領地での静かな生活
前作『間引き草』無事に完結しました。
まだお読みで無い方は、親世代の純愛物語を合わせてお読みください。
そして本作は、ロザリンドの娘として有名になってしまったミリエンヌのお話です。
養母のパトリシアと同じく逆境を乗り越えて幸せを掴みます!
私は先日、8歳になった。
物心付いた時から、年老いたお父様と暮らしていた。
公爵領の片隅にある湖畔の別荘地で、長閑な田舎の暮らし。
お父様と執事、おべっかばっかりの家庭教師そして使用人達。
お母様は亡くなられたと聞かされていたが。
しかし修道院という神に祈りを捧げて生きる所に、居られるのだそうだ。
親切なおばさんが教えてくれた。
何故お父様と私を置いて、そんな生き方を選ばれたのかは、分からない。
でも例え私が病気でも、お会いする事は出来ないのだそうだ。
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「ミリエンヌ様、お勉強のお時間です」
ご本を読んでいたつもりだったけど、ぼんやりしていたらしい。
「ハイ、先生」
家庭教師である、子爵夫人が声を掛けてきた。
「流石、元公爵様のお子様ですね。理解が早くて助かります」
先生は言う。
今まで教えてきた誰よりも、記憶力と頭がいいのだそうだ。
……おべっか先生。
私はこっそり彼女をそう呼ぶ。
私はまた退屈な時間を過ごさないといけない。
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お父様はここのところ、お加減が悪いのだという。
随分とお痩せになって、余り表情が変わらなくなった。
前までは、よく豪快に笑ってらしたのに⋯⋯。
「お父様?」
「……ミリ……エンヌ」
それだけ小さな声で言うと、また目を瞑っておしまいになった。
「眠っちゃったの?」
声を掛けても揺すっても、またいびきをかいて寝てしまう。
一日中寝ていて飽きないのかな?
「……つまらない」
マナーやお勉強ばかりで一日が過ぎていく。
「何か楽しいことが無いかな……」
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私の一番会いたい人、それがアイザックおじさん。
すっごく背が高くっておしゃれで、いい匂いがするの。
お父様とは違う匂い。
私の話をよく聞いて下さって、約束も必ず覚えていて下さる。
お父様はすぐ忘れてしまわれるから……。
執事が言うには仕方が無いのですって。
「ご高齢ですので……」
それにしてもお母様の事を教えてくれた、あの派手に着飾ったおばさんは、ここの所一緒じゃ無い。
何でもアイザックおじさんの奥さんらしい。
でもその方が、楽しいな。アイザックおじさんを独り占め出来るから。
面白いお話や沢山遊んでもらうんだ。
あのおばさんは嫌い。
おしろいの匂いが臭くて爪がやたらと長くて、指輪も沢山していて凶器みたい。
そうだ、おじさんにお買い物にも連れて行って下さるようお願いしてみよう。
手を繋いで親子みたいにお店を回りたい。
白金の髪に青い目、私の容姿は見ようによってはアイザックおじさんに似ている。
きっとみんなが羨ましがるわ。
素敵なお父様ですねって。
疲れたら抱っこもして貰いたい。
ボートも一緒に乗りたいな、頑張ってオールで漕ぎ出してみたいから。
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バチが当たったのかもしれない。
そんな事を考えちゃったから。
きっとお父様の具合が悪くなったのだと思う。
お医者様や介護の使用人がバタバタしている。
「お父様は?」
「お嬢様、お気を確かに……」
大好きだったお父様が天に召されたって聞かされた。
「嘘よ、まだ眠っておいでなだけでしょう?」
「いえ、介護人が気が付いた時には既にもう……お亡くなりになっておられました」
「お別れの言葉も言えないままに?」
「眠っておいでの時にお亡くなりになったようです」
「……苦しかったかな?」
「申し訳ございません、分かりかねます」
世界がぐるりと回った気がした。途端に不安になる。
だってお父様がいなくなったら私はどうなるの?
空はあんなに晴れ渡っていた筈なのに、みるみるうちに暗くなった。
「お空も怒っているのかな?」
そして激しい雨に見舞われた。
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前作『間引き草』前々作『ラブレターを抱いて眠った彼女を追いかけて』も合わせて宜しくお願いします。
『間引き草』はミリエンヌの養父母のお話。
『ラブレター~』は婚約破棄物ですが、脇を固める者達にもスポットライトを当てて書いています。
主人公達だけでなく、その後の様子も書いていますので是非お読みくださると嬉しいです!
宜しくお願いします。( *´艸`)




