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白百合の君  作者: 九月
第三章 16歳の私 〜ディプトリス学園魔法学科1学期〜
24/36

ディプトリス学園。2

輝いた金色は渦を巻き、なぜか唇の絵になった。




「まあ、新入生ね。こんにちは。」



いきなりその唇の絵が動き話し始めた。話し言葉は女の人だが、声的に言えば、多分、恐らく男の人だ。…………茶色の扉に金色の唇、しかもオカマ口調、うわあ…………。



濃 す ぎ る !



なんなんだ、一体この学園は。



驚き過ぎて一瞬ほうけてしまった。

お姉様もお兄様も何故教えてくれなかったのだろう?



「口開けてポカンとしちゃって。かわいいわね。


まあ、そんなことは後にしましょ。


改めまして、ようこそディプトリス学園へ!

ディプトリス学園はあなたを心から歓迎するわ。


まず、諸注意ね。

ここに来る前に聞いていると思うけど、ここに入るにあたって一つとても大切な校則があるの。


これからあなたの名前はアリエルよ。それ以上でもそれ以下でもないわ。知ってると思うけど、この学園では、地位も家柄も関係ないの。だから、名字は使わないの。これからあなたはただのアリエルよ。下の名前はここにいる間は捨ててね。



これがここで1番大切な事だからね。

何か他に質問はある?」



ペラペラと話し、動く唇に圧倒されてしまう。これ傍目から見たら、私も変な人になってるんだろうなあ…………。



「いえ、特には…………あ。

あの、なぜ私の名前が分かったのですか?」



「あら、簡単よ。

あなたが身につけているブレスレットを読み込んだのよ。


ああ、これも諸注意で大切な事だったわ。

そのブレスレットにはあなたの個人情報が全て入っているから、気をつけてね。

それに、再発行はとてもお金がかかるから絶対に無くしたらダメよ。」



「分かりました。気をつけます。

…………あの、あなたのお名前を伺ってもよろしいでしょうか?」



私もなぜこんな質問をしたのか分からないが、そう訪ねたとき、唇がニンマリと笑ったのを私は見逃さなかった。とても表情豊かな人だと思った。



…………いや、唇か。




「あっらー、礼儀正しい子は私、とーっても大好きよ♡



さっきの子なんて、話しかけたら、魔法ぶっ放してきたのよ!ほんと、信じられないわ!礼儀がなってない子、私大っ嫌いなのよ。


あなたはいい子だし、かわいいし、特別に教えてあげるわ。



私の名前は、セントよ♡



よろしくね、アリエルちゃん。」



多分、目があったらウィンクしていたと思う。それくらいにテンションが高い。

そして、魔法をぶっ放してきた人の気持ちも分からなくはない。かなり驚いたのだろう。同情してしまう。



「よ、よろしくお願いします。セントさん。」



「セントさんなんて、よそよそしすぎるわ。アリエルちゃんとはもうお友達よ。

セントちゃんって呼んでちょうだい♡」



所々に♡マークが見えるのは幻覚なのか、なんなのか…………。疲れてるのかなあ。私。

しかも、男の人にちゃん付け…………。



「セントさん。」


「ちゃんよ。」


「セントさ「ちゃんよ♡」



「…………………。」



これは確実に言わないと、進めないな。



「セ、セントちゃん?」



「あら、なんで疑問形なの?


まあ、良いわ。これからは、絶対にそう呼んでね♡



もうそろそろ寮に行ったほうが良いわね。

荷物まだ整理してないでしょ。


魔法学科生の女子寮は、この扉から続く小道を歩いて行って、分かれ道が出てくるから、それを右にずっと進めば出てくるわ。


気をつけてね。」



「色々とありがとうございました。では、また。」



そう言うと、唇がにっこりと口角を上げて多分微笑んだ。



すると扉が真っ二つに割れ、唇も真っ二つになった。



セントさんが言った通りに小道が続いている。



私はセントさんに一礼をしてゆっくりと小道を進んだ。



このとき、この学園初っ端からの濃すぎるキャラにこれからの学園生活に一抹の不安を覚えていた私は、セントさんが私の後ろ姿を見ながら零した言葉を全く聞いていなかった。



いや、聞こえないように呟いたのかもしれない。聞こえていたら私は問い詰めていただろう。



どうして、どうして、その事を知っているのかと____



























______本当に気をつけてね。


エルリアちゃん。

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