ。」
「未来とかだとよく分からないなぁ。」
「アタシからすりゃ、この江戸だって未来なんだよ。」
「マヤさん、どの時代だろうと私達がすべきことは決まってます。」
「カガリの言う通りだよ。さあ出発しよ。」
「カガリさん、この装置を着けておいて下さい。」
「この腕輪ですか?」
「それがタイムマシンになります。皆さん、明治時代にセットして下さい。」
「では、お父様、お母様、行ってまいります。」
「気を付けるんですよ。」
サクラ一行は明治時代に旅立った。
「ここが明治ってとこ?」
「タノウエもいるでしょうから油断は出来ません。」
「何かいい臭いすんな。」
「マヤさん、ヨダレが…。」
「明治時代ではこの国以外の文化も入り、食生活も変化がありました。」
「ナツミさんは詳しいですね。」
「私は元々現代、令和と言う時代から江戸に来ました。サカモト博士とも研究をしてましたね。」
「この時代には光球が2つあります。早速探しましょう。」
「こんなに探してんのに見つからんなぁ。」
「マヤさん、がんばりましょう。」
「カガリって真面目だね。」
「そんなことはありませんが…。」
前方から学生が歩いて来る。けげんそうな顔してる?
「あのー。あなた方は芸人さんですか?」
「いやいや、ただの旅人ですよ。」
「皆さん、昔の服なんですね。あっ、私この先にある学校の生徒でレイコって言います。」
「私はサクラ、レイコさん、この辺りで光る球とかないですかねぇ。」
「球ですか...?あっ、学校に2つ飾ってありますよ。」
「それって色とかありますかね。」
「色ですか...、あまり気にしてませんでしたが、何か地味な色かな...?」
「もしよろしければ案内して貰えませんかね。」
「いいですよ。あんな球に興味があるんですね。」
学校に着いた。校舎に入り奥の展示スペースに行く。
「ここです。球はこの2つです。」
2つの球は紫と藍色だ。
「何か地味だな…。」
「ですよね。何だか分からないんで、七不思議とかの噂もあるんですよ。」
七不思議って何?
「噂とは?」
「良くない事が起こると光るって言われてます。」
「見た人いるのかな。」
「噂なんで分かりませんね。」
「レイコさん、私達と一緒に旅しませんか。」
「サクラさん、私は勉強があるんで旅とかしてる暇はないですね。行きたい気はしますが…。」
「おやおや、皆さんお揃いで。」
「タノウエ!」
「光球は頂きますよ。」
そう言うとタノウエは展示スペースを壊し球を取ろうとした。
「そうはいかないよ!」
マヤが素早く球を取る。だが、タノウエに1つ取られた。
「まあ、今回はこの藍の光球でよしとしましょう。いずれあなた方の全ての光球を頂くことになりますがね。」
タノウエはそう言い残し消えた。
「紫の光球は手に入りましたが、早くタノウエを追いましょう。」
「ちょっと待った!」
「どしたん?マヤちゃん?」
「あたしゃ、あのウシニクってやつを食べるまで次には行かないよ。」
「美味しそうでしたね、ウシニク。」
「もう、カガリさんまで…。分かりました。ウシニクじゃなくてギュウニク食べましょう。レイコさんも一緒に行きますよ。」
「ううっ、学校の球持ってかれた…。うん、私が取り返さなきゃだね。取り返す旅の始まりだー!」
一行は牛肉の罠?!にはまって足止めされた?のかな...。
第五話 予告
戦国の闇夜に光る橙の人魂?!いやあれは光球だ!
次回 「怪奇現象?!戦国の月」
光球争奪戦も後半に入りました。あと2つの球とあと2人の仲間。いよいよ話もクライマックスへ。
ではまた。




