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モノローグ1



 私はパニックになっていた。

 突然わけのわからない世界に居て、自分の姿も四足歩行の獣に変わっていて。

 そんな時、一人の男が声をかけてきた。


「俺の名前は山田英雄。英雄(えいゆう)って書いて英雄(ひでお)って読むんだ。……つっても、異世界じゃあ通じないか」


 右も左もわからなかった私は、同じ世界から来たであろうその男についていこうと思った。

 苦楽を共にし、一年ほど旅を続けて異世界を救った後、私は元の世界に戻ってきていた。


(ああ、そうだ。車に引かれそうだった犬を助けようとして私は……)


 病室の天井を見上げながら、私は考え事をしていた。



 ――彼は無事に帰れたのだろうか。

 願わくば、もう一度、今度はこの姿で会いたい。



 そんなことを考えていたら入学式の前日に眠れなくなって、そのせいでどうしようもない眠気に襲われて、仕方なくホームルーム中に寝ることにした。

 肩を叩かれて起こされた時は流石にイラついてしまったが、そんな感情もすぐに飛んで行った。


「俺の名前は山田英雄。英雄(えいゆう)と書いて英雄(ひでお)だ。ありふれた名前だろ?」


 身体に電撃が走ったかのような衝撃を覚え、気づいた時にはもう声を出していた。


「あんた、もしかして異世界転生でもした?」


 まさか同じクラスになるなんて……!


(これはもはや運命? 嬉しい。やった。なんて奇跡。今度こそちゃんと思いを伝えなきゃ……!)


 様々な感情が頭の中で交錯する。

 しかし、それと同時に旅の思い出(嫌な部分)も蘇ってくる。


「お姫様可愛かったよな~。あんだけ表情豊かな人と一緒だと毎日楽しいだろうな~」


 可愛い女を見るとすぐに浮足立つバカの顔が。


「ピナって性別どっちなんだ? まあどっちでもあんま関係ないか、犬だし」


 何が『犬だし』だ。

 舐めやがって……!


「藤さんはさ……異世界転生したことある?」

「は? あるわけないじゃん何言ってんの?」


 寝不足でまともな思考ができていなかったのもあってか知らないが、つい私は彼につっけんどんな態度をとってしまった。



昇子視点の第1話です。

モノローグを読まなくても話自体は分かるように書いていくので、

主人公視点だけで読み進めたいという方は飛ばしていただいても構いません。

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