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俺は臭いようだ。

 肉を食って満腹になったのか、グレアがあくびをした。

「眠たいのか?」

「はい眠たいです」

 しかし眠い目をしているのだが、俺のほうを見ている。

「どうかした?」

「抱っこしてほしいです」

「そりゃ別にいいけど」

 俺はホールにグレアを導いた。

「ここが俺の家みたいなもんだ。ここで寝るか?」

「はい」

 グレアが俺の横に寝ころぶ。

 俺はグレアを抱くように横になった。

 そして体を撫でる。

 たまに軽くトントンとグレアの体を叩いた。

「んっ、気持ちいいです」

 そう言いながらグレアは目を細める。

 そんな事をしているうちにグレアは寝てしまった。

 俺は眠れない訳ではないが、俺はあまり寝る必要はないらしい。

 それでもちょっと眠たくなったので、一緒に昼寝をした。


 俺の頬がくすぐったい。

 目を開けると目の前にはグレアの顔。

 俺の顔がべろべろ舐められていた。

「ふあぁ、おはようさん」

 あくびをしながら俺は起きる。

「おはようです」

 尻尾を振って挨拶を返すグレア。

「もう朝か?」

 俺が聞くと、

「いえ、夕方です」

 とグレアが言った。


 空が赤かったのは夕焼けだったようだ。


「散歩でも行く?」

「はい!」

 グレアは嬉しいのか尻尾が大きく振れた。


 まあ、俺もホールの周りを確認したことが無いので散歩もいいかなぁと思ったわけだ。

 別にリードとかがついている訳ではないが、グレアは俺の傍を俺を見上げながら一緒に歩く。

 太めの枝(?)、枯れ木(?)があったので、

「取ってこーい」

 と投げると、結構な距離を飛んだ物をしっかりグレアは探しだして俺に渡す。

「やるなお前」

「当然ですぅ」

 何が当然なのか分からないが、ハッハッハッハッと口で息をしながら、 次のことを期待しているのか尻尾をブンブン振っている。

「まだやる?」

「はい、楽しいですぅ」

 俺は全力でその枝を投げるとグレアは風のように走っていった。

「あいつ意外と凄いんだな」

 すぐに枝を咥えて戻ってくる。

「お前凄いな、木に埋まって枝なんか見えないだろう?」

「ご主人様の匂いがするんですぅ。

 だからすぐわかりますぅ」

 クンカクンカと俺の匂いを嗅ぐグレア。

「いい匂いですぅ」


 俺の匂いってそんなにするのかねぇ。

 あっ、風呂に入ってない……それでかぁ。

 ホールに出てきてから一日だが風呂に入ってないから匂うんだな。


 と勝手に解釈する。

「俺が匂うんだろ?」

「いいえ、ご主人様はいい匂いです。

 私は狼ですからご主人様の匂いを敏感に感じられるのです」

「俺が臭いって訳では……」

「決してありません」


 気にし過ぎだったらしい。


「でも風呂が欲しいな」

「風呂?」

「温かい水が溜まった場所。

 とても気持ちいいんだ。

 汚れも取れる」

 俺のサイズじゃ風呂なんて入れないんだろうなぁ……。

「そう言えば熱い水が出る場所がこの近くにあるんですぅ」

 グレアが教えてくれた。


 おっと、温泉か?


「マジか!

 温泉なんてこの世界にあったのか!」

 一人テンションが上がってしまう。

 それが嬉しいのかグレアの尻尾もテンションが上がってブンブン振れる。

「グレア、連れて行ってくれるか!」

 俺が言うと、

「わかったですぅ。

 こっちですぅ」

 と言って駆けだした。


 俺達はグレアを先頭に温かい水が出ると言う場所に向かった。


読んでいただきありがとうございます。

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