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怪盗少女ビヨンド  作者: Melon
第2章 学園を狙う者

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特別任務 その2 ラヴァとの闘い

「最強の証? 何よそれ」


「ふーん。知らないんだ。まぁいいや」


 ビヨンドが聞くが、ラヴァは答える気がなさそうだ。


 ラヴァはフラフラ揺れながらビヨンドの元へと近づく。

 不気味な動きに警戒し、攻撃を防ぐ構えを取りつつ、ラヴァを注視する。


「ビヨンドちゃん危ない!」


 突然ラッティが大声を出し、トランプを投げる。

 次の瞬間、銃声が鳴り響く。


 ラヴァの手には、回転式の拳銃。

 ラヴァが不意打ちで銃を撃ってきたのだ。


 だが、ビヨンドを気にかけていたラッティが銃を持っていることに気が付き、不意打ちしようとしていることに気が付いた。

 そして、咄嗟に投げたトランプが銃弾を防ぎ、ビヨンドを守ったのだ。


「よかったねぇ。優秀な仲間がいて」


「こいつ……!」


 戦闘が長引くと隙を狙われて危険だと判断したビヨンドは、速攻で決着をつけことにした。

 ウエストポーチから針銃を取り出し、導火線に火をつける。


「ん? 爆弾かなぁ?」


 距離を取るラヴァ。

 ビヨンドは、針銃を持ち上げて爆弾だと思わせつつ、しっかりとラヴァを撃ち抜くために狙う。


「……なんてね」


 導火線が本体へと到達する直前に、ラヴァは素早く横へ避ける。

 針が発射されるが、ラヴァに一切当たらなかった。


「優秀な生徒の情報はぜーんぶ手に入れてるんだ。君が針銃を使うのもお見通し」


「っ……!」


 舌打ちをするビヨンド。

 遠距離では勝ち目がなく、かといって接近戦でも厳しい。

 

