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あついひょうめん
命のゴール 三ねん・半井敦夫
命のゴールの表面は触ると溶けてしまいます。
だから少し触るとけがをします。大きく触ると死んでしまいます。
命のゴールは、一定期間人が近づくと、走って追いかけてくるそうです。
タッチするなよ。
この世のけがのすべては、この命のゴールによるそうです。
(下・ゴールの標本)
私が論文に近づくと、標本のゴールは動き出しました。
ゴールはすさまじく私はあっという間につかまります。
学校の廊下に、静かに横たわる虫の遺体、それが私なのです。
――前書きですべてを語るって、難しいよね。
筆をおいた沼津平成の後ろに、あの標本のゴールが、近づいていました。
この話は、かくして、誰にも語られず、ひっそり生きてきました。しかし、もう寿命を迎えようとしています。最後にゴールは地球に近づいてきたのです。
ホラ、読者の皆さんの後ろにも…