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1-3話



智琉がアンノウンを出現させるという急な出来事に勤と定慈は面食らっていた。

勤「智琉が、レッド・ドラゴンと同調したのか。智琉が」

定 (あり得ない話じゃ無いが、少し出来過ぎだろ)

当人の智琉自身もこの状況に内心困惑していた。

智 (こ、これは……)

智琉の内を察した勤は咄嗟に叫んだ。

勤「智琉、それはアンノウンという存在だ。普通の人間には理解すら出来ないものだ。だがレッド・ドラゴンはお前と同調してお前のものとなった」

智「レッド……ドラゴン……」

勤「自分のアンノウンなら分かる筈だ。そのアンノウンが持つ能力を、その使い方を」

勤の精一杯の言葉に智琉の頭は一瞬思考が止まる。が、即座にあらゆる情報が智琉の頭を駆け巡った。そして、一通りの理解を終了すると、智琉は定慈に目線を戻した。それを見て定慈も口を開いた。

定「うーん、なんというか。とりあえずおめでとう、これで君も晴れて俺達と同じになれた訳だ。が、しかし、君と同調した事でレッド・ドラゴンは君の所有物になってしまった。誰かの物になったアンノウンを俺が手に入れても結局意味が無い。こんな田舎までわざわざ来た意味ももう無くなった訳なんだけど……」

智「お前には無くても、俺の方にはある」

定「みたいだな。まあ俺も折角の苦労が水の泡になってむしゃくしゃしてるし、少し相手するくらいならしてやるよ」

定慈と智琉は互いの目を睨みながらアンノウンを対峙させた。その間定慈は、智琉のレッド・ドラゴンを観察した。

定 (さて、奴はどう出てくるか。気になるのはレッド・ドラゴンの口からほんのり漏れ出てる謎のアレ。パペット・マスターと似た様な能力かと思ったが、ありゃ液体にはどう見ても見えない。湯気みたいにゆらゆらしてる。おそらくあれが能力の要)

定慈がそう見切りをつけた時、レッド・ドラゴンが動き出した。翼を大きく広げたかと思うと、ものすごい勢いで突撃してしまうきた。

定 (なんだ?結局考え無しの突進か?それなら何も恐れる事は無いな)

定慈はパペット・マスターの右腕を突き出し、液体の攻撃で迎撃した。パペット・マスターの吐き出した液体の玉は真っ直ぐ向かって来るレッド・ドラゴンに簡単に命中した。しかし、レッド・ドラゴンの体は一切溶ける事無く、勢いも衰えなかった。

定「何!」

尚も向かって来るレッド・ドラゴンを定慈はパペット・マスターを操作してギリギリ回避した。間一髪で避けたが、定慈の頭の中の疑問は残ったままだった。

定「当たってなかった訳は無い、確かに直撃した筈だ。一体何をした?」

定慈の問い掛けに智琉はゆっくりと口を開いた。

智「当たったさ。ちゃんと防御してな」

定「防御?」

智「見えないのか?レッド・ドラゴンが体に纏っているものが」

よく見るとレッド・ドラゴンの体は薄い膜の様なもので全身を覆われていた。

定「な、なんだ?」

智「レッド・ドラゴンは自身のエネルギーを形ある力に変えて操れる。口から出てるのがそうだ。それを纏っていたからお前のアンノウンの攻撃も防げた」

定「いやいや、理屈に合っちゃいないだろ。俺のパペット・マスターはどんなものでも溶かしてしまう。例えお前のアンノウンのエネルギーであろうと触れられる物質ならその例外じゃ無い筈……」

智「レッド・ドラゴンの操れるエネルギーにはもう一つ秘密がある」

未だ疑問の晴れない定慈に智琉は説明を続けた。

智「レッド・ドラゴンは自身のエネルギーをあらゆる性質の物に変える事が出来る」

定「性質……?」

智「お前のパペット・マスターの出す液体は触れた物を溶かす性質がある。なら、その液体よりも溶かす力が強い性質に変える事で対処出来る。液体に触れてもそれ以上の溶かす力で液体の方が先に溶けて消える訳だ」

定「……つまり、その溶かす性質に変えたエネルギーを纏う事でパペット・マスターの攻撃は貫通しなかったと?」

定慈の問い掛けに智琉は少しだけ得意げな表情をして見せた。

定「成る程、相手の能力や特性に対し最も有効な手段で対処出来る能力か。相手の不得手、苦手とする性質に変えて戦えればほぼ敵無しだな。全くもって最強のアンノウンだな………………とでも言って欲しかったかな?」

定慈の飄々とした態度に智琉の顔から余裕が消えた。

定「確かにその能力を駆使した防御壁ならレッド・ドラゴンには攻撃は通らないだろう。だが君自身はどうだ?」

智琉の額から汗が一滴流れ出てきた。

定「図星だよなあ。溶かす性質に変えようがそれはレッド・ドラゴンのエネルギーだ。どんな性質に変えた所でレッド・ドラゴン自身はその影響を受けない。だが君は違う。レッド・ドラゴンの所有者である君であっても、その能力の被害を受ける対象だ。防御する術は無い」

智琉は急いでレッド・ドラゴンを自分のもとに戻して定慈の攻撃に備えた。

定「エネルギーを纏えるレッド・ドラゴンで防ごうとする判断は良いが、防ぎきれるかな」

パペット・マスターが液体の発射準備をした。それを見て智琉はレッド・ドラゴンの陰に身を隠した。

定「俺のパペット・マスターも多少だが操れるんだよ、自身の液体を。正確じゃないかもしれないが、確かな強みだ」

そう言うとパペット・マスターは液体を空へと打ち上げた。その液体は無数の玉となり智琉の頭上に降り注いだ。

智「なっ!」

定「恨むんなら未熟な自分を恨みな」

パペット・マスターは即座に第二波を智琉目掛けて真正面に向けて放った。これを防ぐにはレッド・ドラゴンを盾にしなければならないが、それをしてしまうと頭上の攻撃を防ぐ手段が無い。しかし無情にもパペット・マスターの攻撃は智琉に向かってきていた。




続く


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