表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白百合の君  作者: 九月
第ニ章 10歳の私
14/36

違和感。

馬車の外にいたのは天使のような顔立ちの男の子だった。

キラキラと輝く金髪に、大きな蒼い瞳が特徴的だ。背丈は隣に立っているお父様と比べて考えるならば、私とさほど変わりはないように見えた。



「さぁ、シア君。」



お父様に促され、シア君は少し前に出て、私の目をしっかりと見つめた。蒼い瞳に濁りはなかった。



「初めまして。シア・ナディア・ラークインです。これからよろしくお願いします。」



ぺこりと礼をした。

私は立ち上がって、シア君を見つめ返した。



「エルリア・シャティス・ヴィルヘルムです。これからよろしくお願いします。」



本当に綺麗な蒼い瞳だ。私は眩しく感じて目を少し細めた。



「じゃあ、お互いの挨拶も終わったことだし、取り合えず中に入って、帰りながらお話をしようか。」










__________ガラガラガラガラ




「シアは好きな食べ物はある?」



「う~ん、果物はどれでも好きかな?エルは?」



「私は、甘いものならなんでも好きかな。」



話をするうちに、いつのまにか私達は名前で呼び合うようになり、他愛ない話をして盛り上がっていた。

シアはとても明るく、話上手の聞き上手で、話をしていてとても楽しいものだった。



そんな二人の様子をお父様はただ静かに見守っていた。



シアとは本当に気が合うと私は思った。だが、それと同時に寒気を感じていたのも事実だった。



####################################




家に着き、シアの世話はアーリアに任せ、私とお父様は書斎で話し合った。



「お父様……。」



言葉にならなくて私は言葉を濁してしまった。



「エルリアの言いたいことは分かるよ。」



お父様は静かに言った。



「シアはとても明るくて、普通の男の子のでした。ですが、あまりにも普通過ぎます!!」



そう、シアの場合普通なのはあり得ないのだ。何故ならシアはたった1週間前に両親を亡くしたのだから!



私は衰弱し、憔悴した子供を想像して身構えていた。話すことも出来ないだろうと思っていた。だけどシアはどうだろう。見た目は健康そうだし、更に私の目をしっかりと見て、話しまでしたのだ。



「シア君は、忘れているんだよ。いや、厳密に言えば、忘れるように自分が仕向けて、実際に忘れてしまったと言うのが正しいかな?悲しい記憶に蓋をしてしまったんだよ。彼は全く覚えていないそうだ。なにもかも。あの日のことを。」



お父様はただただ静かに言った。

シアは耐えきれなかったのだろうか?その絶望に。



「だけど、悲しい記憶に目を背け続けることなど不可能だ。いつかは向き合わなければいけない。今はこれで良くても、将来何かの拍子で思い出した場合、あの子は壊れるだろう。

私達も出来るだけ手助けはするよ。だけど、エルリアの力が一番必要になる。悪いね、エルリア。エルリアに一番負担をかけることになる。」



「いえ、構いません。大丈夫です。

取り合えず、思い出させなければいけませんね………」




思い出したあとのシアはどんな風になるのだろうか?あの明るさは見る影もなくなるのだろうか?そんなことを思うと思い出させることに罪悪感を感じるが、ここで向き合わなければ、恐ろしいことになる。

魔力は平均的には、25歳程まで増え続ける。大人になってから思い出してシアが正気をなくしてしまった場合、被害が甚大なものとなるだろうことは容易く想像できる。しかもシアは元々魔力が多いのだ。下手をすれば町ひとつ消えるかもしれない。




どうすればいいだろうか?問題は山積みだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