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 姿が見えなくなったのは夜明け前のことだったらしい。朝目が覚めた時にはもう周囲がざわついていた。

 思い返せば昨日から様子が変だったことに気が付く。

 長い年月を経て再会を果たした時には殆ど笑顔を見ることも出来ないぐらいに固い表情だった彼が近頃はよく笑うようになっていたのに、昨日はどこか塞ぎ込んでいて笑顔を見ることができなかった。

 ばたばたと忙しない女を捕まえ尋ねる。

「多分、少し疲れたんでしょうね。緊張していたようでしたから」

「昨日はテストだったんでしたっけ」

 女は自責に表情を曇らせ、「ええ」と短く答えた。

「一緒に探しに出ても良いですか」

「いや、でも」

「大丈夫、ここらは幼い頃過ごした庭のようなもんだ。きっとすぐに見つかる」

「いえ、困ります」

 女の制止を振り切り外へ出ると蝉の鳴き声がシャワーのように降り注ぐ。湿度が高く、息苦しさを覚えるほど蒸し暑い。

 東の空がどんよりと黒い雲に覆われ、雨の予感がした。天気予報は見ていないがきっと一雨来るに違いない。こういう予感は外れたことがなかった。

 コンビニエンスストアで傘を調達した。


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