家族の説明、あれやこれや。
様々な料理が並べられた、大きな食卓のいわゆる誕生日席と言うべき所に座らされ、家族達が笑顔でこちらを見ている。
これほど視線が集まると、困るというか、なんというか、恥ずかしさを感じる。
「エルリアももう6歳、感慨深いものがあるなあ。」
そんな言葉を呟いたのは、真っ黒のさらさらとした髪の毛と紫色の瞳が特徴的な、少しつり目のお父様。アレスター・エフェス・ヴィルヘルム。32歳。職業は宰相様。
とても優秀な人で、皇帝陛下からの信頼は絶大らしい。また、美形であることから、無表情になると、かなりの迫力があるらしい。他の人たちからは『魔王』と恐れられているらしい。らしい、らしいと続くのは、全て使用人から聞いた話だから。私はそんなお父様を見たことがない。いつもにこにこしていらっしゃる。
「ええ、本当に。」
そんなお父様の言葉に同調してしみじみと呟いたのは、天使のリングが輝かしい金色の髪の毛に、キラキラとしている翠色の瞳で、タレ目がちなお母様。エミリダ・シャティス・ヴィルヘルム。32歳。
お父様のきつめな顔立ちとは正反対で、ふんわりしたオーラが漂っている美女だ。とても32歳には見えない。お父様と結婚をする前は、現王妃様の第一侍女で、今でも皇妃様と交流が続いているらしい。皇妃様はお母様が結婚をして第一侍女を止めたことで、お父様を恨んでいるとか、いないとか。
「それにしても、美人に育ったね、エル。兄様はこれからのエルが心配で心配で仕方がないよ。」
心配そうな表情を浮かべてこちらを見ているのは、顔立ちはお父様と瓜二つだが、髪の色と瞳の色はお母様と同じのお兄様。アレン・シャティス・ヴィルヘルム。
私とは6つ離れていて、今は剣術を習っている。とても才能があるらしくて、10年に一人いるかいないかの逸材だそうだ。少し見せて欲しいと言うと、危ないからダメだと怖い顔をして止められた。見たかったんだけどなあ。
「あら、エルはモテるわ。これから絶対によ。まさか世の中の男の子達がこんな美少女を放っておくはずが無いもの。」
自信満々に良い放ったのは、顔立ちはお母様と瓜二つだが、髪の色と瞳の色はお父様と同じのお姉様。エリナ・シャティス・ヴィルヘルム。
私とは5つ離れていて、今は魔法について習っている。これまたお姉様も10年に一人いるかいないかの逸材らしくて、私にも様々な魔法を披露してくれた。とても美しくて綺麗だった。あんなふうに私もなれるかな?
そんな家族に囲まれている私、エルリア・シャティス・ヴィルヘルムはお父様似のきつめな顔立ちで、白銀というよりは、スノーホワイトのような白髪と冬の湖面のような碧色の瞳をしている。
家族の髪の色は黒色か、金色の2色。
瞳の色も翠色か、紫色の2色。
そう、私の髪の色も瞳の色も家族の誰とも同じものがないのだ。
これには大きな理由がある。私が6歳になるまでのたった数年間の歴史の中に━━━━━━
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「何!!エルリアが男どもに狙われるだと!!」
「あらあら、アレスター、エルはかわいらしいもの、当たり前だわ。」
「エルは兄様が守ってあげるからね!!」
「エルはどんな服が似合うかしら?お姉様の腕がなるわッ!!」