ビヨンドの師匠 その1
放課後、医務室のランディの様子を見に行った。
扉を少しだけ開け、ランディの様子を見る。
まだ足がかなり痛むのか、苦悶の表情を浮かべている。
ビヨンドが扉を開けると、ランディの表情は急に笑顔になる。
「あ、ビヨンドちゃん。どうだった? キラーナさんのことについて聞けた?」
ビヨンドは、それが心配させないための作り笑いだとすぐに分かった。
「......行方不明だって」
「そっか......。でも、キラーナさんって凄い怪盗なんでしょ? きっと無事だよ!」
自分が辛く、苦しいのにも関わらず、ビヨンドを励ます。
そんなランディを見て、泣きそうになってしまった。
「......うん。きっと無事だと思う。それじゃランディ。今日は用事があるからもう行くね」
ビヨンドはランディの頭を撫でる。
「うん。頑張ってね」
「お大事にね」
「うん!」
自分の弱気なところを見せたくないビヨンドは、嘘をついて話を切り上げた。
医務室の扉を開け、外に出る。
「......で、あんたは何をしてるのよ」
廊下の壁に寄りかかり、盗み聞きをしていたレパールに話しかける。
「あら、私だってランディのお見舞いにきたのよ。友人だからお見舞いに来るのは当然でしょ? それより、気になったんだけど......」
「何? 私忙しいんだけど」
明らかに不機嫌な雰囲気を出すビヨンド。
だが、レパールはそれに一切屈しなかった。
「あんたってやたらランディに優しいわよね。気になるから教えなさいよ」
「......教える義理がないでしょ」
「あら? そうかしら? あなたが人殺しにならないように止めてあげたのは、どこの誰だったかしら?」
「ちっ......」
レパールにしっかり聞こえる大きさで舌打ちをするビヨンド。
「......わかったわ。あんたのランディの見舞いが終わったら話してやるわよ」
「ふふん。そうこなくっちゃ。じゃ、待ってなさい。逃げるんじゃないわよ」
レパールはワクワクしながら医務室に入っていった。
数分後、ビヨンドとレパールは食堂に来ていた。
「授業に遅れないように手短に話すわ」
「ええ、聞く準備はバッチリよ! 早く教えなさい!」
ビヨンドは大きなため息を吐く。
「......師匠なのよ」
「え?」
レパールが聞き返す。
「......ランディは私の師匠なの」
「え!? えええええええええ!!!」
レパールの驚きの声が、食堂中に広がる。
食事をしていた周りの生徒たちが、一斉にビヨンドたちを見始める。
「ちょ、うっさいわね......!」
「だ、だって。ランディって......。言っちゃ悪いけど、おっちょこちょいで落ちこぼれじゃない! なんであの子があんたの師匠なのよ!」
「どうでもいいでしょ.......。師匠で敬意を持ってるから粗暴な扱いをしない。それだけよ」
ビヨンドはそう言いながら席を立つ。
「それだけって......! もっと聞かせなさいよ!」
レパールは即座に立ち上がり、ビヨンドの服を掴んで止める。
「離しなさいよ」
「嫌よ! 聞かせなさい!」
どうしても聞きたくて粘るレパール。
このままでは今後一生追及されると思ったビヨンドは、仕方なく座り、話すことにした。
「まず、ランディとの出会いなんだけど。あれは私が入学した時の頃よ......」




