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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ブラックサンタの聖夜 (無修正版)

作者: ねこ

 グロ描写が苦手な方はこちらのURLより修正した作品を読めます↓

https://ncode.syosetu.com/n2488io

 テレビから流れるニュースは今日も亡くなった人たちを流していました。それを見ていたサンタクロースの夫婦はため息を吐きました。


「また子供が亡くなったな……」

「ええ。」


 そう言ってサンタクロースのお嫁さんは袋に入っていた車のおもちゃとぬいぐるみを取り出して棚に治しました。


「今年は仕事が少ないな……」

「そうですね……」


 夫婦揃って悲しい顔をしていると新たなプレゼントの依頼がきました。


「郵便だよー!」


 そうしてポストには1通の手紙が届く。この手紙は誰かが書いたものではありません。強くお願いした物が手紙という形でサンタさんの家に届くのです。


「おやおや、この時期に誰か産まれたのかな。」


 お嫁さんは手紙を開けて内容を読みました。そして辛そうな顔でサンタクロースのおじいさんに手紙を渡します。それを読んだサンタクロースのお爺さんも辛そうな顔をします。


『お母さんを返して!』


 5歳の女の子の手紙でした。ですがサンタクロースの夫婦はおもちゃやお人形は用意出来ても人を蘇らせる事は出来ないのです。


「困ったなー……」

「困りましたね……」


 どんなに悩んでも渡さないプレゼントは作れません。サンタクロースのおじいさんは不採用の箱にいれて。その子には別の物を渡す事にしました。



 しかし翌日もその翌日も同じような手紙が沢山来るようになりました。


「戦争はまだ終わらないのかね?」

「子供達に罪はないのにね……」


 叶えられないお願いを不採用箱の中に入れる度にサンタクロースの夫婦は心にとても深い傷を付けていました。そんな悲しい雰囲気のなかに誰かが入ってきました。


「おやおや、夢を届けるお2人がそんな顔してちゃいかんでしょー。」


 そこに居たのは見た目はサンタクロースのおじいさん……でも着ている服は黒く袋は白に少し黒が混ざった灰色でした。


「ブラックサンタか……お前さんに言われるとはな……とても酷い顔をしていたのだろう。心配かけたな。」


 サンタクロースのおじいさんは自分のほっぺたをパチパチと叩いて気を引き締めました。しかしそんな事は見向きもせずにブラックサンタのおじいさんは不採用箱の手紙を読み始めました。


