表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/24

第四話 祭りの開催に向けて


 次の日、さっそく二人の聖女は出発した。シリカとシノルは見送りに出た。二人の聖女にクリスマスの存在を教えた旅人はこの村に残るらしい。その旅人は仲間たちのリーダーだったようだが、聖女たちがクリスマスの準備を自分たちがいないうちに進めておきたいという言葉を受けると、残ることを選択した。そして仲間たちが全員いい人であると約束した。

 二人の聖女は馬車や旅人たち、そして自分たちに旅の安全、そして旅が早く済むように祈り、祝福をかけた。聖女にだけ使える不思議な力が祝福だ。神に祈ることが祝福になるらしい。旅人たちもいつもより体が軽いので、恐らく早く済むだろうと言っていた。


 村に戻ったシリカとシノルは旅人たちのリーダー・トレルに皆に説明してくれるよう頼んだ。トレルは快諾してくれた。そして、皆を広場に集めるという注文を付けた。シノルとシリカは各家を回り、住民に集合を呼びかけた。

 村の人々全員は翌日広場に集合した。そこで、トレルはまずクリスマスの説明をした。住民たちの反感は意外にも少なく、住民全員が納得するのに時間はかからなかった。全員が納得したのを確認した後、トレルは村を飾るのに必要なものたちを大きな紙に大きく図を書きながら説明した。

 もみの木のような針葉樹を一本用意し、それを広場の中央に飾る。オーナメントという丸い飾りや、イルミネーションライトという、小さな電球がいくつも連なりロープのようなもので一つにまとめられたもので、その針葉樹を飾る。針葉樹のてっぺんにはサンタクロースがわかりやすいように大きな星を付ける。これが「クリスマスツリー」というものである。

 家、店、教会などすべての建物をクリスマス仕様に飾り付ける。もみの木の飾り、クリスマスリースなど、様々なものを飾る。基本的に意識する色は赤、緑、金、白。これらがクリスマスカラーであり、これを飾ると一気にクリスマス感が増す。出店を用意して、クリスマスに似合う商品を売りに出すのも良い。これでクリスマスムードが大成される。

 街路樹もイルミネーションライトで飾りつける。夜にライトアップすると、村が明るくきれいになるらしい。他にも、森の中もライトアップする。道しるべにはならないように分散してライトを設置し、森までも明るくする。

「以上が僕からの話です。大抵の街では、このような催しがされています」

 トレルはそう締めくくり、一つ礼をして見せた。彼の説明はわかりやすく、住民のほとんどが必要なものを把握することができていた。住民たちは拍手をしたが、それがやむと、話し合いを始めた。

「クリスマスツリーの針葉樹はどうする? 村の周りの木は広葉樹だ。俺たちはあまり村の外に出ないからどこに針葉樹が生えているかわからない」

「イルミネーションライトなんて聞いたことがないわ。近くの街に売っているのかもしれないけれど、そこまでどうやって行くの?」

「クリスマスリースってやつも僕たちが作らないといけないんだよね? 材料や作り方がわからないよ」

「クリスマス風の商品ってどんなものなのでしょう? その色を使えばそうなるのでしょうか?」

「ライトがもっと必要になるぜ。どうにかしてライトの数をそろえないと、森をまばらに照らすにはここの倉庫にあるライトの数じゃ足りないと思う」

 次々と問題点が出てきた。シリカはそれを紙に素早く書き留める。書き終えたあと、それを時間をかけて読む。そしてぎゅっと眉をひそめ、ため息をつく。トレルが手を差し出してきたので、手渡す。シノルは横からその紙をのぞき込み、その文字の多さにうめいた。トレルも苦笑をうかべる。文字が多いということは、それだけ問題の数も多いということなのだ。

「村人の意見はどれも正確です。私たちはこの村で自給自足の生活を送り、たまに来るキャラバンから外の話を聞いて喜ぶくらいで、外に積極的に出ようとは思ったことがありません。なので、本当に箱入りの者たちばかりなのです。外の情報がないので、参考にするものもありません」

 シリカの説明に、トレルは考え始めた。トレル達一般人と村人たちの常識の違い。その大きな原因は、村人たちが村の外に出たことがないからだ。つまり、一番の解決策は外に出てみること。しかし、村人の大多数がそれを拒否するだろう。トレルは試しに聞いてみることにした。


本格的にクリスマスの開催に向けた準備が始まりました。トレルと村人たちでは、そもそもの感覚が違うのです。トレルはいわばただの旅人です。どう動くのでしょうか……?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