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白百合の君  作者: 九月
第三章 16歳の私 〜ディプトリス学園魔法学科1学期〜
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風紀委員会。

投稿遅くなって本当に申し訳ありません!



突然開かれた扉の中に、軽く背中を押された私は、危うく転びそうになりながら入った。


それと同時に後ろで扉の閉まる音が鳴り、閉じられた扉に目を向けてから、視線を前に戻した。


視線の先には3人の男がいた。


1人はすぐに分かった。入学式で見た四片様だ。

あの時は遠くからだったからよく分からなかったが、近くで見ると皆が騒ぐ理由がわかるような気がする。タレ目で甘い顔立ち、チャラそうな人だ。


そういえばサーシスが、四片様は薄い唇がセクシーなの!なんて言っていたなとふと思い出した。

いやいや今はそういうことを考えている場合じゃない。


他の2人は見たことがない人達だ。1人は、短髪黒髪、深緑の瞳の持ち主。四片様のハッキリとした顔立ちとは全く異なり、薄目の顔立ちだが、全てのパーツが整っていて、無表情のせいかクールそうなイメージを感じさせる。もう1人の人は、なんと言うか、平凡な顔立ちの人だった。茶色い髪に茶色い瞳。今は訝しげな表情をしている。特に特筆される容姿では無いが、この学園に入ってからほとんど、いや全員が顔面偏差値の高い人ばかり出会って来たせいか、何故だか私はホッとした。良かったこの学園、顔で学生を選んでるわけじゃないんだ。まあ、この人に凄く失礼だけど。とにかく、2人とも全く見たことがない人達だ。でも私はこの学園に入ったばかりだから知らないだけで、サーシス達はよく知っているのかもしれない。



「あー、どちら様?なんかあったあ?」



無言で見つめ合っていると四片様が話しかけてくれた。他の2人は手元に視線を下げている。

とりあえずこの意味の分からない状況をどうにかしてもらわないと。



「いえ、ガイウス先生に連れられて来たのですが。」



「もしかして、君、アリエルっていう名前?」


四片様の不思議そうな表情が驚きに変わっていく。


「ええ、そうです。」



「女の子やったんや!」



「ええ、女ですが?」



目がまん丸になっている。一体何がそんなに驚くことなのか?



「いやあ、Sクラスから新しい子が来るとは聞いてたんやけど、アリエルって名前しか知らんかったし、男の子か女の子か分からへんかってな。

ここんとこずっと男ばっかりやったから、今年も男やろなーって思ってたのに、女の子やったからビックリしてん。


やから、気にせんといて!」



私の訝しげな表情に気づき、説明してくれたが、私が聞きたいこと知りたいことはそんな事じゃない。



「あの、「まあまあ、立ちっぱなしも辛いやろ。こっち座り。」



四片様は机から立ち上がり、手招きしてソファに私を呼んだ。突然部屋に入れられるは、話は遮られるは、どんどん嫌な方向に進んでいるようにしか思えない。



座ったソファはフカフカで体が沈み込んでいくのを感じた。それにしても大きいソファだ。何人掛けだろうか。



「じゃあ、とりあえず明日から来て欲しいんやけど、どう空いてる?」



ニコニコと聞いてくる四片様は、私が何かもを理解し、了承していると思い込んでいるようだ。本当に私に関する情報は名前しか無かったのだろう。



「あの、それがですね。私この学園に入ったばかりで何も知らないんです。これは一体どういうことなのか、何が何だかまだ把握出来ていません。


ガイウス先生にはこの部屋の人達に詳しく聞きなさいと言われたのですが。」



困ったように言うと、四片様は申し訳なさそうな表情に変わった。



「高等学部からの転校生やったんか。それは勝手に話進めて行って悪いことしたなあ。Sクラスの子等はみんな知ってるもんやと思ってたわ。


ガイウス先生も雑やなあ。一応あの人風紀の顧問やねんで。ちゃんと説明出来るやろうに、面倒やからって俺らに押し付けたな。


まあ、いいわ、アリエルちゃんは、簡単に言うと放課後に風紀委員会室、つまりこの部屋に来て、書類作業をして欲しいねん。そんなに難しいもんでもないで。ちょっと量が多いだけやし。


仕事はあそこにいる2人がしっかり教えてくれるしな。」



指差した方向にはさっきの2人がいた。



「あの拒否権というものはないのでしょうか?」



「ないで。基本的にはな。

しかもアリエルちゃんは最難関と言われる高等部Sクラスの試験を突破してきた才女。

これを逃す手はこっちにはないなぁ。」


ニッコリと笑ってこちらを見る四片様にゾッとした。目が笑っていない。獲物を見つけた肉食獣、もしくは蛇のようだ。


これはもう逃げられない。拒否したら何処までも追ってきそうだ。逃げる量力を考えたら、さっさと折れた方が得策だろうか。



「そ、そうですか…」



「分かってくれたようやし、ちょっと遅なったけど、ここにおる者だけでも自己紹介しよか。」



パンッと両手を叩き、他の2人をソファに呼んだ。



「まずは、俺からな。


俺はSSクラス3年のジョットや。


風紀委員会の風紀委員長をしてる。


四片とかいう呼び名もあるけど、俺的には委員長って呼んでくれた方が嬉しいなあ。


後、可愛い女の子はいつでもウェルカムやで。」



ウインクをしてくれたが反応に困る。そうですかと少し笑っておいた。



「で、こっちが同じ3年のセドリック。

Sクラスや。あだ名はセド。

無表情やし、無口やけどいい奴やで。

めっちゃ優しいしな。」



「よろしく。」



セドリック先輩は一切表情を変えることなく、ぺこりと礼をした。

私は急いで立ち上がって、礼を返した。とても簡素な物言いをする人のようだ。



「で、こっちが、2年Sクラスのカトーや。

風紀委員会のオカンって呼ばれてる。なんか困ったことあったら、こいつに頼り。大抵解決してくれるで。」



カトー先輩は苦味を潰した顔をしている。


「その紹介やめてくれませんかね、先輩。オカンって呼ばれて誰が嬉しいんですか。

ていうより、委員長が解決してくださいよ。


あー、よろしくな、アリエル。

困ったことがあれば、なんでも聞いてくれ。」



「はい、よろしくお願いします。」



いい人達ばかりのようだ。少し安心した。



「あ、あと副委員長のフェリクスがおるんやけど、今見回りでおらんから、本人からの紹介はまた今度な。


一応言っとくと、SSクラスの2年で、竜胆の二つ名を持ってる赤毛の背のたっかい男や。

細マッチョで背高いから威圧感あるかもしれんけど、悪いやつじゃないから、大丈夫やで。」



おそらく、入学式のとき四片様、もとい委員長と一緒に壇上に出ていた人物だろう。確かに、威圧感ありそうだった。



「ま、今日は顔合わせが主やし、アリエルちゃんは帰っていいで。


さっき言ってたように、出来れば明日から来て欲しいんやけど、どうやろか?」



「大丈夫です。」



「じゃあ、明日放課後にここに来てな。」



「はい。分かりました。」



3人の先輩方に一礼をして、扉を出た。



ああ、面倒なことになった。

天を仰ぎたい気分だ

何故シアもお母様もお姉様もお父様もこの事を教えてくださらなかったのだろう。

事前に知っていれば、それなりの対処は出来たはずなのに。



とにかく、任命されてしまったものは仕方がない。とりあえず、教室に戻ろう。



窓の外は私の心とは裏腹に、綺麗な青空が広がっていた。

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