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第八話 聖女ではない誰か


 クリスマスイブ当日。村はお祭りムードに包まれた。出店が出され、商品が立ち並び、クリスマスツリーが存在感をアピールする。店の外壁にはいろいろな飾りがぶら下げられ、飾られている。通りを行き交う人々の間には笑みが浮かんでいる。食べ歩きをして楽しんでいる人や、出店の遊びを楽しんでいる人もいる。

 教会も、クリスマスムードに包まれていた。外壁は綺麗に飾られている。しかし、まだ中がどう飾られているのかは誰も知らない。誰も中には立ち入っていない。昨日のお昼ごろ、フィリアとティリアが急に立ち入り禁止を言い渡したのだ。シノルとシリカ含め村人全員が困惑した。二人がそのようないたずらじみたことをするのは初めてだったからだ。しかし、聖女たちの頼みだからと、皆引き下がった。

 でもやはり、皆中のことが気になる。聖女たちが何をしようとしていて、今中がどうなっているのかが気になる。だから、お昼時を過ぎたころになって、夜のパーティーの準備をするために店や家に残った十数人の女性たちを除く村人たちと、トレルを含む旅人たちが教会の前に、聖女たちに呼びかけようと集まった。どこにいるかはわからないから、とりあえず扉に向かって叫ぶ。

「ティリア聖女、フィリア聖女、開けてください!」

「聖女様ぁ、開けてよ!」

「聖女様、どうなさったのですかー?」

 先ほどからずっと呼びかけているが、何も返事がない。何も聞こえてこない。昨日は教会に泊まると言って実際にいつもシリカたち四人が暮らす家には帰ってこなかった。だから、きっと何か中でしているのだろうけど……とシリカは考えながら、こん、こんと扉をノックする。

「そろそろ皆が待ちきれなくなりますよ。また何か悪戯でもしているのですか?」

 シリカが冗談めかして言うと、

「「その通り!」」

 そう声が響いた。えっ、とシリカは絶句する。二人がそのようなキャラだとは思っていなかったのだ。てっきり、従順で悪戯をしないタイプだと。それは村人の皆も同じだ。そう思っていたからこそ、皆心配して集まったのだから。村人たちはじりじりと後ずさりをする。応答があったということは、出てくるかもしれないということだからだ。シリカもじりっと後ずさりをする。しかし、皆の予想に反して扉は開く気配を見せない。

「さっき声どこから聞こえた?」

「中じゃないよね?」

「後ろもないよ?」

 声が聞こえたのに、なかなか姿を現さない。そのことに、不安を覚える村人たちが多かった。皆の心の中に不安の靄が立ち込めていく。皆ひそひそと近くの者たちと話し出す。

 そんな中、黙って扉を凝視していたシノルがふいに上を向いた。シノルの近くに戻って、同じように扉を見ていたシリカもつられて上を向く。そして、ぽかん、と口を開けた。しばらく固まったのち、同時に、ゆっくりと、手を屋根のほうへと向ける。皆の視線も、自然とそちらにむく。屋根の上にいたのは……

「聖女様……?」

 トレルは不思議そうにつぶやいた。


聖女たちの声なのに、トレルは不思議そうです。いったい、そこには誰がいるのでしょう? 聖女たちなのでしょうか? それとも……

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