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【書籍化】魯鈍の人(ロドンノヒト) ~信長の弟、信秀の十男と言われて~  作者: 牛一(ドン)
第二章『引き籠りニート希望の戦国領主、苦闘!?』

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閑話.三者三様、西美濃三人衆という。

美濃国は元々、青野、大野、各務野の三の野を総称して三野の国と呼ばれていた。

牛屋城(大垣城)の青野に影響力が強いのが氏家-直元(うじいえ-なおもと)であり、牛屋城の西南にある牧田城を居城としていた。

(牧田城の所在は不明です)


次に揖斐郡(いびぐん)の大野は稲葉-良通(いなば-よしみち)の影響力が強い。

居城は揖斐郡の東、池田郡の本郷城であった。

稲葉なので稲葉山城が居城ではないのかと言えば、その通りであった。

斎藤-利政(さいとう-としまさ)の居城にしている稲葉山城は、稲葉家の者が城主になった事に由来する。

しかし、一度は廃城となり、室町の世に美濃守護代になった斎藤利永が修復してより、美濃守護代の居城となった。

稲葉家は本郷城に移り、大野に大きな影響力を持っていた。


最後の各務野は稲葉山城に西側の平地であり、安藤-守就(あんどう-もりなり)席田郡(むしろだぐん)北方城(きたがたじょう)が睨みを利かしていた。

美濃を追放された土岐頼芸が尾張の織田信秀と、越前の朝倉孝景に助けを乞って、戻ってきた時に居城とした城です。

兄の子である土岐頼純が入った革手城の方が、各務野を支配するにはよかったでしょう。


いずれにしろ、西美濃に大きな影響力を持った、稲葉-良通(いなば-よしみち)安藤-守就(あんどう-もりなり)氏家-直元(うじいえ-なおもと)の三人を『西美濃三人衆』と呼び、利政に対して大きな発言力を有していたのです。


◇◇◇


(天文22年(1553年)6月13日)

孫四郎と喜平次が織田家への表敬訪問(ひょうけいほうもん)を終え、尾張視察団の5人と共に帰って来た。

団長の十兵衛がいないので締まらない帰国となった。

もっとも視察団は利政が個人的に送った者達であり、美濃の総意ではないので大々的に迎えるつもりもないらしい。

個人的と言うならば、稲葉良通、安藤守就、氏家直元などの有力武将も個人的に使者や間者を送っている。

視察団とは、(おおやけ)の間者だ。

織田家の内情を堂々と調べる事ができる。

清洲会議で決まり、月の半ばから1ヶ月近く織田家に滞在していた。

美濃の領主や家臣は興味津々で帰りを待っていた。

しかし、帰国した12日は利政と家老衆に独占された。

宴会は十兵衛が帰国してからとされた。

13日の昼過ぎに戻って来た十兵衛は利政に挨拶を済ませると、下で待っていた(稲葉)良通に捕まって宴会場へ連れて行かれた。


「良通様、織田家は斎藤家の遥か先を進んでおりました」

「それは承知しておる」

「その為に調略を任せていたのであろう」

「(安藤)守就様、調略はかなり難しいと思われます。清州の信長を頂点とした軍政を敷いており、家老以下に軍権はありません。統率は領主、管理は代官、軍権は番方衆に分かれております」

