生活保護と障害年金
少し臭かったので、湯船にお湯を入れてから風呂に入らせた。
前回と同じパンツを履いていてブラジャーもしていなく、半袖のトップス・ノースリーブを来ていて、(100均で売っていたな)と思いながら、自分のトランクスを出して
「そのパンツ汚いから、これに履き替えて」
「パンツ、どうするん」
「捨てたらいいやん、また買ったら」
「洗濯したらまた履ける」
「俺の家、今、洗濯機無いから。
それだけの為にコインランドリーには行かれへんで、取り敢えずビニール袋に入れときや」
「分かった」と言ってパンツをビニール袋に入れて、風呂に入った。
風呂に入っている間にネットで生活保護の事を調べて、市役所と西成のNPO団体に電話をかけようと思った。
風呂から出てきたので使い捨ての歯ブラシを渡した。
歯を磨くと
「歯が痛い、歯が痛い。歯医者に連れて行って」
「保険所がないから無理や、あっても金掛かるから。取り敢えず生活保護を貰うようにせいへんか、生活保護がおりたら病院代いらへんから」
「そんなん嘘や」
「ホンマや、ネットで調べてみ」
「分かった」
「取り敢えず役所と西成のNPO団体に電話を掛けてみるわ」
「分かった」
役所に電話を掛けると「今日は忙しいので、明日の10時に5階の社会福祉係に来てください、山本と申します」と言われ、
NPO団体に電話を掛けると「急に来られても対応出来ないかも分からないので、来られる前に電話を下さい」と言われた。
翌朝、役所まで歩いて30分ぐらいかかり借りていたレンタルビデを返さなくてはいけなかったので、50分前に「出よう」と言った。
「嫌や。まだ早い」
「早くない」
「早すぎる」
「少しぐらい早い方がいい。遅れたらあかん」
「分かった」
自転車を押しながら市役所に向かい役所に着き、自転車をとめて一緒に最上階の展望台に行って、
「ここで待っていてビデオを返してくるから」と言って、ビデオを返して戻って来た。
「行くよ」
「まだ早い」
「早くない」
エレベーターで下りて着くと、5分前でちょうど良い時間になっていて
「いい時間だろう」
「うん、エリカは時間の感覚が分からないから」
「そっか」
社会福祉係で山本と会い、
「生活保護の兼ですよね。3階の生活保護の係に連絡をつけているので、行きましょう」と言って、女性の人と4人で向かった。
4人で個室に入ると年配の男性がいて、年配男性と山本が奥の席に座り、エリカと女性とで手前の席に向かい合うように座った。
「彼女は19歳で知的障害の手帳を持っていて、行く所が無いので保護をしているのですが生活保護を貰う事は出来ないですか」
年配の男性が、
「家は何処、小金は幾ら持っているの」
「家は奈良、3000円」
「どうして大阪に出てきたの?手帳を見せてもらえる」
「ミナミのホストに『店の近くに開いてるマンションがあるからおいで』って言われて、来たら『1日違いで別の奴に借りられた』って言われて、行く所が無くなった。親もこの事は知っている」と言って、手帳を渡した。
手帳を受け取り、それを見て
「家族は、兄弟はいるの」
「本当のお父さんとお母さん。義理の兄が3人と姉がいる。子供の頃に施設に入れられて、そのあとグループホームに入れられた」
「そうか。この手帳、コーピしてもいい」
「いいよ」
年配の男性が席を立ち、奥の部屋に向かった。
山本が
「知的障害の手帳を持っているのだったたら20歳になったら障害年金がもらえるかも」
「障害年金」って、と話していると年配の男が戻って来て、
「奈良の吉野に住んでいるのだね。引っ越していなかったら家族はここに居てるんだね」
「うん」
「生活保護を貰うには、まだ20歳になっていないから一度家に帰らないといけないよ」
「9月に20歳になる」
「そうだね。20歳になったら障害年金の2級はもらえるよ」
それを聞いて、
「でも、親が年金をを払ってなかったら貰われへんの違うん」
「子供のころから障害があったら20歳になったら年金はもらえる」
「そなんや。一級は無理」
「この手帳やったら一級は難しいね。取り敢えず一度家に帰って親と話をしてまらわないと、それから地盤をかためないと」
「そうですか。生活保護が貰えたら『歯が痛い』と言っているので、歯医者と精神科に行って、B型雇用(障害者が時給数百円で働く所)で働いて、次にA型雇用(障害者が最低労働賃金で働く所)で働ければと、思っているのですが」
「そうですか。でも住む所も直ぐには見つからないでしょうから」
「別にいい。たまにホテルでお風呂に入れるし、臭くなったら匂いを取るスプレーをかけたらいいから」
(訳の分からない事を言ってる)と思いながら、
「私の知り合いに精神障害があって生活保護を貰っている人がいてるけど、その人が住んでいるマンションやったら『生活保護の人も入れる。家電など必要最低限の物は10万円まで出してもらえる』って、言ってたけど」
「いま19歳やから一度家に帰って、親と話をしてからじゃないと」
「そうですか、でも、道に迷って家に帰られへんかも分かれへんから」
「警察行って、着いて行ってもらうしかないな」
「自分で帰れる」
(生活保護費を出したくないのだろう。これは無理だ)と思い、話を終えた。
帰りに「マクドが食べたい」と言っていたのでマクドに寄って、帰った。
帰り路で、
「あんな奴らに私の過去の事を話したくない。家で暴れた事もある」
(以前と言っている事が、違いすぎる)と思いながら
「西成のNPO団体に行って見る」
「いい」