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小説なんて、消えてなくなれ  作者: 綾高 礼
第三章「混乱と不正」

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18/32

D幕


(自宅のリビングにて。その者、魔女、義父が仲睦まじく食卓を囲んでいる)


 その者「ねぇ母さん。転校する前の俺ってどんな人だったの?」

 魔女「そうね、小説が好きで……性格も昔から男の子みたいでね、いつも明るくて、元気な子かしら。フフフ……」


 その者「なんだ。今の俺と変わらないじゃん。ま、いいや。あ、そうだ母さん。俺やっと初めて小説が書けたよ」

 魔女「あら! それはめでたいわね。今夜はお赤飯にすればよかったかしら」


 義父「おお、凄いじゃないか。どうだ、僕に読ませてくれないか」

 その者「えぇ、おじさんプロだし厳しそうだから嫌だな。母さんにならって母さんもその道のプロだった……」


 義父「ハハハ……母さんは僕よりも厳しいぞ。なんてたって僕の作品を沢山ダメ出ししたうえに、大ヒット作品にしてしまうんだからね」

 魔女「それ褒めてるの、それとも貶しているのかしら。×、後でゆっくりと読んであげますからね。ほら、ビーフシチューよ。さあ、冷めないうちに召し上がれ」


 その者「うわぁ、うまそう。いただきまあす……もぐもぐ……おいしい。あ、でも面白くなかったら母さんのせいだからね……もぐもぐ」

 義父「うん、どうしてだい?」


 その者「だって全部母さんの言う通りに書いてみたんだから」

 魔女「あら、それなら絶対に面白いわよ。ね、それよりあなた」


 義父「なんだい?」

 魔女「そろそろあのこと、いってあげてもいいんじゃない?」


 その者「あのことって?」

 義父「そうだね。長編小説も一本書けたようだし、時期的にもいいかもね。あのね×くん。実は千集院創作芸術学院っていう学校があってね、興味はあるかい?」


 その者「うーん、なんか昔、どこかで聞いたことがあるような、ないような……いやないか。そこってどんな感じの学校なの?」

 義父「全国でもトップクラスの小説技法やシナリオを、専門的に学べる学校だよ。それにほら……男だから、女だからとか気にするような奴は、一人もいない世界だ。みんな小説のことだけを考えているからね」


 その者「へぇ……もぐもぐ」

 義父「それにそこの卒業生は、毎年多くないけど、大半はプロの世界で活躍している」


 その者「……凄いね。おじさんよりも凄いの?」

 義父「ハハハ……どうだろう。でも僕より売れている作家さんは普通にいるよ」


 その者「えぇ、おじさんよりも!?」

 義父「ああ。世の中には凄い人たちってのがわんさかいるもんさ。でも×くんもそこの学校を卒業出来れば、大好きな世界で一生活躍出来るかもしれないよ。どうだい、試してみる価値はあると思うけど」


 その者「うーん。でもねぇ、俺まだ一作しか小説書いたことないし、それだけ凄い人たちが集まる学校でやっていけるかな。それに入学試験すら落ちると思うんだけど」

 義父「それは問題ない。入学試験は長編小説一本か短編小説二本なんだよ。どうだい?」


 その者「なるほどね」

 義父「それに、世の中には三十代や四十代から小説を書き始める人も大勢いるんだから。それから芥山賞なんかとった人もいるんだよ。それに比べて×くんはまだ十五歳だ。幾らでも挑戦出来るし失敗も出来る。可能性は無限大さ」


 その者「それ本当? なんか噓くさいなぁ」

 魔女「心配なら取り敢えずダメもとで小説送ってみるってのはどうかしら?」


 その者「まあどうせ、落ちるだろうからいいけど……」


(その者は紙の原稿用紙を魔女に渡す)


 魔女「あら随分と弱気ね。母さんはきっと試験に合格すると思うわよ。ねぇ、あなたもそう思うわよね?」


 義父「ああ。きっと合格出来ると思うよ。いや必ず出来る!」

 その者「はいはい。親バカさんですね……もぐもぐ……おかわり」


 魔女「フフフ……食欲は旺盛なのね」

 その者「いいんだよ。この後、受験勉強でお腹すくから貯め食いしとかなくちゃ」


(その後、魔女と義父は、原稿用紙の束を、全く別の原稿用紙の束にすり替えた)

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