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怪盗少女ビヨンド  作者: Melon
第2章 学園を狙う者

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学園長

 学園長室前にて。

 ビヨンドは深呼吸し、ドアをノックする。


「......名乗りなさい」


 ドアの向こうから女性の声が聞こえた。

 おそらく学園長の声だろう。


「二年生のビヨンドです。本日は学園長とお話したいと思い、参りました」


「......私は暇じゃありませんの。生徒に構ってなんかいられませんわ」


 ここまでは予想通りである。

 学園長が気軽に生徒となんてあってくれるわけがない。


「......四天王であるキラーナさんについて聞きたいのですが、どうかお時間を確保してもらうことはできないでしょうか」


「キラーナですって......? 」


 声を発してから数秒経過し、返事が返ってくる。


「......入りなさい」


「失礼します」


 学園長室の扉を開ける。

 扉を開けると、青色の長髪の女性が描かれた二メートルほどの肖像画が目に入った。


 そして、その肖像画の前に、高級そうな革で作られた椅子に座った金髪のお嬢様が座っていた。

 おそらく年齢は二十代前半くらいだろう。

 学園長にしてはかなり若い。

 そして、不機嫌そうな顔をしている。


「……私を見て子どもっぽいと思ったかしら?」


「えっ......! いえ、若いなとは思いましたけど......」


 それから、しばらくの間沈黙が続く。

 緊張し、唾を飲み込むビヨンド。


「ビヨンド。貴方は、この学園にとても貢献してくれているそうですね.....」


 次の瞬間、学園長の顔が満面の笑みに変わった。


「感謝しますわ! あ、お茶をご準備するのでそこで座って待っててくださいな!」


 学園長は、部屋の隅にある椅子とテーブルを指さす。


「......へ?」


 突然した豹変学園長に驚くビヨンド。


「さ、久しぶりのお客さんですわ! 張り切りますわよー!」


 学園長は立ち上がると、隣の部屋へと消えていった。


「なんなんだあの人は......」


 困惑しながら椅子に座る。

 三分ほど待つと、学園長がトレーに紅茶とお菓子を乗せ運んできた。


「こちらご自由にどうぞ」


「あ、ありがとうございます......」


 カップを持ち、紅茶を少しだけ飲む。


「さて、さっそく本題なのだけど......。まず、あなたがなぜ四天王のことを......? このことは生徒に公開してないはずなんですけれど」


「私の知り合いにクレナイって人がいるんですけど、その方から......。あ、そのクレナイも友人から情報を得たらしくて......」


「なぜその方がこのことを知ってるんですかね......。これは捜査したほうが......。......それで、どうしてキラーナに会いたいんですの?」


「......私の命の恩人であり、ここへ導いてくれた人だからです。だから、お礼が言いたくて......」


「ふーん……」


 紅茶を飲みながら聞く学園長。

 このまま話を聞き出せればラッキーだと思ったビヨンド。

 しかし、現実はそう甘くはなかった。


「ですが、お教えすることはできませんの」


「ど、どうしてですか!」


 興奮し、大声を出すビヨンド。

 学園長は、そんなビヨンドに座るよう促すジェスチャーをする。


「言い方が悪かったですわね。正確には、わからなくてお教えすることができませんの」


「わからない......?」


「確かに、私が四天王を従えてるというのは本当ですわ。ですが、現在私の元で任務をこなしているのは、フェルノアとラッティの二人だけなんですの」


「え......? じゃあ、キラーナさんは......?」


「......行方不明ですわね」


「そんな......!」


 もしかしたら情報を聞き出せるのではないかと期待していた分ショックが大きい。

 落ち込むビヨンドを、学園長は慰めようとする。


「実は、結構前から行方不明で、なかなか見つかりませんの......。あ、そうですわ!」


 突然の大声に驚くビヨンド。

 学園長は、何か思いついたようだ。


「あなた、先ほどご友人のご友人から話を聞いたと言いましたわね」


「え、えぇ」


「そのご友人をここに連れてきてくれないかしら? そしたら、お礼として捜査の再開をして差し上げますわ!」


「ほ、本当ですか!」


「あら、嬉しそうですわね。よっぽどキラーナに会いたいんですのね」


 そう言われ、少し恥ずかしくなるビヨンド。

 少し笑う学園長。


「それじゃ、よろしくお願いしますわね」


「はい! 頑張ります!」


 早速連れてくるために立ち上がる。

 しかし、お菓子が残っていることに気が付いた。


「気にしなくていいですわよ。こちらで片付けておきますので」


「ありがとうございます! それでは、失礼します」


 ビヨンドは学園長室を後にした。



 その数秒後、学園長室の扉が開いた。

 すると、高身長の少し老けた短い薄茶髪の男性が学園長室に入ってきた。


「お嬢が生徒と話すなんて珍しいですね」


「あら、お帰りなさい。フェルノア」


 フェルノアという名の男は、スタスタと歩き、テーブルの上に資料を置く。

 そして、ビヨンドが食べていたお菓子を片手でつかみ取り、口に頬張る。


「ちょっと、下品ですわよ」


「だったらもっと仕事減らして飯食う余裕をくださいよ」


 何も言い返せず黙る学園長。

 そんな学園長を気にもせずお菓子を食べ続ける。


「……ところで、話を聞く限り、あの二人の捜索を再開するかもしれないんですよね」


「連れてこられたらの話、ですけどね。無理だったら貴方にやってもらいますわ」


「成功したら捜索再開、失敗したらとっ捕まえる。やれやれ、どっちみち仕事が増えるのか......」


 嫌な顔をしながら椅子に座り、ふんぞり返る。


「しかし、学園長室から情報を盗み出すようなやつの捕獲を生徒なんかに任せて大丈夫なんですか?」


「だから貴方も準備をしといてくださいまし」


「俺だけじゃなくてラッティにも頼めばいいじゃないですか」


「ラッティも忙しいみたいなのよ。妹の捜索で勝手に動いちゃって......」


 フェルノアはため息をつく。


「なーにが希望の怪盗だよ......。希望の怪盗なら俺にも希望をくれよ......」


 虚ろな目で天井を眺めながら言うフェルノア。


「申し訳ないですわね、貴方だけに押し付けてしまって......。今この学園が運営できてるのは貴方のおかげみたいなものですわね。とても感謝してますわ......」


 学園長は、申し訳なさそうに言う。


「......学園長のそのお言葉で元気が出ましたよ。さて、また行ってくるとしますかね......」


 フェルノアは立ち上がり、部屋を出た。


「本当に、二人ともどうしてしまったのかしら......」


 フェルノアが部屋を出ると、学園長は独り言を言い、大きなため息をついた。

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