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モノローグ3



 まずい。

 やってしまった。

 つい勢い余って待ち合わせ場所を図書館にしてしまったが、うちの図書館はなかなかに広い。

 あいつが私を見つけてくれるか不安だ。

 ……とりあえず見つけやすいように入り口近くの閲覧席(試験期間中以外は自由使用可)を陣取ろう。

 教室で同級生と何か話し込んでたけど30分も経てば来るでしょ。


~~30分後~~


 遅い。

 宿題終わって暇なんだけど。

 仕方ないから何か本でも読んで時間を潰すか。

 あまり長く立ち歩くとあいつが来た時に先に帰ったと思われるかもしれない。

 分野を絞って本を探そう。


(こんなもんか)


 席に戻って戦利品を確認する。

 ページ数が少なめなミステリー小説、眺めるだけで楽しい料理本、「男女別 心を掴む心理テクニック」……ナニコレ。

 気づいたら手に取っていたようだ。

 ……でもちょっとだけ気になるから読んでみようかな。


「ごめん、遅れたー」

「別に待ってないけど」


 咄嗟にそれだけ返し、即座にミステリー小説に持ち替えて適当なページを開く。

 隣を空ける動作をしつつ自然な流れでミステリー小説以外を鞄にしまう。


「あれ、もう宿題終わった感じ?」


 そうだよあんたがあんまりにも遅いからもう終わったんだよでも何読んでるかばれてなさそうで良かったー!

 苛立ちと安堵が入り混じった溜息と吐く。


「じゃあ俺もさっさと終わらせよっと」


 え? もしかして宿題終わらせたら即解散?

 そ、それはそれで味気ないというか……。


「せっかくだしここの蔵書を少し見て回ろうかな。俺の宿題が終わる時間にもよるけど」


 よかった。

 す、少なくとも約束してしまった義務感でここに来てるわけじゃなさそう。


「それじゃあまた明日」

「ん……」


 図書館の閉館時間が過ぎて、帰り道の別れ際に短い言葉を交わしてそれぞれの帰路につく。






 早く自分の正体を明かせば楽になるかもしれない。

 けれど、今となってはそれが怖い。

 私は彼を人として、恋愛感情として好いている自覚はある。

 だからこそ、自分が元相棒の犬でしたと伝えた時にどうなるだろうか?


 その1、女として見てくれる。

 その2、仲のいい友人になる。


 大きく分けてこの2パターンが想定される。

 「その1」であれば嬉しいことこの上ないが……もし、「その2」の扱いになった場合のことを考えるとどうしても言い出せなかった。

 友人として見られてしまえば、好感度は高くても恋人になることが困難この上ない。


「友達だと思ってるから……ごめん。そういう目では見れない」


 これを言われたら私は立ち直れる自信がない。

 だから私は考えた。

 今度こそは一人の女の子として見てもらえるよう、慎重に距離感を詰めていこうと……!

 見てろよ英雄(ひでお)! 私の女としての魅力にとくと驚くといい……!

 …………。

 女としての魅力ってなんだよ!

 あれか、とりあえず胸でも出せばいいのか?

 いや英雄は「あんまり露出派手な子はなぁー。見る分にはいいけど……」とか言ってたから違うし。

 ……一旦この問題は置いといて、明日からは連絡先を交換できるように頑張ろう。



ここまでお読みいただきありがとうございます!

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