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第九話 白髪の少女と金髪の少女


 屋根の家にいたのは、二人の少女だった。ティリアとフィリアのように見えるのだが、少し不思議な格好をしていたのだ。赤いワンピースに、胸元には白いふわふわのボタン。裾は全て白いふわふわで縁どられ、彼女たちが着けているふわふわのシュシュは白髪の少女は赤、金髪の少女は白。

「皆様にお伝えします!」

「今日と明日の二日間。この教会は、私たちのものとなります。基本は立ち入り禁止とします!」

 白髪の少女、金髪の少女が急に声を張り上げて、それぞれ告げる。その内容は理不尽で、謎のものだった。

「急に何だよ!」

「聖女様たちはどこなのー?」

 子供たちが声を上げて思い思いの言葉を口にする。シノルとシリカ、それに大人たちは訳が分からないというように顔を見合わせる。少女たちの思惑が全く伝わってこない。

 彼らの正体は本当に聖女たちなのか? それとも別人なのか? 別人の場合、聖女たちはどこに行ったのか?

 謎が山積みで、シノルもシリカもどうしたらよいのかわからない。動けず、ただ少女たちの話を聞くしかない。

「しかし、入る方法が一つだけあります……それは、私たちが出すクイズ、そして、宝探しの双方を成功させることです!」

 そんな二人の思考を裂くように、金髪の少女が声高らかに告げた。その内容に、子供たちは瞬時に魅かれたのだろう。急にわくわくと瞳を輝かせ、参加するか否かを話し合い始めた。

 大人たちは子供たちの様子を見て逆に落ち着いたのか、二人の少女に冷静に問いかける。

「何がしたいのですか?」

「その格好は何ですか?」

「危ないですよ、降りてきてください」

 その問い全てに彼女たちは答えなかった。そのかわり、ふたりで屋根から飛び降りた。

「きゃあっ!」

「聖女様がケガする!」

「誰か受け止めろ!」

 シリカは叫んだ。大人たちはとたんに慌てふためいて少女たちの足元に行き、職人たちがうけとめようと腕を広げる。

 なかなか彼女たちが下りてこない。皆で顔を見合わせてから上を向くと、少女たちは浮遊していた。

「なっ……」

「せ、聖女様……?」

 シノルは絶句し、シリカは思わずつぶやく。村人たちも訳が分からないと騒ぎ出し、子供たちは魔法のような現象にむしろ楽しみを見出して大人たちと逆の意味で騒ぎだした。混乱の渦に村人たちを陥れた少女たちは、お互いの手をぎゅっと握る。

「我らの名はサンタクロース。皆に幸せを届けます!」

「今宵はクリスマス。大人も子供も関係なしに、楽しむことができるのです」

 サンタクロースと名乗った二人は、ゆっくりと下降し、地面に降り立った。大人たちは、二人を見つめ続ける。

 二人はぎゅっと手を握り合った。その手も、白い手袋に包まれている。そして、少女たちは握り合っていない方の手を自分たちの身体の前に持ってきた。その手に下げられているのは、かご。

「さあ、これをどうぞ」

 白髪の少女は金髪の少女と握り合っていた手をほどき、かごの中を探って二枚の紙を取り出して、シノルとシリカに手渡した。二人はそれを見る。一枚は宝探しゲームの地図、もう一枚はクイズの問題用紙だった。

「これは……サンタクロース様が考えたものですか?」

 シノルが尋ねると、そうですよ、と金髪の少女が頷いた。少し自慢げな笑みが浮かんでいる。

「私たちが考えた娯楽であると同時に試験です。それを解けた者には、プレゼントをあげましょう」

 すると、子どもたちが興味を示したようで、二人の少女のまわりにあつまる。

「プレゼント⁉」

「聖女様たちが言ってた! サンタクロースは、プレゼントをくれるんだって!」

「もしかして、本当にもらえるの?」

「あれを解いたら?」

 子どもたちの問いに、白髪の少女は頷く。

「ええ。お約束いたします」

 金髪の少女は彼らに紙を配っていく。人数分つくられているようだった。先ほどシリカたちに渡したものと同じ紙だ。子供たちは彼女から紙を受け取った。嬉しそうに笑っている。

 白髪の少女はその様子を見てうれしそうに微笑む。そして少し身をかがめて、子どもたちと同じ目線になった。

「そこに書いてあるお宝を探し出し、クイズに正解したらプレゼントを上げましょう。クイズは二人から三人のグループを作り、そのグループで答えを探してください。答えられたグループから順番に、小さなプレゼントを贈ります。ただし、クイズにおいてはグループ間の情報共有を禁じます」

 金髪の少女も自慢げな表情をやめ、少しまじめな顔つきに戻って白髪の少女の説明を引き継ごうと口を開く。こういうところも聖女様たちに似ている。シリカは心の中では冷静に聞いていた。

「お宝探しは五人から十人のグループを作って探してください。お宝探しにおいては、グループとグループの間での情報交換はありです。皆ですべてのお宝を探し当て、私たちの元にもってきてください。それを確認したら、大きいプレゼントを贈りましょう」

 子どもたちは少女たちの説明を騒がずに、頷きながら聞いていたが、彼女たちが説明を終えると、

「俺ほかのやつら呼んでくる!」

「私も行く!」

「僕たちはここに残るよ」

「グループ考えとくね!」

 と、すぐに動き出した。皆目をキラキラと輝かせて、楽しそうに話し合いを始める。ただ、と大人たちはまだ彼女たちを信用していない。色々な思考を各々の胸の中に渦巻かせる。


サンタクロースさんがついに現れましたね! どうやらサンタクロースさんは不思議な力を持っているようですが、その正体は誰なのでしょう……?

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