「領主に軍権がないだと?」

「それでよく反乱が起こらぬものだな?」

「領主に不満はあるでしょうが、それを支える一族の村長などが織田贔屓では何ともなりません」


織田家は無理な徴兵や使役を強行せず、農地改革や開墾に積極的に協力してくれる。

芋のような副作物を推奨し、村の収入が上がってゆく。

村の移住も曲輪の建造も強制ではない。


「付け入る隙があるとすれば、織田家の甘い政策に胡坐をかいている村長を籠絡することです」

「村長は籠絡できそうか?」

「(安藤)守就様、籠絡はできそうですが、織田家はそこに網を張っております」


ちぃ、守就が舌を打った。

謀略好きな守就は織田家の意図をすぐに察した。

用件は領主と代官で事が済む。

これに接触するのは難しくない。

しかし、村長に不用意に会いに行けば謀反を疑われるのだ。


「更に言えば、織田家は領民に優しく接しております。それを上回る好条件を用意するのも難しいかと」

「織田家も強かになったものだ」

「器用の仁の後継者です」


十兵衛は(稲葉)良通と(安藤)守就との話を終えると、視察団の方へ戻っていった。

視察団には、斎藤家の若手衆が囲んでいた。

その中に氏家直元の姿もあった。

良通が嫌な顔をして酒をぐっと呑む。


「直元は織田贔屓か?」

「津島から牛屋(大垣)の通商が盛んな上、特に白石を買ってくれるのが織田家です。それで儲けておりますからな」

「不破の小倅や竹中の麒麟児を魯坊丸の側近に出すと言っておった」

「西だけでなく、東美濃の遠山家も木材を買い付けてくれる織田の世話になっております。あの織田贔屓も厄介です」

「このままでは織田家に取り込まれるぞ」


十兵衛が若手衆に織田家の凄さを力説していた。

特に京から帰ってきた利三の京河原の戦いは新鮮らしい。

鉄砲や火薬玉の説明を熱心にしていた。


「十兵衛の奴め。つい先日まで織田をここで叩かねば、斎藤家に未来が無いなどと熱弁しておったのに」

「視察団の団長にされて浮かれたのでしょう」

「利政様の思惑通りと言った所か」


このまま嫡男の高政が廃嫡されると、(稲葉)良通にとって面白くない。

それは絶対に避けたかった。

だが、その条件が問題であった。

高政が魯坊丸と仲直りして教えを乞うならば、『家督を高政に譲る』と利政は公言していた。

年寄に敬意を払う高政であったが、生意気な魯坊丸に頭を下げる気になれなかった。

一度、こうと決めると中々に頑固な性格をしていた。


更に言えば、魯坊丸は美濃年寄衆の受けも悪い。

魯坊丸は領主の実力と帝や公方様が与えた官位、職を基準に送り物を配布している。


「何故、あの者と同列なのか?」


美濃は成り上がり者が多く、自称のご先祖様など当てにならない。

ご先祖自慢をされても困るのだ。

祝いや不幸で届く品など、地位が同じなら同列に扱われていた。

恩恵が3年も続くとありがたみが無くなるらしい。

妬みや僻みで歪み始めていた。

その分、ありがたみを強く感じる者の織田贔屓も多くなっていた。


「しかし、(安藤)守就殿。貴殿の言われた通り、信勝が巧く食いついてきましたな」

「同じ事が繰り返されているだけでございます」

「さて、どんな返事が返って来ているのか」

「返事など関係ありません。高政様と信勝が懇意になれれば、それで良いのです」

「いかにもいかにも。織田家の新兵器を手に入れれば、美濃が負ける訳がない」


(稲葉)良通は茶道や医学にも興味を持ち、勇猛さでは美濃随一であった。

学識の高さならば、十兵衛にも引けを取らない。

軍略も長け、利三も教わっていた。

ただ謀略となると、(安藤)守就に敵わない。

(稲葉)良通もその策に耳を傾けていた。


「ところで十兵衛を放置すれば、美濃の若手衆を説得し、織田贔屓を増やし兼ねん。(安藤)守就殿。何か良い策はありませんか?」

「然らば、高政様に頼んで近江の反乱を手伝わせればよろしかろう」

「十兵衛は反対であろう」

「十兵衛の性格からすれば、高政様との対立は避けるハズです。それに近江の方の返事を誰かが持って行かねばなりません」


斎藤家と浅井家が(いくさ)を始めるとなると、人質である高政の妻である近江の方を返すのが習わしであった。

しかし、近江の方は帰る事を拒絶された。

近江の方の手紙と人質の返還をしないと言う利政の書状を持って行かねばならなかった。

つまり、(安藤)守就はその使者に十兵衛を推挙したのだ。


「ははは、意地の悪い事をお考えになる」

「近江の方には数通の手紙を書いて頂かねばならん」

「公方様が介入したので、こちらも無闇に援軍も送れなくなった。向こうも謀反を起こし難い」

「廃材の処理と言って下さい。十兵衛には丁度良い仕事でございましょう。成功すれば、公方様の不興を買い。失敗すれば、高政様の不興を買う」

「ははは、(安藤)守就殿を敵に回したくないものだ」

「十兵衛がどう回避するか、見物でございますな」

「では、さっそく利政様と高政様に根回しをやってこよう」

「よろしく、お願いします」


(稲葉)良通は強かで、(安藤)守就はずる賢く、(氏家)直元は立地に恵まれていた。

三者三様、様々な思いが美濃を駆け廻っていた。

稲葉良通のパラメータ、調べて見ると、オール70以上の使い勝手のいい武将でした。

評価高いな。

ちょっとびっくりです。

西美濃三人衆の一括りで考えていたので、知略は私的には50以下でした。

私の評価は基本が脳筋で知能指数が低く見積もっているみたいです。

稲葉良通は武勇だけ突出し、安藤守就は知略が高く、氏家直元が平均的な感じですね。

中央にいる為に有名なだけでパラメータが高く評価されるのは不公平な気がします。

しかし、運がなかったのか?

華やかな武名もなく、いずれも江戸時代まで持たなかったので、私的に評価が低いのです。


波乱万丈の仙石家の方が残っているので評価が高くなってしまいます。


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― 新着の感想 ―
世の中に稲葉天目が実在しているので、稲葉家は江戸時代も続いてますよ
[気になる点] 冒頭説明で途中から文体がですます調になってて違和感が これまで数百話そういうのなく読みやすかったのでなおさら
[一言] 織田家の新兵器を手に入れれば、美濃が負ける訳がない ↑ 現場を知らなければこんなもんでしょうねぇ おそらく。焙烙玉よりも火薬の使用料は多いはず となると毛利水軍でさえ 一艘につき頑張って数個…
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