表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/74

思いもよらぬ決断

「それで如何(どう)なったのかな?ディラン君」

 お父様がディラン様に聞いている。


 私は出席者名簿に連なる方達と過去にトラブルが無かったか、確認していた。

 それでいい加減に疲れてしまって、母と肩寄せ合ってソファーにぐったり座っている状態だ。


「多分、給仕の使用人男性にやらせたのかと」

「それは確かかね?」

「でもその使用人が特定出来ませんでした。目撃した令嬢に確認して貰いましたが」


「我が家の使用人は昔から働いてくれていたり、その縁者であったりする者ばかりです。身元もしっかりしているし、そんな事をする人間は居ないと断言出来ます」

 主催者であるラッセル侯爵が言う。

「外部の人間を補充で雇ったという事は?」

「いや、今日の規模だと有りませんね」

「だとしたら誰か外部から潜り込ませたのだろう。残念だが証拠が見つからん」

「泣き寝入りですか」

 私が言うと仕方がないと言う雰囲気になった。


「ラッセル侯爵、使用人達に見慣れぬ給仕の者を見掛けなかったか、聞いて貰えますか?」

「直ぐ執事に調べさせよう。では少し席を外します」

 そう言うと、ラッセル侯爵は部屋を出て行った。


✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎


「実は私にいい考えが有ります」

 ディラン様が提案する。

「その令嬢を密かに尾行させるかね?」

 父が言う。

「いいえ。これには皆さんの協力が必要です。ミリエンヌ嬢、私と婚約してくれませんか?」

「婚約?」

 何故嫌がらせの犯人を捕まえる話で、私の婚約の話になるのか?

 そもそも私に婚約者がいないと知っていた事に驚いた。


「今回だけなら我慢も出来るかもしれません」

「また起こると言いたいのかね?」

「しかし何が目的か分からない状況では、そう見ていいでしょう」

「それに関しては我々が守ろう」

「それでは根本的な解決にはなりません。常に不安が付き纏う。それでパーティを楽しめますか?パーティだけとも限らないし」

「不安で楽しむどころか皆さんを疑ってしまうかも……」

「ですから婚約して様子を見ましょう」

「……」

「よく考えて下さい、今後も危険は常にあり、エスカレートするでしょう」

「確かにそうだが、婚約とは!」

如何(どう)するの、ミリエンヌ。このまま泣き寝入りするの?」

 母もディラン様の提案に、心が少し傾いている様だった。


「お母様、泣き寝入りは嫌ですが、ディラン様は流石に婚約者がいらっしゃるのでは?」

「いや、居たんだが破談になってね。嫌がらせに耐えられなくて⋯⋯別の人に嫁いだよ」

「その方も嫌がらせを⋯⋯?」

「気の弱い、優しい人だったんだ。それが小さな嫌がらせが段々と大ごとになってきて⋯⋯」

「お好きだったんですね」

「幼い頃の刷り込みかな?婚約していたからその時はね。でももう気持ちはないよ」

 そうは言ったが、ディラン様の目の奥には悲しみが見えた気がした。


「その時の犯人は?」

「捕まえられなかった。だから今回も同じ人物によるものだと思う」


「でもミリエンヌにもしもの事があったら」

 父はあくまで慎重派だ。

「勿論全力で守ると誓います。そしてもし犯人が分かって償いをさせたら、破談で構いませんから」

「如何?受ける?」

 母も心配している様だが悪い話には思えなかった。


「でもそれはつまり私が餌になる訳ですよね、少し怖いです」

「お断りします。家のミリエンヌにはさせられません」

「……そうね、やっぱり危険だわ」

 父母がキッパリと断った。


 その気持ちがミリエンヌには嬉しかった。

 二人の愛情で、世間の悪意を跳ね返すだけの勇気を貰っていたと強く感じる。

 言われっぱなしだった幼い頃、二人が全力で護ってくれたからこそ……。

 自分の中で事実として受け止め、それを昇華させていった。


 私には家族がついていてくれる!

 それが不安な気持ちを吹き飛ばしてくれた。

「お父様、お母様。私婚約します!」

「ミリエンヌ、危ない目に遭うんだ。怪我をするかもしれない!」

「そうよ。婚約者探しは少しお休みしたって良いんだから」

「私、決めました!悪い事もしていないのに、私が不利益を(こうむ)るのは納得いきません」


 これによってミリエンヌとディランの婚約が決まった。



評価、ブックマークで応援お願いします〜^_−☆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