「なんだこの手紙は!こんなもん叶えられるわけないだろう!」


 そう言ってブラックサンタのおじいさんは手紙を全て暖炉の中に入れて燃やしてしまいました。


「な、なんて事をするんじゃ!」


 それを見たサンタクロースのおじいさんはブラックサンタのおじいさんに掴みかかります。


「届けられない手紙を持っていても仕方あるまい。それよりどうやってこの子達に夢を与えるのかが重要じゃろうが。」


 そう言ってブラックサンタは外に出てソリヘ乗ると何処かに行ってしまいました。そして向かった先は天国でした。


「ここを開けろ!ブラックサンタが来たぞ!」


 その声に天国の扉が開きます。そこを颯爽と潜り向かう先は神様のいる神殿でした。


「これはこれは……珍しい客だな。何の様かね?ブラックサンタよ。」

「ここ最近戦争で亡くなった人を蘇らせてくれ。」


「無理だ!」


 ブラックサンタの言葉は神様の一喝で否定された。そして神様は諭す様に口を開きます。


「あのな……人は死ねば天国か地獄に行く。それが自然の摂理だ。そしてそれが戻る事はない。死んでしまえばもう生き返らない。それを知らぬほど無知でもなかろぅ。」


 それを聞いたブラックサンタは1枚の手紙を出した。それは先程読んだ手紙でした。


『お母さんを返して……!』


 手紙の内容はこの一文だけでした。


「こんな手紙が1000通以上も来ていた。この子達は悪い子ではない。なのにこんな無理な願いをしてきたんだ。少しくらい叶えてあげられないのか?」


 この手紙には流石の神様も思うところがありました。しかしそんな事は出来ないのです。


「では、夢の中で再会させるのはいかがでしょうか?」


 声の方に目を向けるとそこには女神様がいました。


「私も今の戦争には心を痛めておりました。どうかお願い出来ないでしょうか……?」


 神様は少し悩んでいましたが、すぐに了承してくれました。


「分かった。では、日時はどうする?」

「イブの前夜がよろしいのではないかしら?聖夜は休戦に入るでしょうし。」


 日時も決まった事でブラックサンタは次に向かいます。向かった先は地獄でした。そして今度は閻魔大王様に会いに来たのです。


「おお、ブラックサンタよ。今年は早いお出ましだな。それほどの悪党がいたのか?」

「ええ、とびっきりの悪党がいました。しかし連れてくるのは聖夜の夜です。今回はその前にお願いがあって参りました。」


「願いだと?」


 閻魔大王様は少し眉間に皺がよりました。


「はい、今世界で起こってる戦争での死者を少しだけ貸して欲しいのです。」

「……なんだそんな事か。それならば許可しよう。」


 閻魔大王様はカッカッカと笑いながら了承してくれました。


「ワシも先の戦争には随分と心苦しい所があってな。善良な者も戦争によって誰かを殺害し地獄にきておる。普通に暮らしていればそんな事はなかったのだからな。刑期を短くしているがそれで良いのか考えていた所だ。お主の事だ。何か企んでるのだろう?連れて行くといい。ただし少しの間だけだからな。」


 なんと意外にもすんなりと希望が通りました。そして聖夜の夜……世界中の人が眠りにつきます。その頃ブラックサンタは地獄にいました。そしてサンタクロースのおじいさんは天国にいました。


「では、開くぞ!」

「開きます!」


 そうして開かれた扉の向こう側は霧の中でした。しかしその霧は徐々に晴れていきそこには大勢の子ども達、そして大人達もいました。


「ここは……」


「皆の者!メリークリスマス!吾輩達から細やかなクリスマスプレゼントじゃ!今この時だけ、亡くなった者と生きた者が会える機会を作った。期間は明日の夜明けまでじゃ!何か有れば我々が手伝う。では皆の者存分に楽しめ!」


 そう言うと天国の天使や、地獄の鬼たちが死んで離れ離れになった家族を見つけ始めます。すぐに見つけられない子どもたちはサンタクロースのおじいさんがソリに乗せて一緒に探し回ったり、閻魔大王様も大きな身体を利用して探してる大人のサポートをしていました。そうして再会を果たした親子の泣く声や、笑い合う声が各地から聞こえます。


「ブラックサンタよ。これで良かったのか?」

「どう言う意味ですか?閻魔大王様?」


「こうして再会させたとして、朝がくればまた現実になってしまう。それは人の子にとってはあまりにも酷ではないか?」

「何をおっしゃいますか。閻魔大王様。私はブラックサンタ。悪い子に罰を与えるのです。無理な願いを無理して叶えるにはそれなりの代償がいる。それが起きた時の喪失感。私はそれが今回の罰だと考えております。」


「……流石はブラックサンタだな……」

「けれど……お別れくらい言わないと人の子は前にも進まないのですよ。」


 声のする方を見るとそこには天国の女神様が立っていた。


「こうして再会出来た事で明日を生きれる方もいます。私たちは今回あまりに理不尽な事柄故に動いただけです。そしてここにいる方全てが夢の中の話と分かっています。だからあなたの言う喪失感などきっと持つ事などないでしょう。」


 女神様の言葉にブラックサンタは少し不貞腐れた顔をして何処かへ行ってしまいました。


「あら、機嫌を損ねてしまいましたか?」

「なーに、アイツなりの照れ隠しじゃ、カッカッカ!」


 そう言って閻魔大王様は大きな声で笑っていた。そして束の間の時間はあっという間に終わってしまう。


「さぁ、日が昇る時間です。みなさん帰りましょう。」


 女神様の言葉に不満を言う人はいませんでした。それどころか皆素直に別れの挨拶をしたのです。そして目が覚める人から夢の世界から消えていきます。しかし、ここでトラブルが起こります。


