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第4話 3年間

 8歳になった。


 この3年間で培ったモノは様々だ。


 まずは、知識。


 オリヴィアの教えは実に分かりやすい。


 前世のような受動的な授業形式ではなく俺のペースに合わせて授業を進めていくためとてもありがたい。


 知識自体は、書庫を漁っていたためある程度身に付いていたが、それでも見落としはかなりある。


 それは実戦でしか知り得ない魔物の知識や貴族として他の貴族と関わらないと分からない雰囲気や派閥争いなど多岐に渡る。


 レイヴァンハート王国におけるカーヴェル家の立ち位置や派閥争いなどを建国の英雄であるオリヴィア視点ではどのように映っているのかなどは興味深かった。


 オリヴィアは午前中にランブル、午後に俺を教えている為、そのまま別邸に止まることがあり、たまに一緒に寝ることがある。


 その時に大陸北部に位置する魔物領での冒険譚など聞かせてくれたりもした。


 翌日、リーヤが起こしに来た時、まるでオーガのような形相でオリヴィアを睨みつけていたが。


 そして武術。


 この世界には、防御的な王国流、苛烈で豪快な帝国流の2大流派と冒険者や傭兵など生き残るために開発された邪流がある。


 元々、剣術は貴族の嗜みとして発展してきた技術らしく最近――と言っても数百年前だが――出てきた冒険者や傭兵の流派は邪流として蔑まされている。


 開祖である某建国の名誉貴族は「悲しい。けど仕方ない」と諦めているが。


 閑話休題。


 2大流派には階級があり、初級、中級、上級、騎士級、聖級、皇級、神級だ。


 流派を学べば初級、基本的な立ち回りができれば中級、基礎が完璧であれば上級のように昇格していく。


 騎士級以降は、その階級の技を習得できるかどうかで決まっており、ほとんどの者が上級止まりで一部の才能を持っている者が騎士級へと昇格できる。


 騎士級からは、1つ階級が異なるだけで次元が違うらしく騎士級と聖級であれば、1対1の場合、騎士級に勝ち目は無いとのことだ。


 一方の邪流には、階級は存在せず強さもピンキリで他の2大流派と異なり武器も剣以外に斧や槍、しまいにはブーメランなど幅が広い。


 俺は王道である王国流を学んでいたが、剣士としての基本的要素である魔力纏いができない。


 魔力纏いとは、体内にある魔力を放出し体全体を覆うことで身体能力を底上げする技術のことだ。


 閑話休題。


 オリヴィアと相談した結果、短剣2本で戦う邪流に変更した。


 オリヴィアにクナイのような短剣を渡されたとき忍者のようで興奮したが、間合いの取り方が難しく模擬戦を行ったとき全く歯が立たなかった。


 だが徐々に戦闘スタイルを変えていくことで今では、2本の短剣をメインとし様々な隠し武器を用意している。


 リーヤはと言うとどうやら王国流に天性の才があったらしく既に騎士級に昇格しておりオリヴィアが言うには、後何か1つでも切っ掛けさえあれば聖級に上がるとのことだ。


 このまま強くなって俺のボディ―ガードとなって欲しい。


 俺は別方面で強くなるから。


 それは―――


「完成したね。魔導銃だっけ?」


「はい。オリヴィアのおかげです」


「ふふん。私が協力したからね。当たり前だよ」


 技術面だ。


 魔力無しの俺には、魔法は勿論使えない。


 だからこそ思った。


 魔法が使えないなら魔法を放つ武器を作ればいいじゃないと。


 それが魔法を放つ武器。


 名付けて魔導銃だ。


 魔物領で採取した特殊な材料と知り合いらしいドワーフに頼んで外装を作ってもらい魔法の達人でもあるオリヴィアの付与魔法を掛け完成した。


 前世で言うところのリボルバーのような形状をしておりシリンダーには、各属性が付与された魔石が7つ装填されている。


 魔法も剣術と同様に階級があり初級、中級、上級、魔導級、聖級、皇級、神級とランクが上がっていく。


 この魔導銃に込められた魔法は、聖級の威力があるがリーヤ1日分の魔力を使って漸く1発装填できるため慎重に扱う必要があるためまさに奥の手中の奥の手だ。


 ちなみにだが、オリヴィアのことを呼び捨てにしたのは、本人の希望であり断るとシュンとした顔を見せられ断ることができなかった。


 リーヤは頑なに拒んでいたが。


 閑話休題。


「魔石の新しい使い方を編み出したね。ラウルは凄いなぁ」


「いいえ、それほどでもありませんよ。僕は魔石に魔法が込められると知られていないことに驚きました」


 魔物から採取できる魔石は、エネルギーとなっているらしく魔道具の起動に必要らしい。


 基本的にエネルギーを消費していくと魔石の色が徐々に薄くなっていき完全に透明になるとエネルギー切れとして次の魔石に切り替える必要があるとのことだ。


 そのため大きな魔石や魔力が大量に籠った魔石などは、高値で取引されるとオリヴィアから学んだが、魔石自体に魔法を込めるといった考えは無いらしい。


 魔石の新たな使い道を発見したことをオリヴィアは称賛したが、俺は照れ臭くなり素直に受け止めることができず、逆に疑問に思ったことをオリヴィアに質問した。


 オリヴィアは俺の疑問に苦笑しながら答えた。


「魔法が込められた魔石自体はたまに見つかるんだよね。有名な物で言えば、転移魔法が込められた魔石なんかがあるよ」


「へぇ、あるんですね。いつかそれも見てみたいです」


「……そうだね」


 俺とオリヴィアの間で妙な雰囲気が流れる。


 オリヴィアの家庭教師はランブルが10歳になるまでであり、その誕生日も既に過ぎている。


 ランブルとは別れを告げており次は俺のターンということだ。



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