 ラヴァから視線を逸らすと撃たれるので、視線を逸らすことができないが、音や声からフェルノアとラッティも苦戦していると思われ、二人の支援も期待できない。


「さて、今度は私が攻撃させてもらおうかな」


 ラヴァは、再び銃を撃つ。

 不意打ちではなかったため、ギリギリ避けることに成功する。


 しかし、その回避の隙に距離を詰められる。

 ラヴァが拳を握りしめ、振りかぶる。

 ビヨンドは咄嗟に防ぐが、ラヴァに足を払われ、転倒してしまう。

 その隙に、ラヴァが銃を連射する。


 だが、ビヨンドは転倒した状態のまま鉄製トランプの束を取り出し、銃弾を防ぐ。

 銃弾が尽きたところで、ビヨンドは体を起こすのと同時に、疾風の靴の能力を発動させ、足を勢いよく伸ばす。

 そして、その足はラヴァの腰辺りに当たった。


 「......っ!」


 疾風の靴により驚異的な脚力となった蹴りが、ラヴァを吹っ飛ばす。

 ラヴァの体が宙を舞い、床に転がる。


「いったぁ……。そんなの隠し持ってたんだ」


 すかさずトランプを投げるビヨンド。

 しかし、ラヴァは飛んでくるトランプを腕に装備した鉄のプレートで受け止める。


 金属同士がぶつかる音が鳴り響く。

 ビヨンドは投げ続けるが、ラヴァは全て防いだ。 


「私が腕にプレートをつけてなかったらズタズタになってたよ」


「ズタズタになって欲しかったのに。残念ね」


 相手を罵る余裕ができてきたビヨンドは、守られていない顔にトランプを投げようとした。

 しかし、鎧が勢いよく接近してきたため、距離を取った。

 鎧はラヴァを狙われないように体で隠しながら持ち上げる。


「君たちを殺したかったが、あいにく私も忙しいんでね。これで退散させてもらうよ」


「逃げるつもり!?」


 ラヴァを抱えた鎧は、そのまま走り去ろうとした。

 追いかけようとしたが、ラヴァが鎧に隠れながら銃を撃ってきたため、追いかけることができなかった。

 そして、鎧は壁を突き破り、走り去っていった。


「フェルノアさん、ラッティさん。あいつを捕まえられなくてすみません……」


 謝罪するビヨンド。


「あの子強かったから仕方ないよ! また今度頑張ろ!」


 倒せなくて悔しがるビヨンドを慰めるラッティ。


「とりあえず学園長に報告するか。帰るぞ、二人とも」


「はーい」


 ラッティは手を上げ返事をすると、鼻歌を歌いながらフェルノアについていった。


「あいつ、すごく強かった……。ラッティさんがいなかったら、今頃私は……」


 撃ち殺された自分を想像し、体が震える。

 殺されないためにも、更に強くなることを誓ったビヨンドであった。



「ビヨンドちゃんお疲れー」


 ランディのお見舞いのためにビヨンドは医務室へとやってきた。

 ビヨンドは、ランディが横になっているベッドに座った。


「四天王と一緒に戦ったんでしょ? お話聞きたいなー」


 明るいランディに対し、落ち込んでいるビヨンド。


「……嫌なことでもあったの?」


「私、あいつに全然勝てなかった……。ラッティさんがいなかったら私……手も足も出せずに無様に殺されてた……!」


 悔しさを隠しきれず表情に出てしまっている。

 悔し涙を流しながら俯く。


「ビヨンドちゃん……」


 ランディは、落ち込んでるビヨンドに寄り添い、抱きしめる。


「ビヨンドちゃんは頑張ってるから、いつかきっと勝てる日が来るよ」


 子どもを慰めるかのように優しく声をかけるランディ。


「……ありがとう、ランディ……!」


 ビヨンドは、ランディを抱きしめた。


「やほー! お邪魔しまーす!」


 扉が突然開き、ラッティが医務室に入ってくる。


「あー……。もしかして邪魔しちゃった感じ?」


「そ、そんなことないですよ!」


 即座にランディから離れるビヨンド。


「ビヨンドちゃん、この人は?」


「こ、この人は四天王のラッティさん......」


「えーっ!」


「そ、それでどうしたんですか? わざわざ私に会いに来るなんて……」


「実はねー。すごくいいお知らせがあるんだよー!」


 ラッティはそう言うと、ビヨンドの隣に座る。


「学園長の命令でなんと! 私がビヨンドちゃんの師匠として訓練することになりましたー!」


「え! ラッティさんがですか!?」


 突然すぎて驚く。

 それと同時に、嬉しくて笑顔になる。


「学園長がね、学園の危機だーって言いだして、それで私とフェルノアの仕事が情報収集から生徒の訓練に変わったんだー。私の担当はー、ビヨンドちゃん、レパールちゃん、クレナイちゃんの三人! ということで、明日からよろしくね!」


 報告を終え、医務室から出ていこうとするラッティ。


「……いいなぁ」


 小声でそう呟く声が聞こえた。


「あ、そういえば君は?」


「わ、私はランディって言います……」


「ふーん……」


 ラッティは、ランディのことをジロジロと見る。


「よし! 怪我が治ったら君も一緒に訓練してあげる!」


「えっ!」


 驚きのあまりすごく大きな声を出したランディ。


「なんか君は立派な怪盗になりそうな気がするんだよねー。だから、特別!」


「本当ですか!? あ、ありがとうございます! あ、私はランディ。本名はリーシャ・テンペスティアって言います! よろしくお願いします!」


「よろしくね! ……って、んー?」


 腕を組み、考え事を始めたラッティ。


「ど、どうしたんですか……? 私、何か変なこと言いましたか……?」


「別にランディは変なこと言ってなかったと思うけど……」


 焦るランディと、ラッティが考えていることを不思議がるビヨンド。


「あーっ! テンペスティアって!」


 突然目を見開き、大声を出すラッティ。


「君もしかしてテペア......。あー、えーっと......。リーンの妹!?」

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