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エリーの暴走

「とてもお似合いですよ」

 今日は婚約パーティーの為の衣装選びに、婚約者のノア様とアンナさんと3人で来ていた。


「ノア様、どれを見てもそれしか言わないのですから!」

 ミリエンヌは頬を染めて言った。

「どれもお似合いになりますから、そうとしか言えませんものねぇ?」

 ドレスのデザイナーからも言われて、ノア様も頭を掻いている。

 デザインをどの様な感じにするか、見本に色々と試着している所だった。

「ミリエンヌさんは落ち着いたお色ばかりだから、少し冒険なさったら?」

 アンナさんが、これなんかどう?とドレスを抱えて持ってきた。

「後ろがそんなに開いたものは⋯⋯」

 ノア様が反対した。

「えー、セクシーで似合うと思うけど!」

 アンナさんは大胆なデザインばかり薦める。

「お顔映りからすると、こんなお色は如何でしょうか?」

 白をベースに薄い水色の花びらの様な布地とレースを合わせる。

「ラインはこんな感じで⋯⋯」

「ああ、素敵だな」

 ノア様が言った。

 アンナさんも

「凄くお似合いよ」

 と褒めて下さった。

「私もこれが気に入りました」

 その後、何枚かデザインを描いて貰って、無事決める事が出来た。


 ✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎


 そして最近評判のカフェで休憩を取る事になるが、ノア様は仕事がありご一緒出来なかった。

「何着も試着で疲れたでしょう?」

「でも楽しかった!あんな経験初めてだったから」

「あら、ディラン様の時は?」

「あれは偽装婚約だったから、ディラン様が適当に選んだドレスだったの」

「そうなの?随分不誠実ね」

「あれで良かったのよ。あの時は」

「ふふふっ、それで今日は気合が入っていたの?」

「そうなの!」

 そんな話をしながら、楽しく美味しいパイを頬張った。



「それはそうと、あのエリーとか言う令嬢は今どうしているのかしら?」

 アンナさんが水を向けてきた。

「何でも事件解決まで、隣国に行かせる訳にはいかないって。今は軟禁状態らしいですけど」

 ミリエンヌにも詳しい情報は入ってきていなかった。

「捜査は進んでいるのかしらね?」

「犯人グループが捕まらない事には、どうしようも無いのかも知れませんね」

 何せミリエンヌ宅からの帰り道での誘拐だったので、知っていれば送ったのにと言う気持ちが強かった。


 カフェからの帰り道、馬車に乗り込もうとすると、少し離れた通りが騒がしい。

 従者に見てくる様に頼んで、メイドと共に馬車の中で待つ事にした。


 すると直ぐに馬車が動き出す。

「あら、変ですね。声も掛けずに出発するなんて」

 メイドのネネが(いぶか)しがっていた。

 今日はノア様がご一緒だったので、護衛がいない。

 従者が腕に自信があったので、気にも留めなかったがやはりおかしい。


 小窓から覗いたネネは、

「お嬢様、大変です!知らない男がこの馬車を走らせています」

 すると気がついた従者が、大声を出しながら追いかけて来た。

 しかし直ぐに振り切られて、馬車はどんどん進んで行った。


「お嬢様、どうしましょう?」

「ネネ、落ち着いて」

 そうは言っても、ミリエンヌの手は小刻みに震えていた。


 ✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎


 少し時を遡る。

 軟禁状態のホテルを無事抜け出したエリーは、乗合馬車に乗り、自分達が誘拐されたアジトを目指そうとした。

 しかし、乗合馬車の乗り方はおろか、お金の払い方もメイド任せで分からなかった。

 それでも何とか平民に教えて貰い、乗合馬車のところまで辿り着いた。

 そして金貨を出して、強引に乗り込む事に成功した。


「人気のカフェとかのある通り、そこで下ろしてちょうだい」

 そう言って、決して乗り心地の良く無い座席にどかりと座り込んだ。

 他の乗客はエリーを避ける様に、反対側にぎゅうぎゅう詰めの状態だった。


「お嬢さんこちらですよ」

 そう声を掛けられて、慌てて降りる。


 そして記憶を頼りに路地に入り込んだところで、犯人グループの一人と出くわす。

「お前、話が違うじゃ無いか!」

 リーダーのハイドンが食ってかかる。

「シー!誰かに聞かれたらどうするのよ!取り調べ官に閉じ込められていたの!忘れた訳じゃ無いわ!」

「それならいいけどよ」

「ちゃんとお父様に用意させるから安心しなさい!」

「なら、アジトまで来て貰おうか」

「嫌よあんな所!私カフェで何か飲んでいるから、ホテルを手配なさい」

「ホテルだぁー?」

「そうよ、もし踏み込まれたりでもしたら、大変じゃ無いの!頭を使いなさい!」

「わ、分かったよ、金さえ貰えればいいんだ。じゃあ、そのカフェとやらに行けばいいんだな」

「そうよ。それと部屋は高い部屋よ、分かっているでしょうけど」

 そう言いながら表通りに出ると、ミリエンヌとアンナがお茶をしているのが目に入る。

「あそこに、憎むべき女がいるわ!」

「どこ?」

「ほらあの窓際の席に女二人座っているでしょう?あのブルーのドレスの女よ!」

「なかなかの美人じゃ無いですか」

「趣味悪いのね!」

「⋯⋯」

「私いいこと思いついた。向こうで騒ぎを起こしなさい。馬車ごと誘拐するわよ!」

「はぁ?」

「いいから、その報酬もあげるから。最後の仕事よ!」

「分かった。騒ぎを起こせばいいんだな?」

「私が指示するから、早く他の者を呼んでいらっしゃい!」


 そうしてまんまとエリーの思惑通り、馬車を乗っ取れた。

 エリーはノア様の心を奪った女であるミリエンヌを許すつもりは無かった。


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