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 先ずはこの青いキノコの粉末を鍋の中に入れる。そしたら精製水を半分注ぎ込む。そして暫くすると青色が緑色に変色したのを確認してからキイロタケの粉末を少しずつ加えていくと綺麗な黄緑色になったのである。


「よし、半分完成だ」


 俺がそう言うとミネットは目を輝かせて言ったのだ。


「凄いです!!こんなに簡単に作れるなんて!!」

(まぁ、此処まで作るだけなら誰でも出来るからな……)


 そんな感想を抱きつつ俺は次の工程を説明する事にしたのである。

 次に取り出したのはミドリタケの粉末である。それを鍋に入れ、精製水の残り半分注ぎ込んだらひと煮立ちさせ、減った分を先程の溶液で薄めて行くとライトグリーンの液体が完成した。


「よし、完成だ」


 俺がそう言うとミネットは目を輝かせて言ったのだ。


「凄いです!!本当に綺麗ですね!!」


 そんなミネットに俺は笑いながら答えたのである。


「まぁ、作るだけなら誰でも出来るからな……ただ、錬金術でポーションを作る場合は素材の品質が重要になるから丁寧に作る必要があるんだよ」


 ミネットはメモをしながら聞いている。


「なるほど……勉強になります!!」


 そんなミネットに俺は続けて説明する事にしたのである。


「さて、それじゃあ次は『マナポーション』の作成方法を教えるぞ」


 俺がそう言うとミネットは驚いた様子で言ったのだ。


「えっ!?まだ作るんですか!?」

(まぁ、普通は驚くよな)


 そんな感想を抱きつつ俺は説明を始めたのである。


「あぁ、勿論だ!錬金術で作れる初級の2つ目だからな。ポーションは何とか作れたろうけど、コイツは少し高めの難易度になる」


 俺の言葉にミネットは少し考えてから答えた。


「分かりました!頑張ります!!」


 ミネットに俺は笑顔で答えると説明を始める事にしたのだ。


「さて、それじゃあ説明するぞ」


 まず取り出したのは『マナポーション』の材料である『魔水草』の葉だ。それを細かく刻んでから鍋に入れ、精製水を半分注ぎ込むと綺麗な青色になったのである。

 次に取り出したのは『魔力茸』というキノコを乾燥させた物だ。それを粉末にして先程の溶液に加えると綺麗な緑色に変わる。

 その際に余分な成分を切り離す分解を行なう。今回なら中毒症状の成分を取り除く作業だ。


「よし、これで完成だ」


 俺がそう言うとミネットはメモを取りつつ言った。


「凄く勉強になりました!!」


 そんな彼女に俺は笑顔で答える。


「あぁ、この調子で頑張ってくれ」


 そんな俺の言葉にミネットは元気よく答えたのであった。

 それから数時間後……


「よし!これで最後だ!!」

「はい!!」


 ミネットは何とかマナポーションを作成しようとするが、分解が難しいのか中々成功しなかった。


(時間的にコレを最後にしないと流石に不味い)


 そんな事を考えていると、ミネットのマナポーション作りが佳境を迎えていた。


(感覚を掴ませるのが大事かな?)


 そう思い俺はミネットの手の甲を後ろから支えると一言だけ告げた。


「成功の感覚を覚えろ」


 その瞬間、ミネットのマナポーションは完成したのである。


(よし!成功だ!!)

「やったな!」


 俺がそう言うとミネットも嬉しそうに答える。


「はい!!」


 そんなミネットに俺は続けて言ったのだ。


「さて……それじゃあそろそろ帰るか」

 すると彼女は少し寂しそうな表情をして言う。

「そうですか……」

(流石に疲れたかな?)


 そんな感想を抱きつつ俺達は家路に着いたのだった。そして帰宅後、俺は改めてお礼を言われたのである。


「先生!今日は本当にありがとうございました!!」


 頭を下げる彼女に俺は笑顔で答える。


「あぁ、どういたしまして」


 すると彼女は満面の笑みで言ったのだ。


「また勉強を教えて下さいね!!」


 そんなミネットに俺は頷いて答えたのである。


(さて……そろそろ次の目的地に向かうか)


