表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/74

鉄壁の守り

 人は本当に驚いた時、思考自体が付いていかないものなのか。

 それはミリエンヌとメイドのネネにも言える事だった。

 手は痙攣を起こしたように小刻みに震えるが、体は固まったかの様に、(しばら)く動かなかった。


「お、お、お嬢様、わた、わた、私達は誘拐されたのでしょうか?」

「そ、その様ね」

 お互いやっと強張(こわば)りを解いた手を握り合えた。


「きっと大丈夫よ。従者が直ぐに衛兵の所に駆け込んでくれているから」

 そう励ますしかない絶望的な状況に、ミリエンヌの頭の中には、愛しいノア様の姿しか浮かばなかった。


「きっと助けて下さるわ」

 その言葉は、自分を励ます意味でもあった。

 それにしても、この誘拐は計画的なもの?

 犯人の目的は何?

 人目の多い街中で拉致するなんて、強引に事を進めたのは何故?

 私を狙ったの?それとも貴族令嬢なら誰でも良かったの?

 混乱でよく回らない頭でミリエンヌはひたすら考えた。


 ❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎


「ネネ、鎧戸(よろいど)の2箇所の鍵を閉めて、窓に鍵を掛けて頂戴」

 ネネはやっと正気に戻ったらしく、無言でてきぱき行動を始めた。

「それとドアを破られない様に、鍵を掛けて上下に(かんぬき)を……ドアノブを念の為此れで固定して頂戴」

 そう言ってストールを渡す。


 実はこの馬車は特別製。

 母パトリシアはこういった特許をたくさん持っていて、この馬車もそうだ。

 商売上狙われる事も多い為、自衛手段が取れるように改造されていた。

 移動の時が最も危ないからだった。


 ネネはドアの取っ手にストールを巻き、固く結んだ。

「この端はどうしましょう?」

「そうね、閂に噛ませましょうか。これは特別な糸で編まれた、丈夫なストールなのよ」

 二人で協力して閂部分に噛ませた。

 押したり引いたりするがびくともしない。

 そして最後に床にあったカーペットを捲り、角の目立たない所にある小さな板をずらした。

「お嬢様それは?」

「息が出来ないと困るでしょう?空気穴よ」

「そうなんですか」

「但し見つからないようにする為にここにあるの」

「それは何故ですか?」

「これを知られて、煙で(いぶ)されでもしたら大変だからって」

「わぁ、頭が良い!」

「すべてお母様の考案した物よ、この馬車自体燃えにくい素材で作られているしね」

「安心しました、一時はどうなるかと思いましたけど」

「これで時間が稼げるわ」

 自分達で出来る事はやった。守りは鉄壁だ。

 此れで諦めてさっさと去ってくれればそれが一番だが、時間が稼げて人目につけばそれも良し。


 でも私が公爵令嬢と知ってこんな事を?

 何だか自分が狙われた事に、違和感が付きまとった。


 ❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎


「お嬢様、馬車が止まる様です」

「あれからそう時間は経っていないわね、案外近場だったかも」

 ゆっくり馬車が停止した。


 そして男の声がする。

「おい、降りて来い!」

「お嬢様⋯⋯」

「大丈夫、このままゆっくりしていましょう!」

「お、おい!聞こえないのか!」

「⋯⋯」

 業を煮やした男が、馬車のドアに手を掛けて開けようと力を込めたが、びくともしない。

「どうなってんだ!」

「早く開けなさいよ!全くグズなんだから!」

「女の声がしたわ」

 私の耳に確かに、甲高い女の声が聞こえた。

「お嬢様、犯人には女も居るのですね」

 小声でネネが言う。

「そうみたい。それにしても、あの声と口調どこかで⋯⋯?」


「早くなさい!開かないなら蹴破ればいいでしょう!」

「そんな簡単に!」

 ドンドン馬車が横揺れする。

 しかし、ドアはびくともしなかった。

「鍵を開ければいいでしょう、誰か鍵開け出来ないの?」

 外では揉めている様だ。

 今ある状況で、犯人は複数。

 リーダーはあの甲高い声の女、男の協力者が複数。


「やってみます!」

 そう男の声が聞こえて、今度は鍵穴をガチャガチャやっている。

 そして暫くして、ガチャと音がした。

「開きました!」

 そう言ってドアを開けようとするが、びくともしないのだ。

「くそっ、どうなっているんだ!」

 馬車全体が『鉄壁の要塞』の様になっている。


 段々時間が経ち、犯人グループも焦っているようだ。

「何をしているのよ、早くして頂戴。ここはまだ王都に近いのよ。人目に付くじゃないの!」


 その声を聞いて、

「もしかして、あのエリー何とかって言う人じゃありませんか?」

 ネネがそう言った。

「確かにその様ね。まさかこんな強硬手段に出て来るなんて!」

 ミリエンヌは油断した自分を、責めた。

「ごめんなさいね、ネネをこんな事に巻き込んで」

「お嬢様は何も悪くありません!」

 ネネは涙を浮かべた眼差しで、しっかりと頷いた。

「大丈夫、ノア様が必ず見つけて下さるわ」

 二人で身を寄せて、神に祈った。


評価、ブックマークお願いします♪(´ε` )

今日の題名『鉄壁の守り』

私の大好きな漫画から〜分かるかな?

そう、某バレー漫画より頂きました♪

サブタイトルが一番苦手、なのです〜( ̄+ー ̄)

その次が人物名!

お気づきの方いらっしゃるでしょうか、多治見市から取ったタジミール!

センスがないので苦し紛れです!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