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白百合の君  作者: 九月
第三章 16歳の私 〜ディプトリス学園魔法学科1学期〜
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放課後。

「つまり、面倒なことになったっていうわけだね。」



はい、どうぞ。とサーシスから渡されたミルクティーを受け取ると、じんわりとした暖かさが両手に伝わる。


あの後、教室に戻るとサーシスは私を待っていてくれていた。そして、私はさっきあったことを寮に帰りながら、洗いざらい全てを話した。



「Sクラスの子は皆知ってる制度だけど、アリエルは当然知らないよね。


まあ、それをするのは悪くはないよ。食堂のご飯は無償になるとか、色々得点があるらしいし。


でもねえ、ちょっとアリエルにとって良くない事が多いかも。」



一口飲んだミルクティーはいつもの通りとても美味しかった。アーリアとなかなかいい勝負をしているのではないだろうかと飲むたびに思う。



「どうして私にとって良くないの?」



サーシスは少し眉をしかめた。



「ちょっと長くなっちゃうけどいい?」



「うん。」



サーシスは自分のミルクティーを飲んだ。



「私達はSクラス。良くも悪くも目立つ立場なの。あ、SSクラスには当然及ばないけどね。


私達の授業カリキュラムは普通クラスとは全く違う。高度な仕事に付くことが大前提のクラスだしね。ここを卒業出来れば将来の安定は決まったようなもんだよ。

だから、入学試験は驚くほど難しい。そこで振るい落とされるってことね。入学出来ても授業について行けなかったら意味ないし。まあ、とりあえず、当然頭のいい人達ばかりが集まるってこと。自分で言うのもなんか嫌だけど。



でも、その代わりと言っちゃあなんだけど、あんまり魔力の強い人が多くないの。魔力が頭に全てを吸い取られてるなんて言われることもあるよ。実際私もあんまり魔法は得意じゃないしね。



普通クラスからしてみれば、Sクラスは嫉妬と羨望の的っていうこと。頭の良さを羨む一方で、魔力の弱さに軽蔑してるものもいるの。別に全員が全員そうというわけじゃないよ、もちろん。むしろそういうのは少数派だから。


でもそういうの少数派が意外と面倒なの。そいつらは自分たちこそがSSクラス生に相応しいとか思ってるから。勘違い甚だしいよね。誰が誰に相応しいとか決めることじゃないし。」



唇を尖らせて怒った顔をするサーシスに少し笑ってしまった。



「つまり、私は魔力が弱いからこの役目はふさわしくないってことね。」



「まあそれも有るんだけど、問題はこっちからが本番。


20年くらい前から、詳しくはあんまり知らないんだけど、志願制の風紀の仕事は男限定になったの。昔はそうじゃなかったらしいよ。SSクラス生目当ての女の子で色々問題があったみたい。だから今志願制の風紀委員は全員、男で構成されてるの。

この志願制の風紀委員、つまり平風紀委員達は、魔力の強い人が志願した人の中から選ばれる、普通クラスの人達のことだよ。


で!ここからがアリエルにとっての1番の問題。

SSクラス生は別に女の子が入ってもいいの、まあ、これはいいんだけど。


Sクラス生も女の子が、入ってもいいというのが、事態をややこしくさせてしまってるの。さらにアリエルは恐らく最低でも20年振りの女の子の風紀のお手伝い係り。


さっき言ったようにSSクラス生の人気はかなり高い。美男美女ばかりだしね。親衛隊が1人ずつにいるくらいだし。」



そこでピンときた私はサーシスの言葉にかぶせるように言った。



「つまり私は男の園に女一人のお姫様。


他の人達、特に女の子達からしたら、不満と嫉妬の対象ということね。」



サーシスは眉毛をハの字にしている。



「正解。女の嫉妬は面倒だしねー。この役目はSクラスだけの特権で、自分達は近づく事もままならないから、恐らくいや、確実に嫉妬の嵐だとおもうよ。


Sクラス生は同情するだけで、嫌がらせとかそんな事はしないよ。大丈夫!私たちが守って見せるから!」


任せてっ!と言わんばかりに胸を張って鼻息荒く言ってくれたサーシスに笑ってしまう。でも、そのサーシスの言葉は私にとってとても嬉しいものだった。始めてできた友人がサーシスで良かったと本当に思う。



「ありがとう。」



しかし、私が思っていたとおり、この仕事は、面倒なことになってしまうようだ。これからの学園生活の行動の仕方をよくよく考えなければならない。


とりあえず、目立たないようにこっそりこそこそ動くべきだろうか?

どのようにせよ頭の痛い話だ。

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