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「はぁぁぁ!!」


 3本の氷の槍がレッドドラゴンの逆鱗に突き刺さり、その激痛に咆哮を上げたのである。喉元に突き刺さった氷の槍はやつの怒りの矛先を俺に向けるのには十二分な威力だったらしい。完全にターゲットが俺に絞られた所で移動を止めた。


(今だ!!)


 俺は剣を握り締めるとレッドドラゴンに向かって行ったのである。

 サラとラナは気絶していて動けないようだし、俺がやるしかないだろう。俺は全力で走りながら剣を振り抜くそのまま剣に魔力を流した。すると、その魔力が剣先から放出され、それがレッドドラゴンの首の中を駆け巡りレッドドラゴンの首元を切り裂いたのだ。すると大量の血が噴き出して悲鳴を上げる。


(よし!効いているぞ!)


 俺は更に追撃を仕掛けるように剣を振り下ろす。すると今度は前足を切り落とす事に成功した。


「はぁぁ!!」


 そして、俺は何度も何度も剣を振り下ろす。その度に魔力が放出され、それが首の中を駆け巡る。やがて、その痛みに耐えかねたレッドドラゴンの鱗の隙間から血が吹き出した。


(よしっ!!このまま一気に決めるぞ!!)

「終わりだ!!」


 それからも何度も攻撃を繰り出していく度に、レッドドラゴンから大量の血が噴き出ていく。そして遂には倒れ伏し動かなくなった。


(やったか!?)


 そう思ったのだが、まだ完全に死んでいなかったようで最後の力を振り絞って襲いかかってきたのだ。だがその動きは鈍くなっており避ける事は簡単であったので躱して剣で首を切り落としたのである。

 するとレッドドラゴンは動かなくなったので、俺は急いで2人の所へ向かったのだ。サラとラナの容態を確認するとどうやら気絶しているだけらしく一安心だ。


(ふぅ……良かった)


 それからドロップアイテムの爪を回収し2人を担ぎ上げると地上に戻る事にしたのだった。そしてギルドに戻ると受付嬢に報告を済ませて報酬を受け取った後、目を覚ました2人は治癒院に向かったのである。

 2人は後遺症も残らないようだと聞いてホッとしたが、念のため暫くの間は安静にしているように言われたらしい。


「アキラさん……今回は本当にありがとうございました。……それと、ごめんなさい」


 サラは俺に頭を下げると、ラナも同じく頭を下げてきたのだ。


「いや、気にしないでくれ!それよりも2人が無事で良かったよ!」


 俺がそう言うと2人は嬉しそうに微笑んだのである。


「はい!また、アキラさんのおかげで助かりました」


 2人が笑顔で答えてくれたので、俺は満足して家に帰る事にしたのであった。

 それから数日後……俺達は同じダンジョンに潜っていたのだ。目的は勿論最深部まで行く事である。だが今回は前回の反省を生かして慎重に行動しているつもりだ。


(よし……ここなら大丈夫そうだな)


 そう判断した俺はサラとラナを呼んで転移陣に乗るように促したのである。そして全員が乗った事を確認して転移した。


「さて、二人共準備は良い?」

「「はい!!」」


 大きな広間の中心には明るく光る魔法陣が描かれており、足を踏み入れた瞬間、魔法陣が一際輝き出したのである。そして中から現れたのはやはり巨大なドラゴンであった。


「ラナは左、サラは右に展開」


 指示を出してから俺はドラゴンに向かって行ったのである。そして剣を振り抜く。

 だが次の瞬間、予想外の事が起こったのだ。なんとドラゴンがブレスを吐いてきたのだ。しかもその威力は凄まじく一撃で吹き飛ばされてしまったのである。


(しまった……油断したか!?)


 そう考えた時には既に遅かったようだ。目の前には既にドラゴンの爪が迫って来ていたのだ。


(これは避けられないな……)


 ローブと篭手でダメージが通らない様に防ぐと、俺は『アイススパイク』『アーススパイク』『サンダージャベリン』のスクロールを3枚同時展開して放ったのである。


「はぁぁ!!」


 すると3つの属性槍がドラゴンの身体に突き刺さり、その激痛に咆哮を上げる。


(よし!効いているぞ!!)


 そう考えた瞬間だった。突如として目の前に現れたラナが剣を振り抜いたのだ。


「リベンジだ!!」

 ラナは剣に魔力を纏わせると深く抉るように一撃を加えた。その動きに合わせるようにサラも槍を振り抜く。

 俺は、反対側から魔力を纏わせた一閃を放ち離れると、ラナに剣を投げ渡す。


「あぁぁッ!!」

 ラナは受け取った剣を振り抜き、袈裟斬りで首元を狙う。

 そしてドラゴンの首を見事に切り落としたのである。


「やったか!?」


 そう呟いた瞬間、今度はサラが槍でドラゴンの心臓を貫いたのだ。そしてドラゴンを倒したのだった。

 ドロップアイテムは前回爪だったが、今回は鱗と爪、ドラゴンテールと呼ばれる龍の肉と牙だったが、どれも錬金術の素材や武器防具の素材に成る為、かなり良い物だと言える。


(爪はサラの剣に、牙はラナの槍に使って鱗は防具に使えば良いかな)


 そう考えているとサラが話し掛けてきた。


「アキラさん、怪我はありませんか?」

「ああ、大丈夫だ!2人共良くやったな!」


 俺が褒めると2人は嬉しそうに微笑んでくれたのである。


(それにしても……あのブレスは予想外だったなぁ)


 俺は内心でそんな事を考えながらドロップアイテムを回収すると地上に戻ったのであった。そして冒険者ギルドで報酬を受け取ると其々に帰る事にしたのだ。だがその前に寄り道をする事にしたのだが……それはまた別の話である。

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