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希莉日記0
世界は輝いていた。
肉体を刺激する触覚が。
世界の色を映し出す視覚が。
世界の音を感じ取る聴覚が。
舌の上を滑る料理の味を感じる味覚が。
風の匂いすら感じ取れる嗅覚が。
今までは情報としてしか認識できていなかった世界に直接触れることが出来ている。
それもこれも全ては郷田吾郎のおかげだ。
私は今生まれて初めて鉛筆を使って文字を綴っている。
知識としては。
人間が生み出した言葉というものを知っていた。
しかしそれを世界に残すことは初めてなのだ。
今この文章を書いているけれど手が震えているのがわかる。
もしかしたらこれは夢のような一瞬の出来事に過ぎず、私は明日には消えてしまっているかもしれない。
私は初めてなので契約がどういうものであるのか、本当はよくわかっていないのだ。
だけど。
明日私が消えてしまってもこの文章は残るだろう。
それは世界に私がいた証明だ。




