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第94話 エミールのお仕事!

ようやく戴冠式たいかんしきが始まった。

舞台の上ではハニーが派手な演出で王冠の

具象化をしている所だ。


ポッ、ポッ、ポッ、っと次々に綿精霊が

湧き出して来て、空中の一点に集まり

やがて王冠の形を成して行く。


ピカピィカピカァ~~~!っとまばゆく光り、

思わず目を閉じる。


そして恐る恐るまぶたを開くと、色とりどりの

宝玉ほうぎょくに飾られた王冠が現出していた。


「おぉ~~~!」

「すげぇ~~~!」

「キラキラしてるわぁ~~~!」


驚きと憧憬羨望どうけいせんぼうの渦巻く視線が舞台の中央に

吸い寄せられている。


「聖騎士バイアス・ロンドガリア。

精霊キューピーハニーの認証にんしょうの元に、

このリコアリーゼ・ダモン・レイサンが、

そなたを初代ハイラム国王として承認しょうにんすると、

ここにせんする。」


聖騎士王バイアスの誕生だ!

彼のエピソードも色々あるんだけどさ。

その話は、また機会があればね。


さて、この儀式のきもは聖女が王を承認し、

精霊がそれを認証する事ね。

簡単に言うと王を正式に認めるのは聖女で、

それを正当だと保証するのが精霊なのよ。


これは今回から新しく取り入れた方式でね、

権力と権威の分離を、より確実にするための

改定事項なのよ。

かってに王を名乗る事は許さないって事ね。

例え世襲であったとしてもだよ。


それがシステムの考えた効率的な社会構造の

基盤になるのよ。


悲劇的な結末を繰り返した人類の宿業しゅくごうを絶ち、

最終進化へいざなうにはサーキットブレーカとして

権威の主体を独立させる必要があるの。


ツルの一声ってやつね。

世俗の損得から切り離された絶対的権威。

それが精霊と聖女なのよ。


立憲君主制による緩やかな封建体制と

分離独立した権威による裁定。

魔法による一定水準の生活の実現。

それがシステムの出した答えなの。


え?

民主主義はどうしたって?

それがさぁ~

世界を滅ぼしたのは民主主義なんだよねぇ~


信じられない?


だよねぇ~

でもね、民主主義の末路がどうなったのか?

今の地球を見れば判るでしょう?


ヒトラーに信任状を与えたのは民主主義だよ?

太平洋戦争に駆り立てたのは民主主義じゃん!

ピカドンを落としたのも民主主義だからねぇ。


横暴な青い血族に対する民衆の反逆。

それが民主主義。

でも民衆が主権を手に入れると今度は

赤い血の暴君が現れるのよね。


高度な知性が無いと維持できないのよ。

民主主義って。

権威も権力も無秩序に分散してしまってね。

それの奪い合いになるの。

正義と正義の戦いに明け暮れてね。

決してしてはならない筈の選択をしちゃうの。


それを容認してしまう性質を持っているのね。

だって多数決なんだもん。

最も根幹的な要素に、致命的な欠陥が

内包されているのよ。


もう諦めたのよね、システムは。

ホモ・サピエンスに民主主義は無理だって。

最終進化の軌道にのってからじゃないと、

却って障害になるもの。


ホモ・ニルバーナになってから民主主義を

実装しましょうね!


3歳の幼児に実弾の入った拳銃を持たせて

ごらんよ。

いじくり廻している内に、銃口を覗きながら

引き金を引いちゃうから。


***


『ほら!見てごらんなさいなルルナ!

エミールが立派に役目を果たしていますわ!』


空中に浮かんだ王冠を両手で受け止めて、

そっとアリーゼに渡す。

後は一歩下がって見て居るだけ。


「見事に大役を務め上げましたね!」

『えぇ、えぇ、もう・・・もう私・・・』


アリーゼも褒めてやれよぉ~

むしろ主役はアリーゼだぞ。


儀式は無事に終了した。

これから新王のお披露目パレードだ!

フルオープンのイクアナ車で城下町を

ぐるっと一周するんだ。

アリーゼとエミールも一緒だよん!


もうちょっとだからね、エミール。

あと少し辛抱しようね。

ほらほらぁ、目を開けてぇ~

寝ちゃ駄目だよぉ~

ニッコリ笑ってぇ~

みんなに手を振るんだよ~


「あ!お母様だわ!お母様ぁ~~~!」

「これで5回目よ・・・」


行く先々に先回りして手を振る母が居る。


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