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第十一話 クリスマスクイズ


 サンタクロースが考えたクイズは単純なものが多かった。クリスマスに関するクイズと、教会にまつわるクイズだ。しかし、教会にまつわるクイズは、難易度が高かった。

『クリスマスで祝うことは何でしょう?』

『サンタクロースはどのような役目を担いますか?』

『クリスマスツリーは何のためにあるでしょう?』

『クリスマスの色は何ですか?』

『大聖女様は今代で何代目でしょう?』

『教会を守っている天界から降りてきた者は誰ですか?』

『初代大聖女様のお名前はなんですか?』

『聖女はどのような役目を担っているでしょう?』

 この八問がクイズである。しかし、ここで問題が発生した。サンタクロースである二人の少女が相談禁止と言ったので、シノルやシリカに相談ができないのだ。普通の村人たちはそれほど教会のことに詳しいわけではない。というより、シノルもシリカもクリスマスのことについては何もわからない。相談できないのならば、解けるはずがないのだ。子供たちはそのことに気付いて、絶望の表情を浮かべた。

 しかし、心配する必要はなかった。宝探しの時に、ヒントが発掘されるようなしくみだったのだ。子供たちは早々にクイズをあきらめ、まず宝探しをすることにした。スコップを片手に持ち、地図に記された場所の地面を掘って見つけたり、木の幹に開けられた穴から見つけたりした。

 そして、それらは大抵小さな箱で、その中にクイズのヒントが隠されていたのだ。そして、宝探しは共有しても良い。つまり、ヒントがいきわたるのである。子供たちがすべての宝物を発掘し終えたのは、もうすぐ暗くなって夜になってしまうというころだった。

「続きは明日にしましょう。そうしないと、獣たちが出てきてしまうわ」

「そうだな。この後は広場でパーティーもある。そちらに合流しよう」

 シノルとシリカの一声で、教会の前にとどまってクイズの問題にうなっていた大人たちも、宝探しをしてへとへとの子供たちも、皆がそろって広場に行った。広場には、いつも通りの服装の聖女たちが待っていた。食事の準備を少し進めていてくれたようで、広場にある長テーブルの上に、いくつかの食事が並んでいる。そして今も、聖女たち含む女性たちはお皿やカトラリーを並べていた。

「あ、聖女様!」

「聞いて聞いて、私たちサンタクロースさんに会ったんだよ!」

「聖女様にそっくりだった!」

 子どもたちは聖女=サンタクロースではないかという疑念には至っていないらしく、聖女たちに喜んで報告していた。彼女たちも嬉しそうにその話を聞く。

「それでね、お宝は全部発掘したんだけど、まだクイズのほうが解けていなくって……」

「でも、サンタクロースさんが相談しちゃダメっていうんだよ!」

 子どもたちが不満げに訴えると、ティリアは子供たちの頭をなでてやる。そして、彼らの前にしゃがみ込み、にっこりと笑いかける。子供たちの顔の前で人差し指を立てて、それを左右に振りながら諭すように言う。

「きっとサンタクロースさんは、自分たちのことを知ってほしいんだと思います。サンタクロースさんは、始まりの今年はたくさん楽しませてあげなきゃって、張り切っていましたよ」

 ティリアが最後に付け加えた情報に、子供たちが食いつく。目をキラキラと輝かせて、ティリアの周りに集まった。

「え、聖女様、サンタクロースさんと会ったの⁉」

 ティリアは「苦しいよ~」と呻いた。子供たちは遠慮なくぐいぐ押してくるのだ。後ろでフィリアがほほえましくその光景を見つめながら、頷いた。

「サンタクロースさんは大聖女様が遣わしてくれているのです。ですから、私たち聖女はここにサンタクロースさんを案内しました。そうでないと、サンタクロースさんは迷いの森で迷ってしまいます」

 フィリアの説明に納得して、子供たちが頷きあう。ティリアもフィリアも「だからお知り合いなのです」と説明した。

 子供たちはもっと詳しく話を聞きたいようだったが、サンタクロースの少女たちから話し合いはだめだと言われているからか我慢したようで、聖女たちに手を振って料理のほうへと駆けて行った。

 ティリアとフィリアは女性たちに何かを言われて、手伝いをするのをやめた。少しの間二人でどうするかを話し合っていたが、やがて料理を取りに行こうと動き出した。そこに、シリカとシノルは合流した。

「あ、シノル、シリカ!」

 ティリアは嬉しそうに手を振った。シノルはそれを複雑な面持ちで受け止める。「どうかしました?」とティリアは首を傾げた。シノルに何があったかを話してほしいと訴えるときのポーズだ。シノルは言いにくそうに口を開く。

「フィリア様、ティリア様。サンタクロースは、貴方たちなのですか……?」

 その問いに、ティリアもフィリアも答えようとしなかった。あいまいなほほえみを浮かべるだけ。でも、フィリアの方は白髪のサンタクロースが最後にまとわせた、少し寂し気な雰囲気をまとった。

そのことにシリカはいち早く気付いたが、フィリアが話したくなさそうなので、それについては口をつぐんだ。フィリアはシリカが自分を思いやってくれたことに気づいたのか、微笑みを深めた。

「シリカ。何を食べましょう?」

 フィリアはさらりと話題転換を図った。シリカはそれに気づき、テーブルの方を見た。

「そうですね……バーベキューチキンやフライドチキンはおいしいと思いますよ。一緒に食べましょう」

 すると、横で聞いていたティリアもその緑の瞳をキラキラと輝かせる。

「あっ、私も一緒に食べてもいいですか? シノルも、食べましょう!」

 ティリアはシノルの服をつかんで、くいっと引っ張った。シノルは眉を下げ、困ったような表情を浮かべる。

「ああ、ティリア聖女、引っ張らないでください」

 四人の和やかな雰囲気はいつもの雰囲気だった。シリカの肩から余計な力がふっと抜けた。


クリスマスのお祭りがスタートしましたね! みんな楽しめているようで、何よりです。

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