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【第1章】濡れ衣令嬢の平民ライフ
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6話 妖精さんとティータイム


「あなた……お名前は?」



興味が湧いた私は、とりあえず名前を聞いてみることにしました。

ところが……



『#$%&’』



妖精は、私の質問に答えてくれたようですが、その声は私には理解できない言葉でした。

なのでもう一度聞き返します。



「え……今なんと?」



私がそう聞き返すと、妖精はしょぼんとしてこう言いました。



「翻訳できない言葉は、人間には伝わらないので」



なるほど、妖精と人間では言語が違うようです。

詳しいことは分かりませんが、おそらく妖精たちの言葉は自動的に翻訳して人間の耳に聞こえるようになっているのでしょう。


しかし人間の世界に存在しない言葉だけは翻訳しようがないので聞こえない……ということでしょうか。

確かに名前を翻訳はできませんものね。



「じゃあ、お名前で呼べないですね。どうしましょう」



名前は大事です。

名前を呼ぶことで初めて相手を個として認識し記憶できるのです。

名前がないならまだしも、名前があるのに呼べないというのは悲しいもの。

せっかくの縁ですからお名前くらい知りたいのですが……


その思いは妖精にも伝わったようです。



「一応イニシャルだけなら言えますが」



イニシャルは言えるんだ……原理はよく分かりませんが、名前を知れないよりはマシです。



「教えてもらえます?」



私は名前を言うよう要請に促しました。

すると……



『KY!』



直感的に『空気読めない』と私の脳内では翻訳されました。

私が前世でどの世代だったのかバレそうですね。


しかもこれ、前世の記憶が戻る前のことなので、それでも自動的に脳内で変換されたということは、この言葉は魂に刻まれていたということでしょう。


とりあえず、彼の雰囲気にあまりにマッチしすぎているので、このままだと彼の名前が『空気読めない』で登録されてしまいそうなので、イニシャルから連想できる名前を適当にこっちで名前を決めることにしました。



「では仮に『カイル』さんとお呼びしましょう」



「おお、いい名前」



思いつきでつけた名前でしたが、妖精……もといカイルは大喜び。

気に入ってくれたようでした。



「ということでカイルさん、それ、私のお菓子なので、返してくださいませんか?」



実際のところ、そこまで執着があったわけでもないのですが、会話の糸口として、ひとまずお願いをしてみました。

そんなカイルは、私のお願いにキョトンとしてこんなことを言い出しました。



「なんで?食べないんでしょ?」



「え……」



「そんなに泣いてたら、おかし食べらんないでしょ」



「……泣いててもお菓子は食べられるわよ。」



「泣きながら食べたらお菓子が可哀想」



可哀想……食べ物に関してそんな価値観は持ち合わせていませんでした。

どんな時に食べようとも、食べ物の味が変わるなんて考えたことがありませんでしたから。



「お菓子はこうやって笑顔で食べるのが一番」



しかしそう言って笑顔でお菓子を食べるカイルを見ていると、不思議と説得力がありました。



「残したらもったいないお化けが出る」



妖精はそういうと、またパクパクとお菓子を食べ始めました。


こうしてみると不思議です。

私は今、濡れ衣と婚約破棄で心を酷く痛めている最中なのです。


この妖精の謎に首を突っ込んでいること、そしてあまりにも美味しそうにお菓子を食べているその姿を見ていたら、全てのことがあまりにも馬鹿馬鹿しくなって、いろいろなことがどうでも良くなりました。



「そんなに美味しい?」



私はチョコレートクリームが埋め込まれたクッキーを頬張っているカイルにそう訪ねました。



「食べてみる?」



独り占めするつもりはないようです。

カイルはクッキーを1つ取ると、私の方に渡してくれました。


そのクッキーを私は一枚いただき、口に運びました。



……美味しい



いつも食べてるお菓子なのに……



これ……こんなに美味しかったっけ




「本当だ……笑顔で食べた方が美味しいね」



不思議と笑顔になりました。

でも、理由もなく、なぜか一滴だけ、涙がポロリとこぼれ落ちました。


それを見たカイルが、ケタケタと笑いました。



「変なのー、笑ってるのに泣いてらー」



本当ならこれはきっと怒るシーン。

でも、私はこの時彼に釣られて笑ってしまいました。


そんな雰囲気が和やかだったからでしょうか、ガサガサという音が庭中から聞こえてきました。


私はキョロキョロと周りを見回しました。

すると……



『泣き虫だ』



『泣き虫だ』



『泣いてるけど笑ってる』



『きっと美味しいお菓子なんだ』



『いいなー』



『私も食べたい』



見渡す限り、あちらこちらにさっき逃げたと思われる手のひらサイズの妖精さんたちが、草むらから顔を覗かせていました。


危険じゃないと判断したのもあるのでしょう、何人かがカイルの元に向かって歩いてきました。


こうして、妖精さんたちとのお茶会が開かれました。


その後、私の部屋には毎日のように妖精が私を訪ねてきて、お菓子をもらいに来るようになりました。


一人二人ではなく、毎回10人前後のお客様に大忙しでした。


このまま妖精と戯れながら、貴族ライフ満喫かと思ったのです……が!


忘れがちですが、私は盗みの濡れ衣を着せられた身。

それも爵位が1つ上の伯爵令嬢に対してのやったことになっているのです。


このままお咎めなしで終わるわけもありません。



「ノエルすまない!私が不甲斐ないばかりに、お前を家から期限内に追い出さなければならなくなった!」



デビュタント前の齢12歳の令嬢にまさかの追放令が出されました。

妖精1「ここまでよんでくれて、ありがとうがらし!」

妖精2「もし面白ければ評価お願いいたしまうす♡」

妖精3「ブックマーク、お星様、感想、レビュー、どれでもよろしです」

妖精4「いただけると制作の励みになりますです」


妖精たち「「「「よろしくです〜!」」」」

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