あの時の気持ち
今日はミリエンヌの婚約に至る気持ちについて書いてみました。
お分かり頂ける様に書いたつもりだったのですが、説明不足の点も有り疑問に感じられた方も多いでしょうし。
話の端々に入れるつもりの分も、まとめて書いた方がわかり易いのかなとも思いまして。
感想等でお一人お一人に説明していたのですが、感想を寄せてくださる方はごく一部。
ですのでこう言った形を挟ませて頂きました。では長くなりましたがどうぞ〜_φ(・_・
「お嬢様、何故ディラン様と婚約なさったのですか?」
あの日同行していたネネちゃんが、心配そうに聞いてきた。
「そんなに不思議?」
「はい、何だか思っていた様な方には思えなくて……すみません。失礼な事を」
「あの時は他の三人の会話が、チンプンカンプンだったでしょう。ごめんね、仲間外れみたいになって」
「いえ、私はいいのです」
「うーん、ネネちゃんには事情を話しておくかな?今後も協力して貰うかも知れないし」
「はい、是非聞きたいです」
「何から話そうかしら?そうだ、ネネちゃんは友達居る?」
「はい。人並みには……」
「私ね、一人も居ないの。薄々分かっていると思うけどね」
「……」
「私の実母有名じゃない。だから何時も遠巻きにされてね、仲間になんか入れて貰えなかったのよ」
「そんな」
「仲良くすると自分の価値が下がるとでも言いたげな人達と、友達になれる?」
「⋯⋯いいえ。それは無理かも」
「チョット色々あってね。ガムで嫌がらせされた時、ディラン様だけは心配して来てくれたのよ」
「……」
「それまでは何かと絡んでくるだけの人で、ただ厄介な⋯⋯なんて言えばいいのかしら、面白がられている印象しかなかったのね」
「⋯⋯」
「でも両親、又従兄弟のアッシャー、使用人、主催者夫婦を除いて⋯⋯彼だけだったの」
「⋯⋯」
「そんな事位でって思うかしら?」
お嬢様は悲しい目をされていた。
いつも明るく、理不尽なものをも跳ね除けるお嬢様。
心の中には友人や婚約者への渇望があったのだろう。
お嬢様を取り巻く悪意に、貴族社会の恐ろしさに⋯⋯ネネは震えた。
「ディラン様言ってくださったの。優しい声で大丈夫かいって」
泣き笑いの様なそんな寂しい声だった。
「彼には犯人の目星がついてはいたんだけど、生憎証拠がなくてね。お手上げ状態だったらしいのよ。それで多分、藁にもすがる思いだったのだと思うわ。協力して見つけないかと、持ち掛けられたの。婚約もその時ね」
「そんな危険ばかりでメリット無いじゃないですか」
「嬉しかったのもあるわ。協力してなんて言われたのも他人とは初めてだったし」
「でもディラン様、頼りないじゃないですか?そんな婚約意味無いんじゃ……」
「でも考えて、婚約者としてなら頻繁に会ったり、守って貰い易い。唯でさえ悪評が絶えないのよ。婚約もしてないのにそんな事してたら、ディラン様狙ってるだとか、流石はロザリンドの娘だとかって噂されるわ」
「それじゃあ、本当の婚約相手が見つからないじゃないですか」
「好奇な視線は向けられても、婚約してくれる人が今現在居ないから。打算や下心でも嬉しかったのかな、ディラン様からの申し出が」
「……」
「それに顔と家柄は良いでしょう?家の為にもなるかもと思ったし。犯人見つけたら婚約は継続でも、破棄もオッケーらしいからっていうのもあるわね」
「全然頼りにならない様に思えたので」
「もしそのまま結婚しても、彼の足りない部分を私がサポートしていけばいいしって。少し私にも打算もあったかも?」
「危ない橋を渡るかも知れないのに?」
「その時はディラン様が守ってくださるってお話だったから、両親も渋々オッケーを出したの」
「お嬢様の方が守ってるの間違いなんじゃ?」
「それ確かに」
お嬢様は笑った。
「それとドレスも採寸もせずに送りつけて、とても失礼です」
「アレね、急な婚約だったでしょう?ディラン様のご両親でさえ領地にいらっしゃって事後報告だし、発表を急がせたからね」
「……」
「それと普通のご令嬢と違って、私があんまりそういう事に拘らないから出来た事なのよ」
「婚約破棄されるおつもりは?」
「そうね、アンナさんの事がなかったら、政略として結婚してたかも知れないわ。家柄も合うし両親の事業にも貢献出来そうだしね」
「では今は?」
「ディラン様の方が婚約破棄してくれって言いそうよ。そしたら慰謝料タップリ貰うわ、いい考えでしょう?」
「立ち入ったことまで聞いてすみません。でもお嬢様にもお好きな方が出来るかも知れないから」
「どこかに居てくれると良いけど、出会えないかも知れないからね」
「⋯⋯」
「ウチの両親みたいなケースは稀なのよ。普通は出会えないかもしれないし」
「これだけは言わせて下さい。犯人探しなんてディラン様の家がやれば良いんです。お嬢様を巻き込まず」
「やってみたけど、それが出来なかったからでしょうね。限界があるのよ、巧妙なんですって」
「……」
「それに既に敵認定されているみたいだから、危険な事には変わりないのよ」
ネネはお嬢様の置かれた状況や、深い悲しみを見た気がしていた。
今まで家では見せたことのない様な葛藤。
ずっと心に有って、それと戦ってこられたからこそお強いんだと今は思えた。
「お嬢様にはこのネネがおります!」
「ありがとう。ネネちゃん」
そして誰よりも幸せになって欲しいと、そうネネには強く思えた。
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