気持ち。
一緒に行くと駄々をこねる両親をなんとか説得して私は一人でシアの部屋に向かった。二人っきりで話したかったからだ。危ないことかもしれないが、私はシアを信じているし、さっきとは違って両親は家にいる。大丈夫だと判断した。余談だけど、服はちゃんと着替えてある。あんな格好で会うことなんて絶対しない。というより、二度と着ない。
「エルリアよ。入ってもいい?」
声をかけても返事は無かった。私は気にもせず中にはいった。
シアは私に背を向けてベットの縁に座っていた。今シアがどんな表情をしているのか分からなかった。
私もベットの縁に腰かけた。シアとは背中合わせだ。二人とも互いの表情は分からない。
「気分は悪くない?」
「………………………。」
「喉かわかない?」
「………………………。」
シアは何も答えなかった。私も返事なんて元々期待はしていなかった。
「今から独り言を言うわ。聞いているだけでいいから、そこにいて。私の話を聞いてて。
前にも話したように私にはとても多くの魔力がある。シアよりも多いと思う。私が魔力の暴走を起こせば、恐らく町1つ消えるくらいらしいから。
そのせいで私には五歳くらいの時の記憶がほとんどない。」
シアの息を飲んだような音が聞こえた。
「魔力が多いせいで高熱が酷かったの。いつもベットの住人だった。私、外に出たの6歳の時が初めてなの。笑えるよね。それまで出たことないなんて、普通有り得ないでしょう。」
私は出来るだけ明るい声で話した。明るく、何も気にしてなんかいないように。
「実を言うとね、この姿、私の本当の姿じゃないの。本当の私は黒い髪の毛に紅の瞳なの。お父様が言うには、魔力を押さえるために姿が変わったんだって。これはヴィルヘルム家の秘密らしいわ。シアは私の大切な家族の一員だから言っておこうと思ってね。」
私は区切って、下唇を舐めた。今から告げようとする言葉が喉につっかえて声に成らなかった。じっと目の前の茶色のドアを見つめた。
「私、私ね。
"自分なんて、死んでしまえばいい"って思ってたの。」
誰にも、家族にさえも話したことが無かった私の気持ちを言った。シアが振り返ったような気がした。私は振り返りはしなかった。ただ真っ直ぐ前を見つめた。
「勿論今はそんなこと全く思ってないよ。
ただただあの頃は自分が嫌いだった。なんにも出来ない自分。家族の足手まといの自分。家族のお荷物の自分。
なにもかも大嫌いだった。」
あの頃を思いだし、自嘲気味な笑みが溢れた。
「なんにも出来ないって結構辛いって私は幼少の頃に悟った。
私が高熱で弱っていくたびに家族に疲労の表情が浮かぶの。隠そうとしてるんだけど、ダメ。分かるの。そういうときに限って鋭くなっちゃうの。ああ、私のせいだって。それがすっごく嫌だった。」
そこで少し区切って、暗くなる気持ちを落ち着かせた。
「悲しくて苦しくて、自分がいなくなれば、家族も苦しまなくてすむんじゃないかって考えた。そうすれば家族に笑顔が、心のそこからの笑顔がまた戻るんじゃないかって。」




