鏡よ鏡、40
あれ?いま誰かに呼ばれたような?
振り向くと杉原さんが呼んでる。
「ひとみさんも今日は遅くなったんですね」
「うん。6時頃からバタバタしちゃって」
「ひとみさんて強いんですよね?お酒」
「あはは、誰に聞いたの?ぜんぜん強くないよ」 「いまからどっかご飯連れてってくれません?わたし今日帰っても誰もいないんですよ」
「旦那さまはどしたの?」
「出張。あさって帰ってくるけど」
「子どもさんは?大丈夫なんですか?」
「実家に預けて。わたしは服とか面倒だから実家には帰らないですけど」
「はいはい。じゃご飯いきましょう」
「よかったー。ひとりでご飯とかむなしいですから」わたしゃ、いつもひとりで食ってるけどね。こういうところが杉原さんのいいとこなんだけど、杉原さんのこういうところを森さんは許せないんだな。