ゲームアドバイザー Aメルカの秘密A
「ルージュさん、それってどういうこと。」
「いや、そのままの意味よ。まぁ、今はそんな事を気にしている暇はないわ。この話は後にしましょう。」
そう、今は彼女の言う通りで、俺たちにはそんな事を悠長に言っていられるほどの、暇という暇は無い。何せ刻一刻とドラゴンは迫ってくるのだから。
今は体調を万全にして奴らが来るのを待つしか他ならない。
ーー逃げる。
確かにこの選択しもある。しかし逃げるにも、逃げた先に他のドラゴンやモンスターと出会い、挟み撃ちにされるかもしれない。そうなればこの状況どころではなくなる。勝率はゼロに近くなるだろう。
それならここで、勝率は低いにしろこちらの方が後者よりは遥かに高い。しかも街までは、結構な距離があるのだそうだ。それらを連れて逃げるなどは出来そうもない。奴らの方が足は早いのだから。
ではなぜ俺は逃げ切れていたのか。
それは遊ばれていたに過ぎないのだ。ルージュさんが言うには「ヒトドラ」ーー「人食いドラゴン」とは、最初はそれ程襲ってくるような敵ではなく、好奇心がてらに襲って来たりするのだそうだ。そのためあまり攻撃して来ないのだ。しかし怒らせてしまえば、話は別。
兎も角。
そう言う事で俺たちはドラゴンを待つ事にした。
もくもくと目の前に映る画面をいじるルージュ。
多分ステータスや装備など、普通のゲームと変わらない闘うための調整をしているのだろう。しかし、その前にどうやってその画面をーーステータスを表示するのだろうか。
そこで俺はルージュさんに愚直覚悟で聞いてみることにした。何せゲームアドバイザーがゲームアドバイザーなのだから。
「ルージュさん。」
「何。」
短い声で応じるルージュ。
それを聞くや俺は肝心の質問へと移る。
「ステータスの画面の表示の仕方が分からないんだけど、教えてくれたりしませんか。」
決死の覚悟で俺はその言葉を、言う。
何せゲームの初期の事ーースマホをどうやってスイッチオンにするの、みたいな事を質問するのである。これ程、ゲームをするものを愚直する発言はないだろう。しかし俺は最悪にもそれを知らない。そのためこういった愚行に走っているのである。
「ああ、それ……貴方本当に何も知らないのね。」
「すいません」
「まぁいいわ。教えてあげる。まず利き手の逆を前に出して。」
≫≫言われた通り、彼女がするように左手を前に出す。
僕は右利きである。
手のひらは上 ーー 上空を向いており、指と指の間にはある程度、少しの隙間が出来ている。
「じゃあ次に、『エンゲージ オン』って言ってみて。」
「エンゲージ……オン」
すると、俺の前に青い画面が俺の手元に表示される。
/_cross_/ *・* LV0 *・*
ビギナースナイパー
/Status/ ∥+0
〆攻撃力10
〆防御力10
〆命中10
〆運0
〆魔法攻撃力10
〆魔法防御力10
〆回復10
〆俊敏2
〆千里眼10
/Ability/
* クラウザー
>レンズを見た時に、ズームが出来る。
*インサイト
>…………………
以下少し省略><
*・*・*・*・*・*・* / 設定 /
※都合上 簡略化
何とも簡単な操作だ。
「まぁ、貴方はその様子じゃ始めてこの画面を開いたようだから。言葉だけで操作出来ないのよね。ちょっと、右下に表示されてる『設定』って奴を押してくれる。」
「これですか」
「そう、それ。」
ポチ、右手の人差し指でその『設定』というアイコンに触れる。すると画面が別に表示される。
/_ 設定 _ / *・*・*・*・*
・サウンド設定 * ・操作設定
・ヘルプ設定 * ・画面設定
・吹き替え * ・その他
「じゃあ次に、『操作設定』という欄を押してみて。」
『操作設定』ポチッとな……
またしても変わる画面。
〜*〜・〜*〜・*〜・〜*
\操作設定\
_____ \ _ACTION__\__
ボイスアクション OFF
 ̄ ̄\_声により操作をすることが出来ます_
_______________
以下少し省略
※ごめんなさい
「じゃあ、クロス。その『ボイスアクション』ってヤツを押して『ON』にしてもらっていい。」
「了解。」
『ボイスアクション』をポチッと、な。
するとOFFの文字がONに変わる。
「よし、これで声を発するだけで操作出来るようになったわ。じゃあ、私はこれまで。あとは自分でしなさい。」
「あざ〜す。」
それを聞くや、彼女は笑い自分の画面を開き始めた。
ここまでくれば本当に大丈夫だ。何せこの画面ですることは限られている。自分の手持ちを見て、装備を整える。多分それくらいなのだから。ステータスは見てもさして意味はない。いや、精神的苦痛は来るかもしれないが。
そんなことは今は要らない。貰いたくもない。触れたくも無い。しかし一瞬ではあったが、あの画面に俺のステータスが…………。
ブルブルと頭を降る。
考えてはいけない。俺は見ていない。それが全てだ。俺は見て、いない。
それよりも手持ちの道具を見てみよう。早くそうしない、無防備のまま彼らと戦う事になる。
「道具………道具………っと。道具って確か、英語で…そう、アイテムだったよな。」
「別に伝われば何だって良いのよ。」
「…………そうですか。」
何か俺は意味もない事を考えていたらしい。しかしアイテムという単語が出て来た以上、使わずにはいられない。
「アイテム 」
すると画面が出て来る。
 ̄\/ ̄ ̄ Item __/\_
・メルカ
・_ _ _ _ _ _
・_ _ _ _ _ _
・_ _ _ _ _ _
以下省略
※都合上少し簡略化
「はぁ…………アイテムはメルカだけかよ……
…はぁ…はぁ……………ってメルカ!?」
何とアイテムの欄にあったのメルカの名前であった。あのゲームアドバイザー メルカがである。
「えっメルカって、アイテムだったの!?」
俺は彼女の方を見る。すると彼女は相変わらず停止したままだ。俺は一先ずそのボタンの元へと手を伸ばす。
どうなるかは、分からない。何だって、今までやって来た中で、ゲームアドバイザーをアイテムにしたことはない。
俺は恐る恐る静かに指をそこに向わせる。
ーーごくり。
息を、呑む。
そして、俺はそのボタンを……。
ポチッ………
メルカ「さぁ、さぁ。
来ました来ました。来ます私のヒミツ。」
ルージュ「おーーーーーー」
作者「やっとここまで………(T ^ T)」
クロス「えっ俺全然わかんないんだけど。
つまるところ、メルカって何なの?」
メルカ「それは次回の楽しみですよ。」
作者「そうですよ^_^ 」