第一話 新たな姫様とタイムトラベル
登場人物紹介
サクラ姫 タイムトラベラー、アズサの娘
ナツミ タイムトラベラー、サクラの友人
アズサ サクラの母、サカモトの妻
サカモト サカモトアズサ城城主
ハル アズサの友人
タノウエ タイムトラベラー、侵略者
*登場する名称等は全てフィクションです。
ここはサカモトアズサ城。
カイザンとのことも、10数年前のこととなり今では話す者もいない。
サカモト城主と妻のアズサの間には娘も生まれ、町で評判の姫として日々過ごしていた。
「サクラ姫、姫様はどこに?」
「あら、じい。何してんの。」
「これはこれは、アズサ様。失礼しました。サクラ姫様がおらんのですよ。」
「まあ、サクラなら町にでも出かけてるんじゃない。」
「町ですか…、どうしたもんですかなぁ…。」
「おやアズサ、どうしたんだい。」
「あなた、またサクラが町に行ったみたいですよ。」
「何だか昔の君みたいだね。」
「お館様、連れ戻しましょうか。」
「じい、心配には及ばん。そのうち帰って来るだろ。」
城下町では。
「ナツミ、今日どうする?」
「サクラも姫様なんでしょ。城にいなくていいの?」
「あんなつまんない所にいてもしょうがないじゃない。」
「まあ、それ言っちゃあ身も蓋もないけどね。」
「何か面白いこと無いかな…。」
「そう言えば新しい店が出来たの知ってる?」
「どんな店なの。」
「不思議な店みたいだけど、よく分からないわね。」
「なら行くっきゃないでしょ!」
「ここがその新しい店?」
「売ってる物が分からないのよ。」
「入ってみようか。」
店内は薄暗い。奥に店主がいる。
「あのー。」
「おや、お客様かい。」
「ここのお店って何扱っているんですか。」
「扱う品物はお客様によって違うんだよ。」
どゆこと?
「なら、私にはどんな物なんですか?」
「そうだねぇ、お嬢さんなら平和な時代よりも戦国の方がお似合いじゃないかな。」
「戦国?」
「サクラ、注意して!あなたカイザンの関係者なの!」
「ほう、カイザンを知っているとは、あなたサカモトの手の者ですね。」
「ナツミ、何なのこの人?」
「おそらくタイムトラベラーね。しかも何か企んでるでしょ。」
「サクラ姫の護衛だけあってなかなかやりますね。私はタノウエ。現代からカイザンの研究資料を解析し、ここ江戸に来ました。」
「タノウエさん、江戸で何すんの?」
「私が行うのは江戸に限りません。全ての時代で中心となるのです。」
「要はタイムトラベルで自分に都合いい歴史を作るってことね。」
「流石ですね。なら私がここに来た理由も分かるでしょう。」
「サカモトアズサ城にあるタイムトラベル装置を破壊するつもりね。」
「私の目的を唯一阻む存在、サカモト博士の装置さえ無ければもはや無敵なのです。」
コイツめちゃくちゃヤバいヤツだな。サクラだけでも逃がさないと。
「サクラ、すぐ城に逃げて!」
「ナツミはどうすんの?」
「コイツを止める!早く行って!」
サクラが店を出て城に向かって行った。
「あなたに私が止められますかな。」
「伊達に道場に通っている訳じゃないわ。」
「成る程、今はその時では無いですね。いずれ会うこともあるでしょう。」
タノウエが機械を操作し、消えた。
サカモトアズサ城にて。
「姫様、どうなさいました。」
「じい、お父様とお母様は?」
「サクラどうしたの。」
「何かナツミがタイム何とかとか言う人と戦ってるんだけど!」
「タイムトラベラーね。ナツミちゃんはどうしたの。」
「私を逃がしてアイツの所残っているよ。」
「アズサ、何があった。」
「どうやら新たなタイムトラベラーが来たみたい。」
「やはり、このタイムトラベル装置を狙いに来たな。」
「ねぇ、お父様。タイム何とかって何?」
「サクラは関わらない方がいい。」
「ナツミが大変なんだよ!知らんぷりとか出来ない!」
「分かった。ナツミ君はどうしたんだい。」
城に丁度ナツミが到着した。
「お館様、タノウエなるトラベラーが現代より来ました。先程機械を操作し別時代に移動したと思われます。」
「ナツミ君、まだ実験段階だが新型タイムマシンでヤツを追ってくれるか。」
「かしこまりました。」
「私もナツミと行く!」
「サクラ、これは遊びではないのだよ。」
「あなた、サクラも一緒に行かせてあげて下さいな。」
「アズサ、昔の君にサクラが似てきたな。分かった。2人で追いかけたまえ。」
何か腕輪型機械をもらった。
「これならどの時代に行っても不自然には思われない。」
「どうやって使うの?」
「タイムトラベル装置で行く時代を設定する。タイムサーチ機能で時空の歪み、つまり別のタイムトラベラーを探す。タイムリセット装置でここに戻れる。」
「何だか分からないんだけど。」
「詳しくはナツミ君に聞いてみてくれ。」
「サクラ、このお守りを持って行きなさい。」
「お母様、肌身離さず持っていきます。」
「では、お館様、奥様。姫様と共にタノウエを追います。」
「頼んだぞ、サクラ、ナツミ。」
タイムサーチを作動する。鎌倉時代、関東エリアに反応がある。
タイムトラベル装置に鎌倉時代、関東地方をセット。
「じゃあ行くよ、サクラ。」
「ナツミ、大丈夫かな。」
「サカモト博士を信じなさいよ。」
スイッチオン。
2人の姿が城から消えた。
「サクラ、大丈夫かしら。」
「君の子だろ。大丈夫じゃないか。」
光が消える。見たことの無い景色だ。
「ここどこ?」
「無事鎌倉時代に着いたみたいね。」
「へっ、鎌倉って昔の?」
「そう。タイムトラベルは時間を旅すること。過去や未来に行けるの。」
「ねぇ、あのタノウエが何か事件起こしたら歴史変わるんじゃないの。」
「それを止めるのが私達の使命よ。」
第二話 予告
鎌倉時代にタイムトリップしたサクラとナツミ。タノウエの野望を阻止出来るか?
次回 「鎌倉武士と江戸の花」
ついに始まりましたサクラ姫の旅。
新たなバディナツミと各時代で活躍。
ではまた次回にお会いしましょう。