エリカとの生活
一週間が過ぎた頃【生理が終わった】と、ラインがあった。
(少しめんどくさいな)と思い,
【今は余裕がないから、余裕がある時に連絡するわ】
【余裕?】
【お金の余裕が無いから、無理やねん】
【分かった】
二日後にラインをした。
【余裕が無いから0,5やったら無理】
【いいけど、ミナミに来てほしい】
【堺東にいてるんちゃうの】
【いてない】
【ラインめんどくさいからライン電話できない?】
直ぐに電話が鳴って、電話に出た。
「堺東に居てるんちゃうの」
『用事あるから』って、家出されて、鍵持つてないから入られへん。腹立つ」
「そうなんや、こっちまで来られへん。そっちに行ったらホテル代かかるから、五千円しかないから」
「カラオケボックスで、やったらいいねん。私が出すから、二千円やねん」
「そんな事したら三千円しか残らへんやん」
「いいねん。前、二千円でしたことあるし」
「カラオケボックス、カメラあるから嫌やわ」
「カメラなんかない」
「防犯の為に付けてる所があうから」
「ない」と、強い口調で言われて、電話を切られた。
三日後にライン電話があり、
「熱が出てて、行く所がないから助けてほしい」
「今、何処に居てるん」
「ミナミのマクド」
「こっちまで来れるか」
「行き方が分からん」
「天王寺まで来れるか」
「行ける」
「天王寺まで迎えに行くから来て」
「今から」
「そう、着いたらライン電話して」
「分かった」
電話を切って、JRで天王寺に向かった。
御堂筋線の天王寺駅に着いた頃に【着いた】とラインがあって、【ライン電話をして】と返し、電話で話した。
「いま、何処」
「西改札口」
「俺、東改札口やから、こっちに来れる」
「無理」
「聞いたらいいねん」
「無理」
「分かった。そっちに行くわ」
改札口で駅員に事情を話して改札口を通してもらい西口で会い、家に向かった。
家に着きダウンジャケットを脱ぐと、お腹が出ている小さなトレーナーしか来ていなく、靴下には大きな穴が開いていた。驚きながら
「この寒いのに、そんな恰好をしてるから熱がでるんや」と言って体温計を渡し、持っていたトレーナーを着せた。
体温計を見ると38,7度あって、寝かせてからうどんすきの用意をして、出来てから食べさせた。
しんどかったのか、おとなしく横になっていてテレビ見ていたが12時を過ぎたので電気を消すと、
「真っ暗にすると怖いから消さないで」
「俺がいてるから大丈夫」と言って、電気を消して寝た。
翌朝はパンがあったので食べ、昼に昨日の鍋の残りにうどんを入れて食べたあと、食材の買い出しに行って、夜はキムチ鍋を作った。
熱を測ると39,3度まで上がっていて、
「40度までいったら救急車を呼ぶからな」
「保険所がない」
「障害者手帳は持ってるだろう。見せてくれ」と言って、手帳を見せてもらった。
「最悪、精神病院に入院して、生活保護の手続きをしてもらえればお金はかかれへんやろう」
「入院は嫌や。ケータイ使われへんし」
「最悪の場合や」
「分かった」
翌日に体温を測ると38,3度あった。
「やばいな。朝方は体温が下がるはずなのに」
「そうなんや」
昨日のキムチ鍋にうどんを入れて食べさせ、買い物に行こうとしてエリカの足元をみると大きな穴が靴下に開いていたのが見えた。
焼肉用の和牛と野菜、焼きそばを買って来て、食べさせた。
「エリカ、お肉大好きやねん」
「旨いやろう、めっちゃいい肉やからな」
「うん、美味しい」
「レバーは、食べられへんか?」
「う、うん、一回食べてみるわ」と言って、一切れ食べたが「やっぱり無理」と言って、別の肉を食べ、締めの焼きそばをした。
「アイスクリームが食べたい」
「買って来てない」
残念そうな表情をしていたので、冷凍庫の中を見ると一つだけアイスがあって、それをあげると、物凄いいきよいで旨そうに食べた。
それを見て、靴下とアイスクリームを買って来た。
「アイス買って来たから、好きなの食べたらいい。冷凍庫に入れとくから」
「うん」
「それから100均で靴下買って来たから履き替え。今に靴下、穴開いてるやろう」
「キャラクター、キャラクターの靴下がいい」
(キャラクターの靴下は売っていたが、あまりにして子供っぽく見えたので無地の靴下を買って来ていた。
「キャラクターのじゃない」と、靴下をわたすと
それを見ながら
「こんなん嫌や、おばはんみたいや」
「しかたないやん、それを買って来たからそれをはいて」
しぶしぶ穴の開いてる靴下を脱いで、新しい靴下を履いて寝た。
その2日後に、ようやく熱が下がった。