「ひっく……」

「うぅ……頭痛い……」


 なんと鬼達がお酒を飲んでしまって地獄への入り口が通らなくなっていたのです。そこで閻魔大王様は即座にこう言いました。


「仕方ない、少しだけ天国に行く事を許す。今は天国へ避難しておけ!」


 地獄から来た人たちはその命令に従いました。こうして夢の世界にいるのは女神様と閻魔大王様、そしてサンタクロースのおじいさんとそのお嫁さんだけになりました。


「良かったのですか閻魔大王様?」

「いいんじゃ、元より悪事などしておらん奴らじゃ、問題なかろう。」


 そう言うと寝ている鬼たちを起こして閻魔大王様たちは地獄に帰っていきました。


「そう言えばブラックサンタは何処へ行った?」

「先程疲れたから帰ると言ってましたよ。」


 そう答えたのはサンタクロースのお嫁さんでした。


「そうか……あやつも大変だな……さぁ我らは明日の為に少し休むかのぅ。」


 そうしてサンタクロースのおじいさんたちが帰った後、女神様が夢の世界の扉を閉めました。




 某国の一室にて国の王様は怒り狂っていました。


「クソッ!何故絶好の好機に兵士たちが全員寝ていたのだ⁉︎前代未聞だぞ!こうなれば今いる兵士たちは全員処刑して……」

「メリークリスマス!」


 怒り狂った王様の前に現れたのはブラックサンタでした。


「なんだ貴様は⁉︎何処から入った⁉︎」


 そう言うと王様はピストルを構えました。しかしブラックサンタは動じる事もなくただ淡々と話し出します。


「私はブラックサンタだ!悪い子にプレゼントを届けに来たぞー!」


 そうしてブラックサンタは袋から灰を王様にぶつけた。すると王様は怯んでしまい照準をずらしてしまいました。


「貴様!私を誰だと思っている!今すぐに射殺してやる!」


 再びピストルを構える王様にブラックサンタはやれやれと言った感じに話します。


「今ので反省はせんか……じゃあこれならどうだ?」


 そう言って袋から出したのは兵士の生首でした。


「ひっ!」


 これには流石の王様も腰を抜かしてしまいます。そうこれは戦場で亡くなった方の首でした。そして次に出した物に王様は顔を青ざめます。


「お、お前……それは……」


 そう出したのは王様のお嫁さんの生首でした。そして次に出てきたのはその息子たちの生首。それを見た王様は泣き出してしまいます。


「なぜ……こんな事を……」

「なぜだと?」


 その言葉にブラックサンタは不機嫌な顔をします。


「お前は自分の身内はダメで国民にはいいのか?兵士にだって家族や友人がいたんだ。なのにお前はその人たちの命を軽く見た。これがその代償だ。」


 ブラックサンタの言葉に王様は何も返せませんでした。しかし何かを決意した様に立ち上がりピストルを構えます。


「き、貴様だけは殺す!」

「やれやれ……まだ反省しないとは……」


 そうして呆れているブラックサンタに向けてピストルから弾丸が飛びました。しかしブラックサンタには当たっていません。それに焦った王様は続けて2発3発と打ち続けました。それでも弾丸はブラックサンタにかすりもせずすり抜けていきました。


「もう良いよ……眠りなさい悪ガキ。」


 その瞬間王様は眠りに落ちた……そして再びブラックサンタと会うのでした。




 聖夜の翌日より攻撃をしていた国の王様が病気となった為、戦争は休戦となりました。そしてその王様が目を覚ます事はありませんでした。夢の中で悪夢が終わるまでは目が覚めない。それがブラックサンタから王様へのプレゼントだったからです。





                       Fin

読んで頂きありがとうございました。

本来ブラックサンタは悪い子に灰を被せるとの事です。更に悪い子には動物の死骸を置く事もあるとか。


そして更に悪い子はそのまま地獄に引き込んでしまうという場合もあるそうです。今回は戦争の悲惨さを伝える為に人を遺体を登場させて頂きました。


敵であろうとその敵にも家族があり、友達がおります。早く戦争が終わる事を願ってます。

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