表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/24

間章① 作戦


 どんどん準備は進み、あっという間にクリスマス二日前。明日はクリスマスイブというところまでたどり着いた。準備はもうほぼ終わり。フィリアとティリアは、教会の屋根に上って村を見下ろしていた。幼いころはこうやってよく森の家の屋根に上ったものだ。フィリアとティリアは横に並んで腰かけていた。

「ねえ、フィリア。明日はどんな日になるのかな」

「そうね。楽しい日になるとよいのだけれど」

 フィリアは少し小さくかすれた声で言った。ティリアはそっとフィリアの背中に手を回す。フィリアの身体は少し震えていた。きっと、寒さのせいだけではないだろう。ティリアは優しい声で語りかける。

「大丈夫だよ、きっと。皆、楽しんでくれているでしょ。それに……明日は私たち、サンタクロースになって皆に幸せを届けるんだよ?」

 ティリアの諭すような言葉に、フィリアは頷いた。ティリアはじっとフィリアの様子を見ていたが、やがてため息をついてバシッと強めに背中をたたいた。痛っ、とフィリアは声を上げて、思わず立ち上がる。そして、自分の背中をさすった。

「痛いよ、ティリア。何するの」

「くらーい顔しているフィリアにお仕置きしたんだよ」

 ティリアはいたずらっぽく笑いながら、腕を少し上げてフィリアの脇腹をくすぐった。

「やっ、やめてっ、あっ、ああっ、ううっ」

 変なうめき声をあげて、フィリアが身体をよじる。耐え切れなくなって屋根の上に座り込み、そしてついに笑い出した。ティリアは満足げに頷いて、フィリアからはなれる。そして立ち上がった。彼女のツインテールが風になびく。笑いを収めたフィリアは、ティリアを下から見上げた。ティリアはフィリアを見下ろし、ふふっと不敵に笑う。

「さあ、フィリア。クリスマス大作戦の始まりだよ!」

 クリスマス大作戦。それは、フィリアとティリアが毎晩毎晩練ってきたものだ。皆を楽しませる、とっておきの作戦。そしてそれは———フィリアはそこまで考えて、首を振った。それは、今は考えなくていいことだから。

「うん、そうだね、やろう!」

 フィリアも立ち上がる。二人は手をつないで、お互いに顔を見合わせて頷く。そして、お互いの手にぐっと力を込めた。お互いの存在を、互いにつなぎとめるように。


これは、シノルもシリカも知らない、聖女たちだけが知るお話。聖女たちは何かを決意した。それは、どのような結果をもたらすのでしょうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