絶望と希望の間。
クロスは銃口をドラゴンに向ける。
銃は黒い。シンプル。それは至って普通?の初期武器であった。
まぁこの状況からして、まず倒すことは出来ないだろう。
しかし、最初からチート級のアビリティーや技があれば話は別だが。
しかし、それはまず無いのでご安心を。
(何を安心しろって言うんだよ。作者さん?
逆に最悪だよ、こっちからしたらねぇ〜。)
クロスは一度切らした集中を取り戻すため、一度深呼吸をし始める。
(大丈夫………大丈夫。きっと上手くいくさ。他のゲームでもあったこの緊張感。何度も体験し、幾度とそれを克服して来たじゃないか…)
そして落ち着きを取り戻したクロスは例の言葉を放つ。
「コール!!」
そう、例の言葉とはスキル作成の合図である。
クロスはそれをありったけの声で叫ぶ。
※そんなに叫ばなくても大丈夫です。
すると、銃口の前に光の玉が出現するのだった。
その出現をクロスは確認すると……
「メルカさん、今だ!!有りっ丈の砂を!!」
「分かりました。」
そしてメルカは砂を光の玉へ入れる。
するとその光の玉は渦潮のように砂を吸収していくのだった。
そんな中、どんどんとドラゴンとの距離が近くなっていく。
そしてそれとの距離が10mくらいになったところで……
「メルカさんもういいよ。離れて……」
それを聞いたメルカはクロスの後ろへと行く。
クロスは彼女が前に居なくなった事を確認すると、銃口をドラゴンに向けたまま、目を瞑り攻撃のイメージをし始める。
そして暫くしてイメージが出来たところで目を開き、ドラゴンを見る。
ドラゴンは此方を凝視しながら向かって来る。
(俺と勝負と行きますか。ラスボスさん。)
クロスは銃の引き金に指をかける。
そして………
「行くぜぇ〜〜クラストーーー!!!」
クロスはそう言いながら引き金を引くのだった。
バーン!!
物凄い銃弾の発射音と共に、弾丸は銃口から放たれた。
クロスは少し銃を撃った反動を受け、少し後ろへと下がる。
そんな中、その撃たれた弾丸は真っ直ぐドラゴンへと向うのだった。
いいコースである。
このまま行けばドラゴンの眉間にヒットしそうだ。
(いけぇ〜〜〜〜〜〜)
クロスは心の中で、魂の叫び声を言う。
(届け、届け。そしてドラゴンを………)
クロスは必死になってその弾の行方をみた。
すると次の瞬間、その場にいた者を凍りつかす景色が流れる。
弾丸が途中で爆発。
目の前には、疑いたくなるほどの結末が待っているのであった。
それを見たメルカは目を大きく開き……
「スキルは失敗したの………ですね。」
彼女は顔を青ざめながら、口に手を当てる。
弾はドラゴンが届かずに爆発。
そう、クロスのスキルは失敗したのだ。
誰もが抱いた希望は一瞬で絶望に変わる。
これ程この状況に絶望するものはないだろう。
絶望の中でも一番の絶望である。
そしてそれを見ていたクロスは、顔面蒼白になる。
(俺は、失敗したの………か。)
そんな中、彼の手は力を失う。
そして彼が手にしていた長距離銃は、静かに地面に落ちるのだった。
この時点でドラゴンとの距離は既に5メートルであり、逃げる事など不可能である。
そしてドラゴンの攻撃を食えば、ゲームオーバーになることは間違いないだろう。
(失敗したってことは、俺はどうなる?)
彼は必死になって考える。
(ドラゴンの攻撃を食らって、そして…死ぬ)
すると彼の体中に死に対する恐怖が襲う。
そしてそれを感じたクロスは、気が動転し始めるのだった。
そんな中、ドラゴンはただ立ち尽くすそんな彼の元へと辿り着き、口を彼の元に近づけるのだった。
そして彼をドラゴンは食べた。
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