来客には友達が居ない。
俺とグレアを見ているノワル。
ノワルがモジモジとしている。
なんでだ?
「なんだ?
何かあるのか?」
俺はノワルに聞いた。
「お前たち楽しそうじゃのう」
羨ましそうなノワルの声。
「はい、ご主人様と一緒だと楽しいです!」
無条件に嬉しそうにグレアが言った。
「まあ、俺も一人よりもグレアと居たほうが楽しいぞ」
そう言ってグレアを撫でる俺。
そんな俺たちを見て更にモジモジしだすノワル。
「あのな、えとな、なんじゃ、その……我はな、一人なのじゃ」
小さな声で言った。
話を聞いて俺とグレアが頷く。
「山の洞窟に一人でな、たまに来る冒険者を相手にする程度なんじゃ」
再び頷く。
「冒険者は我を殺すことしか考えておらん。
楽しくないのじゃ」
そう言い終わった後、俺とグレアを伏し目がちに見た。
「ふむ……要は寂しいのか?」
「そうじゃ、寂しいのじゃ。
我は魔力が感知出来ての、最近この辺に大きな魔力を持つものが現れたのじゃ。
そして、その後それよりは小さいが大きな魔力を持つものが一緒になった」
俺とグレアの事なんだろうな。
「その後、何か作り上げて、そこに魔力が溜まったのじゃ。
多分誰かの魔力が流れ出したのじゃろうな」
チラチラと俺を見るノワル。
ああ、俺が魔力を垂れ流しているのね。
というか口には出せんが、ノワルは俺とグレアのストーカーじゃん。
「ちょっと気になっての、飛んで来たらの、良質の魔力が溜まった温泉だったのじゃ。
入ったら気持ちいいのじゃ」
回りくどい。遠回りしすぎだろ?
「要は寂しいから友達になって欲しいと?」
「えっ、まあ、何だ、そういう事になるかの」
ノワルのモジモジ継続中……。
「いいぞ?」
俺は答えた。
まあ、ドラゴンが友達ってのも良いもんだろうし……。
「いいや、無理にとは言わないのじゃ」
「だから、いいぞ?」
「いいや、無理にとは言わないのじゃ」
「いいって言ってるだろ?
な、グレア」
「はい、友達になりますよ?」
「良いのじゃな、我と友達になってくれるのじゃな?」
何度も聞いてくるノワルに、
「だーかーらー、良いって言ってるだろうに!
くどいぞ!」
俺はイライラしてノワルをアイアンクローする。
なぜアイアンクローかは何となくだ。
「イダダダダ、痛いのじゃ」
「友達になってやるから、いつでも遊びに来い!」
そう言うとアイアンクローを外す。
「わかったのじゃ、遊びに来るのじゃ。
泊まっても良いのか?」
「おう、泊まればいい。
お前が来るとホールが狭くなりそうだが何とかなるだろう。
ただ、食べるものは無いぞ?」
「わかったのじゃ、友達ができたのじゃ!
嬉しいのじゃぁー!」
ノワルは羽をはばたかせ宙を舞った。
数日後……。
「なんであれからずっと俺の所に居る?」
ジト目で見る俺とグレア。
「泊っていいのだろ?」
「そうは言ったが、家に帰らず泊まるってどういう事?
お前の家はどうなっているんだ!」
「我が家より居心地がいいのじゃ、風呂もあるしの」
「まあ、友達って言った手前もあるが、たまには家に帰れよ?」
「考えておくぞ」
はあ、面倒な奴……。
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