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怪盗少女ビヨンド  作者: Melon
第3章 再会

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ラッティの試練 その2 決戦前

 夜九時。

 ビヨンドは自室でルーフとの対決の準備をしていた。

 黙々と準備を進め、手早く準備を終わらせた。

 腰のベルトには、学園長から頂いた鉄傘が取り付けられている。

 部屋から出ようとすると、部屋の外から、ドタドタと誰かが走っている音が聞こえてきた。


「ん? なんか騒がしいような......」


 ビヨンドは自室の扉を開けて確認する。

 自室の前を走っていたのは、医務室で患者の世話などをしている女性だった。


「あの、どうしたんですか?」


「実は、患者が医務室から出てから帰ってこなくて......。ランディっていう名前の、赤毛の子なんだけど......」


 ランディの名を聞いた瞬間、ビヨンドの鼓動が強くなる。


「え......? ランディが......?」


「ランディの知り合いなの......? ねぇ、あの子が何処へ行ったかわからない......?」


「ラ、ランディが行方不明になったんですか!?」


 ランディが居なくなったことを聞き、焦燥感から声を荒げてしまう。

 そして、ビヨンドの顔から少しずつ、少しずつ冷や汗が吹き出始める。

 若干過呼吸のような状態になり、苦しそうな表情を浮かべる。


「お、落ち着いて! 夕方に散歩に行ってまだ帰ってきてないだけかもしれないから!」


「あ、ごめんなさい......」


 声を荒げたことを反省し、謝るビヨンド。


「見たところあなた、これから任務でしょ? ランディのことは私たち大人が探しておくから、あなたは任務に集中しなさい」


 女性がそう言うと、ランディを探しにまた走り出した。


「ランディ......」

 

 ビヨンドは、数日前にランディと話したときのことを思い出す。

 このまま怪盗を続けていいのか。


「大丈夫......。ランディはやめなんかしない......。きっと戻ってくる......!」


 確証は無いが、自分を言い聞かせるためにそう呟いた。

 そうでもしないと、ランディのことが気がかりになり、任務が集中できないからだ。

 それほど、ランディの失踪がビヨンドのことを追い詰めていた。


 無理やり言い聞かせても、あまりに不安なのか、ビヨンドの目から涙が零れ始める。


「大丈夫......! きっと......!」


 涙を流しつつ、何度も、何度も言い聞かせる。

 悲しんでいる余裕はない。

 ビヨンドは何とか自分を落ち着かせ、任務に向かうのだった。



 二十三時。

 エリュー郊外の豪邸にて。


 建物の中に侵入するが、警備は誰一人いなかった。

 ビヨンドは心の中で、一年前のことを思い浮かべていた。


 初任務の日、ランディと一緒に忍び込み、誰もいない屋敷を探索したこと。

 あの時と同じである。

 ランディが居ないことを除けば。


 ビヨンドはまだランディのことが気がかりだが、自分自身の頬を叩き、任務中は忘れることにした。

 今は任務に集中しよう。

 そう思ったからだ。


 屋敷を駆け巡ると、一つだけ扉が開いている騒がしい部屋を見つけた。

 警備兵と思われる男性が、何者かと戦い、声を荒げている。

 おそらくここが、目的の戦宝、虹の弓が置いてある部屋であろう。


 ビヨンドが部屋に入ろうとすると、声が止んだ。

 おそらく戦いが終わったのだろう。

 

 ビヨンドは覚悟を決め、部屋へと入った。


「......え?」


 怪盗から宝を守るための窓一つ無い部屋。

 部屋の床は一部が凍っており、氷の破片が散らばっている。

 先ほど戦っていた兵士たちは、床に倒れている。

 

 そんな部屋の中央に立っていたのは、ルーフではなかった。

 

 薄緑色の長い髪の毛のレイピアを右手に持っている女性が、虹の弓と矢筒を展示台から取り出そうとしていた。

 ビヨンドは落ち着いて部屋を観察するが、ルーフの姿は無かった。

 

 もしかしたら何かしらの理由があり、予告通りに訪れることができなかったのかもしれない。

 そして、偶然ルーフに似た力を持った別の怪盗が訪れる日と被っており、今、ビヨンドの目の前にいる。

 疑問に思いつつも、ビヨンドは目の前の女性に勝ち、虹の弓を盗むことに集中することにした。

 

 ビヨンドはすぐに決着を付けるために、鉄傘を構え、疾風の靴の力を発動して急接近した。

 大きく振りかぶり、後頭部を狙う。

 

 「......何者ですか!?」

 

 女性はビヨンドの存在に気が付き、女性にしては低めの声を出しながら振り向いた。

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