 そんな事を考えているとミネットが話し掛けてきた。


「あの……先生はこれからどうされるのですか?」


 その問いに俺は少し考えてから答えた。


「そうだな……とりあえず王都テルミナスに戻るつもりだ。依頼も終わった事だしな」


 するとミネットは残念そうな表情で言った。


「そう……ですか」


 そんなミネットに俺は笑顔で答える。


「まぁ、また会えたら錬金術を教えてやるよ」

「はい!約束ですよ!!」


 俺達は別れの挨拶をしてから別れたのである。


(……それじゃあ王都に戻るとするか)


 俺は馬車に乗りこんだのだった。そして数日かけてミルの居た町に着いた。

 俺は町の人に孤児院の場所を聞き、そのまま孤児院へと足を運ぶと、そこには子供達が楽しそうに遊んでいる姿があった。

 そんな様子を眺めて居た時、1人の少年が話し掛けてきたのだ。


「もしかして、ミルを迎えに来た人?それなら院長先生呼んでくるよ!」


 少年はそう言うと走って院長を呼びに行ったのである。


(さて……どんな反応が返ってくるか)


 そんな事を考えていると、孤児院の奥から年配の女性が現れたのだ。そして俺の顔を見るなり笑顔で言ったのである。


「あら?貴方がミルを迎えに来た人ですね?私はここの孤児院の院長をしております『ロゼット』と申します」


 そんな彼女に俺も自己紹介をした。


「初めまして、俺はアキラと申します。手紙の通りミルを引取りに来ました」


 そんな俺の言葉にロゼットさんは笑顔で答える。


「はい!話は聞いております……どうぞこちらへ」


 案内されたのは応接室であった。そして俺はソファーに座ると早速本題に入ったのである。


(さて……どう説明しようか?)

 そんな事を考えつつ俺は話し始めたのだ。


「実は……」


 それから俺は今までの経緯を説明した。すると彼女は静かに俺の話を聞いてくれたのである。そして全て話し終えると彼女は口を開いた。


「なるほど……そんな事があったのですね」

(さて、ここからが本題だ)


 俺は意を決して彼女に言う。


「それでお願いがあるのですが……」


 するとロゼットさんは首を傾げながら聞き返したのだ。


「はい?何でしょうか?」


 そんな彼女の目をしっかりと見つめて俺は言ったのである。


「ミルを俺に預けてくれませんか?」


すると彼女は少し考えた後に答えたのだ。


「それはどうしてですか?」

(まぁ、当然の反応だな)


 そんな事を思いつつミルの才能について話し始める。


「彼女はとても優れた才能を持っています。採取した薬草はどれも品質が低かったけれど、1つも雑草が混じっていなかった」


 俺がそう言うとロゼットさんは少し考えてから言ったのである。


「確かにミルは普通の子達と比べても優秀な部類に入るでしょう……ですが、それでもまだ子供です!そんな子を貴方のような若い冒険者に預けるのは……」

(まぁ、普通ならそう考えるよな)


 そんな感想を抱きつつ俺は続けたのだ。


「確かに彼女を預けるには不安もあると思います……ですが、彼女は必ず成長します。それは俺が保証します」


 するとロゼットさんは少し考えてから言ったのだ。


「分かりました……そこまで言うのならミルを貴方に預けましょう」

(よし!これで一歩前進だ!!)


 俺が内心ガッツポーズをしているとロゼットさんは続けて言った。


「ただし、条件があります」

(まぁ、当然だよな)


 そんな感想を抱きつつ俺は彼女の言葉を待つ事にしたのである。すると彼女は真剣な表情で言ったのだ。


「ミルを必ず幸せに育てて下さい……それが私から貴方への依頼です」

(なるほど……確かにそれ位はしないとダメだろうな)


 そんな事を考えていると彼女は更に続けたのである。


「それともう1つお願いがあります……」


 それから俺達は話し合った結果、ミルを引取る事が決まった。


(採取の才能はあるが、後は教えられる範囲でゆっくり教えていこう)


 そんな事を考えつつ俺はミルの居る部屋へと案内される。


「さぁ、ミルおいで」


 ロゼットさんがそう言うと中から元気な声が聞こえてきたのである。


「はーい!」


 そして扉が開かれるとそこには満面の笑みを浮かべたミルが立って居たのだ。


(あぁ……この笑顔を見ると安心するな)


 そんな感想を抱きつつ俺は彼女に言った。


「今日から一緒に暮らす事になったアキラだ!よろしくな」

 すると彼女は嬉しそうに答えたのである。


「うん!!よろしくね!!」

(さて……これから忙しくなりそうだな)


 そんな事を思いつつ俺はこれからの事に思いを馳せるのだった。

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