お説教。
シアが目を覚ますまで、私は両親にお説教を受けていた。
「スティルから報告書を貰ったときは僕の心臓が止まるかと思ったよ。」
「私もです。どうしてそんなに危ないことを一人でしたの?」
私の目の前にはすっっごく良い笑顔の両親がならんで座っている。怖い、本当に怖い。話している声の調子と表情はとても穏やかだけど目が全く笑ってない。
「思い立ったら即吉日というか…なんというか…」
私が話すたびに二人の笑顔が輝かんばかりに深くなっていくので、どんどん声が小さくなってしまう。目もそらしてしまった。
「「本当は?」」
ああ、バレてる。私の心が読まれてる。
二人の無言の圧力がどんどん私にのしかかって来る。
「だ、誰もいないからちょうど良いと思ってましたっ!ごめんなさい!!」
下を向いて、ぎゅっと目をつむった。いや、別に二人が怖かったからじゃない。うん。本当。でも家族がいるときにした方が良かっただろうか?いや、やっぱり私一人でして良かったと思う。でも、やっぱり……。
そんなことつらつらと考えていると突然私は暖かな物に包まれた。
目を開いて顔を上げると、二人が私に抱きついていた。
「えっ?」
二人は私をぎゅーと抱き締めた。
「エルリアは僕たちを傷つけまいとしたんだろう?」
お父様は私から離れて、私の目をしっかりと見て、微笑みながら言った。良かった、いつもの笑顔だ。
「はい。」
幸いにも私の魔力はシアよりも多いし、自分のことは自分で守ることができる程度まで魔法は扱えるようになった。だけど、他の人まで守れる自信は無かった。だから、誰も傷つかないことを私は望んで、みんなを遠ざけた。
「でもね、エルリアはまだまだ子供だ。確かに僕はエルリアにシア君のことを頼んだけれど、命を粗末に扱ってほしかった訳じゃないんだ。ただシア君の心に寄り添って欲しかったんだよ。まあ、いつかは思い出させなければならなかったのは事実だけどね。するならするで僕たちが居るときにほしかった。親は、自分の子供に命の危険があることが一番嫌なんだよ。分かってくれるね?」
「はい…。」
どうやら私が良かれと思ってやったことは、逆効果だったようだ。誰も傷つけたくなくて一人でしたけれど、逆に両親に迷惑をかけてするでしまった。今だって仕事を途中で投げ出してきたに違いない。いつもならこの時間はまだ仕事場にいる時だ。
「反省してくれたわね?もうこんなことしないでね。」
そう言ってお母様は私を更にぎゅっと抱き締めてくれた。突然ホロホロと涙が溢れた。
涙なんて流すつもりなかったのに。
「ほら、かわいい子涙を止めて。」
お母様は微笑みながら私の涙を拭ってくれた。
「さて、問題のシア君だが、目を覚まさないことにはどうしようもない。エルリアが思い出させてくれたおかげで、あの子は今必死に現実とむきあっているところだろう。」
お父様は私の髪を撫でながら話した。
「だけど、少し乱暴だったかなと思います。強制的に思い出させたようなものですし。」
あれがあのとき最善の策だと私は思った。私の目の魔力でシアが忘れさせた記憶を呼びしたのだ。だけど、今考えればもう少し優しく出来たかもしれない。
「いや、それはないよ。シア君にはきっかけが必要だったんだよ。あの子は賢い子だ。上手く処理できているだろう。ただ向き合う勇気が無かっただけだよ。諭される程度じゃ思い出さなかっただろうし、それが最善だったよ。」
お父様の言葉を聞いて私はほっとした。なら、今はゆっくりと眠って自分の記憶と戦ってほしい。大切な友人を失うのは嫌だ。
そんなことを思っていると、
あら、そうそう。と、お母様は満面の笑みで爆弾を投下した。
「自分のことを疎かにした罰として、シア君が目覚めるまで、エルリアには私たちの着せ替え人形になってもらいます!」
………シア!!早く目を覚まして!!今すぐ目を覚まして!!




