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婚約の余波

 その知らせは主に国中のお年頃の女性の皆さんに、少なからず衝撃を与えたらしい。

 御令嬢達の悲鳴が聞こえてくる様だ。

 そしてその女性達によって、瞬く間に拡散された。


『今、最も結婚したい男』


 顔良し、家柄良し、その上頭脳明晰、将来有望。

 二年前に婚約解消してからは、国中の独身女性が虎視眈々(こしたんたん)とその座を狙っていた。


「まるであの頃のあなたの様ですわね」

 昔を思い出して、母が夫である父を見ながらしみじみいった。


「失礼な。私はパトリシア一筋で……一時は諦めて政略結婚もしたがこうして夫婦になれて、本当に幸せだ」

 あっ、また両親の惚気(のろけ)が始まった!これ長いやつだ。

 こうなると二人の世界だ……何だか小声でイチャイチャやってる。


「君の両親っていつもああなの?」

 ディラン様には少々刺激が強いかも知れない。

「えぇ。私と婚約したのなら慣れて貰わなければ」

 うちの両親は、結婚して何年経過しようが変わらない気がする。


「いや、結婚してアレをずっとやっているのか……うわっ、お姫様抱っこで回り始めた」


「うぉっほん。さぁ、私たちはさっさと対策会議をやりますよ!」

「……」

「いつまで見てるんですか!」

「アレ、お手本にしようか」

 ディラン様が真剣な眼差しで言った。


「いや、演技で()()は無理でしょう!」

「いやはや。うちの両親の様にドライな関係に慣れていたからインパクトが強いよ」

「見慣れたら、あぁ、またやってる二人の世界⋯⋯位になりますから」


 うちの両親は特別だ。

 昔、何かの本で読んだ『ソウルメイト』というものだろう。


『魂の片割れ』


 出逢えた両親は幸せなんだと思う。


 結ばれる前は其々に伴侶があった様だが、運命は結局2人を添わせた。

 亡くなった方と離婚した方には悪いが。


「羨ましそうに見てるのは君もだろう?」

「ええ。認めますが私もまだ諦めていないので、目を皿の様にして探します!」

「ぶ、ぶっ。目、目をさ、皿の様に?」

「何かおかしい事言いましたかしら?」

「いや。早くこの件が解決して見つかる事を願うよ」

「本当にそう思ってますか?」

「ホント、ホント」

 何故かお腹を抱えて、ゲラゲラ笑うディラン様を横目に新たに決心した。


 ディラン様が『流石ミリエンヌ嬢。素晴らしい人を見つけたね』

 という日が一日も早く訪れる様に頑張らねば!



 ❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎


「嘘よ、嘘でしょう!」


 部屋に絶叫にも似た悲鳴の様な声が鳴り響いた。


 ここはケイトリン・モナーク侯爵令嬢の私室。

 ショッキングピンクの綿菓子の様な髪を振り乱しながら、手近にあったクッションを次々と投げて言った。

 厳格な両親の手前、リビングで聞いた時はドレスを握りしめて何とか我慢した。


「何故そういう事になるのよ!」


 両親はケイトリンが昔からディラン・ホワード氏を愛し、執着しているのを知っていた。

 しかし相手は婚約者が既にいて、諦めさせようと政略的な婚約を結ぼうとした。


 しかしケイトリンはその都度見合いをぶち壊す真似をして、両親のみならず紹介者にも恥をかかせた。

 何度も繰り返すうちに、噂が立ってしまい見合いの申し込みが皆無になった。


 そうこうしているうちに、ディランの方がやっと婚約を解消した。

 相手の女は年上の男とさっさと結婚した。

 所詮政略の婚約者、蓋を開ければその程度である。


 こうなれば両親にとっても、派閥が違うと言っているどころの話じゃ無い。


 行き遅れになる前に何とか縁を結ぼうと、アプローチを繰り返してくれた。

 しかしそういった申し込みが多いらしく、やんわりと断られる。


 後はケイトリンに任せるしか無いと、最近になってやっと理解してくれた。

 それで邪魔な者をそれとなく排除しつつ、距離を縮めているつもりが⋯⋯してやられた。

 私が嫌がらせにやった事で、上手い事ディラン様の同情を引いたのかもしれない、あの女は。


 何せあの悪名高き『ロザリンド』の娘なのだから。


 どんな手を使ったのか?

 ケイトリンは悔しくて部屋の中を苛々と歩き回った。




評価とブックマーク宜しくお願いします。

皆さんの応援待ってます~( *´艸`)

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