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第二話 お祭りをやりたい!


 ティリアはシノルとシリカを交互に見ながら、口を開く。

「開催することは、難しいですか……?」

 シリカは先のことを考え、少し遠い目になった。フィリアはいち早くそれに気づき、目をわずかに伏せる。先ほど村人が知らないだろうと想像したばかりだ。村人を納得させ、どこにもない飾りを作り出す。何も知らないため、一から作らねばならないのだ。村単位の作業になるため大掛かりなものになる。

 シノルもその考えにたどり着いたようで、ふるふると思わず首を振る。フィリアが椅子に腰かけて窓の外から村を、ティリアがシノルの袖口をつかんで上目遣いでシノルを見る。

 シノルは眉を下げて再び頭をかき、シリカはぎゅっと目を瞑った。今はもう十一月後半だ。一か月でそこまでできるのだろうか。果たして、納得して、協力してくれるかどうか……

「わたくしたちは、皆さまに恩返しをしたいのです」

 フィリアがそうつぶやいた。ティリアがフィリアの視線をたどって外を見る。それにつられるように、シノルも外を見た。シリカは目を開き、フィリアの横顔を見つめる。

「わたくしたちが放浪していた時。助けてくださったのは、シノル、シリカ、そして、この村の皆様です。わたくしたちは、恩返ししたいと常に願ってきました。そして、それが叶おうとしている。この機会を、逃したくはないのです。この村が、にぎやかになる、華やぐ。それを、わたくしたちは、見てみたいのです」

 ぽつ、ぽつと語られる言葉。ティリアとフィリアが、どれほどこの村を思っているか。それが、じんわりと伝わってくるような、そんな話し方だった。一度言葉を切ったフィリアを見て、ティリアがシノルのほうを見た。

「私たちもできる限り頑張ります。村の皆様にとっても初の試みでしょうし、わからないことだらけだと思うので」

 ティリアが動き、フィリアの隣に座り、手をそっと握る。そこで、初めてシリカは気づいた。二人が、緊張し、顔をこわばらせていることを。彼女たちにとっても、クリスマスは未知のもの。どうすればよいのか、具体的にはわかっていないのだろう。きっと、許可を得てから、必死に頭を回転させるに違いない。この人たちは、シリカたちにいつも尽くしてくれるから。

 教会で誰かを待ち、来た人と話す。聖女たちが成すことは、ただそれだけだけれど、なぜか皆幸せそうな顔で帰っていく。悩みを話せた人もいれば、喜びを分かち合えた人もいる。二人が来てから、この村には、笑顔があふれるようになっていた。そして、二人が来てくれなかったら、この村は———

 そこまで考えてから、シリカは頷いた。不安げな瞳を揺らしながらシリカを見つめる二人の聖女の前にかがみこんで、そっと手を握ってやる。

「わかりました。皆に呼びかけてみましょう」

「シリカ」

「大丈夫。きっと皆も、協力してくれるはずだよ」

 シリカは何か言おうとしたシノルの言葉を遮り、そう断言した。フィリアが嬉しそうに顔をほころばせる。ティリアも、ぱあっと顔を輝かせた。シノルはその様子を見て少しため息をついた後、

「まあ、いいか」

 と呟いた。更にティリアは顔を輝かせた。


聖女たちの思いが伝わり、シリカもシノルもクリスマスに挑戦することを決意しました。ですが、本当に実現できるのでしょうか……?

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